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ここは穴場? 不動産価値の上昇が続くチェコ、ハンガリー

LIMO / 2018年6月26日 20時45分

ここは穴場? 不動産価値の上昇が続くチェコ、ハンガリー

ここは穴場? 不動産価値の上昇が続くチェコ、ハンガリー

旧共産圏で経済状況に恵まれた国は?

今回は、日本であまり紹介されないヨーロッパ旧共産圏各国の経済・不動産事情についてお伝えしたいと思います。

かつての冷戦時代、ヨーロッパは西側(資本主義圏)と東側(社会主義圏)の2大ブロックに分かれていました。そして1989年にベルリンの壁が、1991年にソ連が崩壊したことで、東側の国々は資本主義国家として再出発することになりました。

あれから四半世紀余りが経ちましたが、かつて社会主義に馴染んだ旧東側の国々が資本主義国として順調に経済発展できているかというと、一概にはそうとは言えません。まず、大きな地域格差があります。

一般的に、ドイツやオーストリアに地理的に近い中欧の国々(チェコ、ポーランド等)は発展が比較的順調ですが、そこから東または南に行くほど発展が遅れ、所得が低くなります。ざっと額面の1人当たりGDP(2018年推計値)で比較すると、国単位で10倍以上の格差があります。

【トップ3】
1位:スロベニア $27,535
2位:チェコ   $22,468
3位:スロバキア $20,508
――――――――――――――――
【ボトム3】
1位:モルドバ  $2,240
2位:ウクライナ $2,459
3位:コソボ   $4,140

最近、私が出張で訪れたチェコとハンガリーは、旧共産圏のなかでは比較的経済状況に恵まれた部類の国です。

チェコ共和国は「ギリギリ先進国」水準

人口約1050万人、旧共産圏のなかでは経済優等生のチェコ。ソ連崩壊後、工業立国に一定の成功をおさめ、英独仏とは所得水準にまだ差があるとはいえ、1人当たりGDPは2万2千ドルを超え、「ギリギリ先進国水準」は達成した感があります。

首都プラハの人口は130万人で、都心部は瀟洒なオフィスビルやホテル、郊外にはロードサイドの量販店が立ち並ぶなど、見た目はドイツなど先進国とほぼ変わりません。生活物価もドイツ等と比べて多少は安いとはいえ、差はそれほど大きくありません。

プラハのビジネス地区

チェコの通貨コルナの対ユーロ為替はここ10年近く安定的に推移。リーマンショックの影響も旧共産圏のなかで比較的軽微で回復も早く、その経済力と安定感は旧共産圏随一と言えます。

昨今チェコの経済は好調で失業率も低く、同国の人々はすでに他国に出稼ぎに行く感じではありませんが、かといって他国からの経済移民を多く受け入れるほどの給与水準でもないので、現状ではチェコ人主体の単一民族国家に近いでしょう。国の総人口は基本的に横ばいで、プラハ等主要都市は微増傾向にあります。

地下鉄駅の様子

ちなみに、首都プラハやチェスキークルムロフなどは、歴史と街並みを活かした国際的な大観光地となっています。

観光客で賑わう旧市街

ハンガリーは「先進国一歩手前」

人口規模はチェコと近く約980万人。欧州の旧共産圏のなかでは、セルビア、ルーマニア、ブルガリアよりは裕福だが、チェコやポーランドと比べるとやや見劣りする、といったところです。

1人あたりGDPは1万6千ドル前後で、通貨フォリントはチェコ(コルナ)やポーランド(ズロチ)と比べると弱く、対ユーロの為替はここ10年じりじりと下がっています。先進国一歩手前で足踏みしている、 農業国の色彩を残した工業国という印象です。

ブダペスト中心部

国民980万人のうち約50万人がドイツやオーストリア、英国など先進国に出稼ぎに出ています。逆にハンガリーに働きに来る外国人労働者や経済移民はごく少数なので、現時点ではハンガリー人主体の単一民族国家に近い状況です。

首都ブダペストは人口180万人を抱える中東欧最大都市の1つ。多様な産業が発達し、美しい街並みや独特の温泉・グルメ文化を活かした大観光地でもあります。また国中に温泉が湧いており、ドクターの報酬も割安なため、医療リゾートとしても競争力があります。

鉄道駅の様子

ハンガリーの生活物価はざっとチェコの5割引き、ドイツ・オーストリアの半額強といった印象です。滞在費は安上がり、かつブダペストは中欧のLCCハブでもあるので航空券も安く、欧州全土から若者が観光や短期滞在にやってきて賑わっています。なかでもナイトライフの充実ぶりは中東欧随一です。

ブダペストの夜を楽しむ人たち

上昇が続くチェコ、ハンガリーの不動産価値

さて、チェコ、ハンガリーの不動産市場ですが、2014年頃から、近隣諸国(ドイツ、オーストリア、スイス、ロシア等)からの投資マネーの流入もあって、年率15~20%の値上がりが続いています。

他の欧州諸国と同様、チェコ、ハンガリーの都市部の住まいは中古集合住宅が主流。新築供給力が低く慢性的な住宅不足で、賃料や不動産価値は上がりやすい状況です。不動産権利体系は、土地建物の完全所有権が自国民にも外国人にも認められる西欧先進国型。不動産保有に関する税金は概して安いと言えます。

都心部の不動産価格は、チェコ・プラハで6000ユーロ/㎡(坪単価で約250万円)、ハンガリー・ブダペストで 5000ユーロ/㎡(同210万円)に達しています。市内の平均的な住宅地でも上記の半額くらいになっており、賃貸利回りも4~5%と、地元の給与レベルと比べての割安感はほぼなくなりました。とはいえ、好調な経済を背景に、まだまだ値が上がりそうです。

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