自動車輸出が通商問題に? 日本の自動車産業の基礎知識を整理する
LIMO / 2018年4月24日 16時15分
自動車輸出が通商問題に? 日本の自動車産業の基礎知識を整理する
「柏原延行」のMarket View 2018年4月20日
皆さま こんにちは。アセットマネジメントOneで、チーフ・グローバル・ストラテジストを務めます柏原延行です。
いよいよ、ゴールデンウィークが迫って来ました。私は残念ながら華々しい予定はなく、「観葉植物の植え替え」、「テニスのフォームチェック」、「近場でのカメラ撮影」を計画しています。
さて、今回コラムのポイントは、以下の通りです。
「通商問題の進展状況」によっては、大きな影響を受ける可能性のある自動車産業に関する基礎知識を整理する。
米国は年間に自動車が約1,800万台登録(販売)されているにもかかわらず、国内生産は約1,100万台に留まっている(2017年、なお、中国の登録台数は約2,900万台、日本自動車工業会 自動車統計月報 2018-3号から)。
我が国は1,000万台近い四輪車を生産しており、この内の約半分を輸出している(2017年)。また、輸出台数については、1990年代からは減少しているものの、2000年以降では、ほぼ横ばい推移であり、「通商問題においてターゲットとなりやすい状況」が明らか(産業としての強さの裏返しでもある)。
自動車産業の「直接・間接に従事する就業人口は、我が国の全就業人口の約8%」、「製造品出荷額は、全製造業の製造品出荷額の約18%」、「設備投資額は、主要製造業の約22%」であり、通商問題の進展状況によっては、我が国の経済全体へ影響する可能性がある。
我が国における主要な製造業である自動車産業が、「通商問題のターゲット」になる可能性が取り沙汰されています(また、技術革新により根本的な変革が起こる可能性もあります。ただし、時間がかかります)。そこで、今回は自動車産業に関する基礎知識を整理したいと考えます。
2017年の我が国の株式相場を振り返った場合に、日経平均株価は約2割も上昇したにも関わらず、輸送用機器業種(東証33業種分類で自動車産業が属する業種です)の上昇率は、約9%に留まっており、この業種に関する投資家の懸念が強いことが想像できます。
2018年に入ってからも、日経平均株価は約6%下落していますが、輸送用機器業種は約9%と日経平均株価以上の下落率となっています(3月末時点)。
米国から見た場合に、国民生活に身近な自動車に関して、米国内での需要は年間約1,800万台あるにも関わらず、米国内での生産は約1,100万台に留まっています。すなわち、単純に考えるとこの差の約700万台を海外から輸入している計算であり(2017年)、その分製造業、および(製造業の)雇用が失われていると考えることもできます。
我が国の国内需要は年間約500万台ですが、国内生産は1,000万台近く、約500万台を輸出している状況です(2017年)。また、輸出台数については、1990年代からは減少しているものの、2000年以降ではほぼ横ばいと評価できる状況です。
輸出超は一般的には、その製品の国際的な競争力が強いことを示し(海外の消費者に人気がある)、その分、ポイントに記載させていただいた通り、我が国の産業、とりわけ製造業に占める自動車産業の存在感は大きなものがあります。
しかし、米国から見た場合、我が国が年間約500万台の自動車(四輪車)を輸出する状況が2000年頃から継続していること自体が問題視される可能性があります。加えて、自動車の輸出超はこれだけの長い期間続いている問題であるがゆえに、本格的に自動車の対外貿易不均衡を是正する措置が必要になった場合には、その影響が大きくなることにも注意が必要です。
なお、私自身は、通商問題は特定の産業ではなく、産業全体として考える問題であると思っていますが、交渉の進捗などに対する注意深い状況把握が必要であることもまた確かであり、(必要に応じて)交渉の進捗を本コラムでもご説明したいと考えます。
(2018年4月20日 9:00執筆)
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