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あなたの部下が「報連相」をしない本当の理由

LIMO / 2018年5月13日 20時40分

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あなたの部下が「報連相」をしない本当の理由

「人が集まる職場」のつくり方

「報告・連絡・相談」、つまり報連相は、あらゆる仕事の基礎となる部分。会社で上司が部下に「ちゃんと報連相しなさい」と指導する場面はよく見られるものだ。

 しかし、「ちゃんと報連相しろ」という言葉が出るということは、裏を返せば「自然に報連相が起きない状況になっている」ということでもある。

「『報連相しろ』という言葉が飛び交うのは、社員が次々に辞めていくような会社の特徴のひとつです」――そう解説するのは、数多の組織を見てきた「職場のメンタルヘルス・コミュニケーション対策」の第一人者であり、『人が集まる職場 人が逃げる職場』の著者・渡部卓氏。なぜ自然に報連相がされないような職場になってしまうのか、その原因と対策を解説してもらった。

「情報が回ってこない」ときのチェックポイント

 情報は「鮮度」が命。上司にとっては、重要なことほど「手の打ちようがなくなる前」に把握しておきたいものです。けれども、自分の元に情報が回ってくる頻度が少ない、スピード感がないとしたら、それは報告や申請を細かく形式化しすぎているせいかもしれません。

 たとえば、次のようなことになっていませんか?

・「日報」や「営業報告書」といった各種報告書の数や記入項目が多い
・「休暇届」など各種申請書の数や記入項目が多い
・報告書や申請書の締め切りがやたら早い
・報告書や申請書に必要なハンコの数が多い

書類が増えると上司の負担も増える

 これらの書類が増えれば増えるほど、書く側はもちろん大変なのですが、チェックして承認する側も同じく大変になってしまいます。

「デスクに書類を積んでいるうちに経理への提出期限を過ぎていて、部下を困らせてしまった」……なんてこともしばしばあるのではないでしょうか? 私も100人を超える部下を抱えていた時代には、そんな経験が山ほどあります。

 このように報告や申請の項目が多かったり、承認者の数が多くなったりするのは、「リスク管理のため」……と言えば聞こえはいいですが、それだけ責任の所在を分散させているということでもあります。また、「細かい報告を形式化させることで、上司が自分自身を安心させているだけ」という面も大きいのです。

ルールを細かくするほど報告は上がってこない

 もちろん、責任が重い仕事や危険をともなう仕事など、細かい記述や承認が必須のこともあるでしょうから、一概に「報告・申請を気楽にできるようにしなさい」とは言えません。

 ただ、毎週・毎月の報告内容や形式、頻度などのルールをいちいち細かく定められると、部下からすれば面倒になってくるもの。だんだんマンネリ化し、かえってきちんと報連相がなされなくなる、というのもよくある話なのです。

 職種や業界にもよりますが、こうした報告・申請のルールが細かすぎないかどうか、いま一度見直してみる必要があるでしょう。

「人が逃げる職場」では、ルールが増え続ける

 人を採用しても次から次へと辞めていくような「人が逃げる職場」では、こういった細かすぎるルールが増え続けるという特徴があります。それらはかえって職場の生産性を下げ、必要以上に大きなストレスを社員に与えてしまうリスクがあるのです。

 新しいルールは、その時々で時代や状況に合わせるために必要なことも多いでしょうが、「ムダなルールの排除・見直し」に目を向けていないのは大問題です。何十年も前の状況に合わせて定められた規則が、ただ「見直す人がいない」という理由だけで残り続けている……そんな職場は多いのではないでしょうか。

規則の数を、とにかく半分にしてみる

 とはいえ、いざ古いルールを見直そうとすると、100人いれば100通りの意見が出てきます。「私はこの規則は必要だと思う」「いや、僕は必要だとは思わない」「この提出方式は社長の発案だった。残すほうが無難だろう」……。いくら古いと言っても、職場のルールがつくられるのにはそれなりの理由があるわけで、なかなか気軽になくすことができないのも現実です。

 そこでぜひ取り組んでみてほしいのが、「とにかく半分にしてみる」こと。報告・申請の数や項目、職場の規則などをはじめとしたさまざまなルールを、とにかく半分に減らしてみるのです。

シスコシステムズが「お役所仕事」を排除した方法

 これをやってのけたのは、私が勤務していた時代のシスコシステムズのCEO、ジョン・チェンバース氏でした。ある日、彼は社内に次のように号令しました。

「もう余計な規則はいらない。10年前からある規則は、半分に減らせ。責任は俺がとるから」。

 もちろん、実際は単純に半分にできたわけではありませんが、彼はそのくらいの気概を持って「ムダな規則を削れ!」と号令したのです。

「そんな大胆なことをして大丈夫なのか」と心配になるかもしれませんが、本当に必要だったルールは自然に復活させられることになりますから、「ムダなものは消え、本当に必要なものは残る」という理想的な状態に近づくことができました。そうして、いわゆる「慣習化されたお役所仕事」が排除され、会社の生産性は格段に上がり、社員のストレスも確実に軽減されたのです。

まずは身近なところからでも手をつける

 社員に必要以上の時間や労力をかけさせるような古いルールは、思い切って半分にしてみるように働きかけてみてはいかがでしょうか。もし減らしたことで不都合になるようなルールがあったなら、より適切な形で復活させればよいのです。

 もちろん「この規則は上の方針だから変えられない」といった場合も多いでしょう。そういうときは、自分のチームや身近な範囲内だけでも何かムダなルールがないか探し、半分に減らしてみてください。そうして成果が出れば、上層部にも提案しやすくなるでしょうし、自分が普段身を置いている範囲だけでもよい変化があることで、たいていの人は過ごしやすくなります。

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筆者の渡部卓氏の著書(画像をクリックするとAmazonのページにジャンプします)

「とにかくLINEしてきて」でもいい

 ちなみに、私は学生や仕事で関わる人にも自分のLINEやFacebookなどのSNSアカウントを教え、ちょっとした報連相などの単純なやりとりはSNSで済ませることがよくあります。若い人ほど、対面での会話や電話・メールでのコミュニケーションより、そのようなSNSのほうが馴染み深いもの。「ちゃんとした報告じゃなくてもいいから、とにかくLINEしてきて」と言っておくと、素早い連絡を受けやすくなります。

 厳格な様式やルール・マナーを尊守することも必要ですが、場合によっては気楽でスピーディーな手段を活用できる柔軟性も持っていたいものです。

 

■ 渡部卓(わたなべ・たかし)
産業カウンセラー、エグゼクティブ・コーチ。帝京平成大学現代ライフ学部教授、(株)ライフバランスマネジメント研究所代表。職場のメンタルヘルス・コミュニケーション対策の第一人者であり、講演・企業研修・コンサルティング・教育・メディア等における多数の実績を持つ。『明日に疲れを持ち越さない プロフェッショナルの仕事術』ほか著書多数。

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