えっ、本当? 就活生の67%が「転勤はイヤ」
LIMO / 2018年6月28日 12時15分

えっ、本当? 就活生の67%が「転勤はイヤ」
ビジネス、今日のひとネタ
最近、「転勤族」という言葉を聞いたことがないという人が増えていることを知っていますか? 特に就職氷河期世代より上の方にとっては、思わず「えーっ!」と驚いてしまうような話ではないでしょうか。
かつては、「終身雇用や昇給のために転勤をすることはやむを得ない」「むしろ昇進のために転勤したい」という考えを持つ社員が多くいましたが、若い世代では、しだいに転勤に対する抵抗の声が広がりつつあるようです。ここであらためて転勤について考えてみましょう。
「仕事」よりも「趣味や私生活」が大事
就活生を対象にしたある調査では、「転勤はイヤ」と回答した人は、67.6%にも上りました。
近年は、仕事への価値観が変わりつつあり、「仕事」よりも「趣味や私生活」を大事にしたいという人が増えています。これは、ブラック企業の実態が露呈したこととも関係がありそうです。
転勤反対派の不満
実際に、若い世代を中心に、転勤への不満の声は数多くあるようです。
「本人の希望を一切聴くことなく何度も転勤をさせる行為は、人の尊厳を無視している」といった強硬な意見もありますが、「転勤があるのはわかっていたけど、タイミングを考えてほしい。単身赴任のせいで子どもの世話を妻一人に任せるのは申し訳ない」「結婚を前提にした相手を探したいけど、すぐに転勤することがわかっているから諦めている」といった悲痛な声も数多くあります。
このような声が多くあるにもかかわらず、転勤を人事として行っている会社も一定数あるのはどうしてなのでしょうか?
「全体最適」の視点が身につく?
転勤が必要な理由の一つとしてよく言われるものに、「昇進のための武者修行」があります。企業の幹部にはさまざまな能力が求められますが、その中の一つが「俯瞰力」です。会社のことをよく知り、会社を良い方向に効果的に動かしていくためには、本社内だけでなく支社や工場など他の拠点での実態も理解しておく必要があります。そうした全体最適の視点を持てるようにするために転勤があるという理由です。
また、銀行など金融機関では、「取引先との癒着を防ぐ」という意味でも転勤が頻繁に実施されます。隠蔽工作を防ぐために、辞令が下りてから数週間で引き継ぎを終えて次の勤務地に赴任しなければいけないというところも多いようで、銀行員も大変ですね。一方で「以前の担当者との面倒な口約束などは『担当者が代わりましたので』と言ってうやむやにするため」と話す銀行員もいます。
中には驚くべき理由も
上記のように、転勤をさせる理由に人材育成のような理由を挙げる企業は多くありましたが、中には驚くべき理由を持つ企業もありました。
それは、「飽きるから」という理由です。
たとえば営業職であれば、ルート営業で何度も商談を繰り返していくうちに、営業担当も顧客も飽きてしまうのです。そして、これが原因で取引が成立しなくなることもあるとのこと。
企業側も変化に気づきつつある
このような理由がありつつも、企業も若い人たちの転勤への抵抗感には気づいているようです。実際に、「転勤が前提」ともいうべき銀行業の最大手である三菱UFJ銀行が、全国転勤の有無を毎年選ぶことができる制度を始めるなど、企業側にも動きが見られます。
一方で、転勤への抵抗の声に対して、上でも触れた「取引先と特定の社員の癒着や不正を防ぐためには仕方がないこと」という意見のほか、「全国転勤があるとわかった上で入社してきたのに、いざ転勤の話があると、文句を言ってくるのは筋違いだ」「転勤してでもウチに入りたいという人はたくさんいる。嫌なら入社してもらわなくてもかまわない」という意見もあります。
また、就活生に人気の大手商社に就職して「海外転勤があるのがイヤなので」と辞めてしまったという話がしばらく前にネットで話題を呼び、「企業研究をしていないにも程がある」「こういう何も考えてない奴は辞めてもらって正解」「商社のほうも、なんでこんなのに内定出したんだ」といった辛辣な意見も見られました。
このあと維持していけるのか?
かつては、終身雇用制度や「男は仕事、女は家庭」という考えから転勤制度は成り立っていましたが、それらが崩壊したいま、上記のように、私生活を大切にし始めた若者の価値観ともぶつかりつつあります。
企業サイドとしても、現在のような転勤制度がこのあと維持していけるのかどうか、真剣に考えたほうがよいのかもしれません。
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