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生き残りをかけた紳士服チェーンの戦略、軍配が上がるのは多角化か本業重視か?

LIMO / 2018年4月14日 12時20分

生き残りをかけた紳士服チェーンの戦略、軍配が上がるのは多角化か本業重視か?

生き残りをかけた紳士服チェーンの戦略、軍配が上がるのは多角化か本業重視か?

AOKI、青山、コナカ、はるやま。アマゾン進出への対策にも違い

紳士服業界大手で「非スーツ」の多角化が進む

紳士服業界は大手4社と呼ばれます。首位は青山商事、2位のAOKIホールディングス、3位コナカ、4位はるやまホールディングスです。

これらが今、厳しい経営環境にさらされています。背景にあるのは市場の急激な縮小です。団塊世代の退職やクールビズの広がりなどにより、スーツを着る人が減っているのです。総務省の調査によれば、スーツ市場はこの10年間で30%も減ったとされています。

今後、少子化などにともない、スーツ市場はさらに縮小することが予想されます。生き残りをかけて、各社ともに新たな取り組みを進めています。その一つが「非スーツ」の多角化です。

大手4社の中で、早くから多角化を進めてきたのがAOKIホールディングスです。連結子会社を通じて、結婚式場・披露宴会場の運営、カラオケ・複合カフェ・フィットネスクラブの運営などの事業を行っています。同社グループでは現在、ファッション以外の売上構成比が4割近くに達しています。近い将来にはそれを5割にするとしています。

コナカは、グループ企業であるコナカエンタープライズがフランチャイズ(FC)で、『大衆食堂 半田屋』、『とんかつ専門店 かつや』、『からあげ専門店 からやま』などの飲食店のほか、『スペースクリエイト 自遊空間』(インターネットカフェ・漫画喫茶)などを展開しています。

『洋服の青山』などを展開する青山商事は、100%出資の子会社globが物語コーポレーションと FC契約を締結し、焼き肉店の『焼肉きんぐ』、寿司・しゃぶしゃぶ店の『ゆず庵』などを経営しています。同社は2015年、鍵の複製や靴の修理を手掛ける『ミスターミニット』を運営するミニット・アジア・パシフィックも買収しています。

多角化に走らず独自の戦略を進める「はるやま」

AOKI、青山、コナカが「非スーツ」の多角化を進める中、独自の戦略を展開しようとしているのが、業界4位のはるやまホールディングスです。多角化には走らず、オリジナル商品などの「本業」に力を入れています。

創業二代目の治山正史社長は「スーツで日本を健康にする」宣言をかかげ、健康をサポートする機能性商品の開発を積極的にすすめています。

2016年に販売を開始した、重さや窮屈感を3分の1に軽減した「ストレス対策スーツ」や、ノーアイロンシャツなどが人気で、2期連続増収増益と業績も好調です。2018年3月には、紳士服業界で初めて「ハイドロ銀チタン」を搭載したスーツ「ハイドロ銀チタン スーツ」の販売も開始しました。

同社の大きな特長は、「スーツで日本を健康にする」ためには従業員が健康でなければならないとして、社員の健康を応援する取り組みも進めていることです。月間の残業時間をゼロにした社員に特別手当1万5000円を支給する「ノー残業手当制度」なども導入しています。

アマゾンがビジネスファッションのECサイトをスタート

2017年11月、アマゾンジャパンが、ビジネスファッションのECサイト「Suits Store」をオープンさせました。衣料品通販大手の「ゾゾタウン」があまり取り込めていない男性ビジネスウエアにアマゾンが本格的に進出するということで、「黒船」になるのかどうかが注目されました。

結局、紳士服大手4社のうち、AOKI、コナカ、はるやまは「Suits Store」開設時からパートナーとして参加する道を選びました。

青山商事は参加していません。昨年、実店舗とオンラインショップが融合した次世代型店舗「デジタル・ラボ」など自前のECサービスを始めたばかりということもあり、そちらを拡充する考えだと思われます。

多角化やECの進め方でも4社それぞれの特色が出ています。今後どこが勝ち組になるのかが注目されます。

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