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激減! 20年間で6割減の国内たばこ市場。禁煙推進は続く

LIMO / 2018年5月31日 12時20分

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激減! 20年間で6割減の国内たばこ市場。禁煙推進は続く

市場縮小を加速させる新型たばこ、健康への影響は?

世界的な禁煙推進の日、5月31日は『世界禁煙デー』

5月31日は『世界禁煙デー』です。これは、世界保健機関 (WHO)が禁煙を推進するために制定した記念日です。また、数少ない“国際デー”の1つにもなっており、禁煙推進活動が世界的なムーブメントになっていることがうかがえます。

なお、日本では、この「世界禁煙デー」に加え、5月31日~6月6日までの1週間を「禁煙週間」に制定しており、厚生労働省が旗振り役となって喫煙に伴う健康への影響等についての啓蒙活動を行っています。

喫煙者にとっては肩身が狭い世の中に

現代では、“禁煙を推進する”というよりも、喫煙の行為そのものを“悪”と見なす風潮が強まっていると言えましょう。

それを如実に示しているのが、タバコ産業(銘柄別のロゴを含む)の広告規制です。特に、従前はタバコ産業が最大のスポンサーであったF1やインディカーなどモータースポーツにおいて全面禁止、もしくは、自主規制による大幅制限(一部の例外を除く)などの処置が講じられています。

日本においても、東海道新幹線が全面禁煙車両に移行しました。一応、喫煙ルームなる“小部屋”が設けられていますが、禁煙者と嫌煙者に対して完全に配慮する形です。

また、現在の安倍政権で推進してきた「受動喫煙対策法案」も、紆余曲折の末に今年3月に閣議決定されました。法案の内容には様々な意見があるようですが、少なくとも形の上では、喫煙を規制する動きが拡大したのは確かです。

いずれにせよ、喫煙者にとっては、屋内外において肩身の狭い思いをする時代になりました。

国内のタバコ販売本数は約20年間で6割減の激減に

さて、こうした禁煙推進の中で、日本国内のタバコ市場はどのように推移しているのでしょうか。一般社団法人「日本たばこ協会」が発表している販売実績データ(1990年~2017年)を見ると、非常に興味深い結果が得られます。

まず、販売数量は、1996年の3,483億本をピークにほぼ一貫した減少が続いています。2017年実績はピークから▲58%減となる1,455億本まで落ち込みました。約20年間で▲6割近い激減状態です。

販売金額は販売本数に比べると、やや緩やかな減少に止まる

ところが、販売代金を見ると、ピークである1999年の4兆2,600億円に対して、2017年は3兆1,655億円でした。

確かに、ピークから▲26%の大幅減となっていますが、販売本数の激減に比べると明らかに緩やかな減少に止まっています。

現在1箱430円の『メビウス』、20年前の値段は?

この現象は、“たばこ税引き上げに伴う値上げ”でほぼ説明できると言えましょう。過去、たばこ税は何回かにわたって引き上げられてきましたが、その全てが販売価格に転嫁されてきたと考えられます。

たとえば、1980年に1箱(20本入り)180円だった「マイルドセブン」は、その後に「メビウス」へブランド名が刷新されましたが、現在は430円で販売されています。

ちなみに、販売本数がピークだった1996年は1箱220円、販売金額がピークだった1999年は250円でしたから、この約20年間で尋常でない値上げが実施されたことになります。

度重なる値上げにも屈しない喫煙者の強い嗜好を垣間見る

この“たばこ税の引き上げ”、つまりは、たばこの販売価格の値上げに注目すると、値上げに伴ってやむなく禁煙する人、禁煙せざるを得ない人、あるいは、喫煙量を減らす人が増えたことは容易に推察できます。

その一方で、値上げにもかかわらず喫煙を維持する人も一定割合いると判断できます。タバコを嗜む人にとっては、禁煙推進活動よりも、経済的事情のほうが影響した可能性が高いと言えるかもしれません。

“新型たばこ”市場が急拡大の兆候、健康への影響は?

たばこ販売に関してもう一つ注目すべきは、直近の2年間で減少ペースに拍車がかかっていることです。販売数量では2016年が▲8%減、2017年は▲13%減、販売金額ベースでは2016年が▲7%減、2017年が▲13%減となっています(いずれも対前年比の増減率)。

この理由としては、禁煙啓蒙活動の浸透効果や、一部の銘柄の値上げ実施などが指摘されます。しかし、それ以上に「加熱式たばこ」や「電子たばこ」の人気が急速に高まったことが挙げられましょう。

これら“新型たばこ”に関しては、健康に対するリスクの有無について世界中で様々な議論が行われています。仮に、従来の“紙たばこ”から“新型たばこ”へシフトが加速しても、健康への影響が軽減されなければ無意味です。

今年の世界禁煙デーは、例年とは違った観点で、タバコについて考えてみるのもいいかもしれません。

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