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頭のいい上司ほど、部下との「対話」ができない理由

LIMO / 2018年7月4日 20時20分

頭のいい上司ほど、部下との「対話」ができない理由

頭のいい上司ほど、部下との「対話」ができない理由

気をつけるべき「5つのポイント」を知る

 部下を持ち、部門の責任を担うリーダーにとって、「部下とうまく意見のやり取りができること」は重要な能力です。部下を率いてチームとして結果を出すためには、リーダーの指示やアドバイスを正しく伝えることも大切ですが、それと同様に、部下の話をしっかりと聴いて理解することも大切です。

 そこでこの記事では、ベルシステム24の元社長で、倒産寸前だった同社を立て直し、東証一部上場の1000億円企業にまで育て上げた園山征夫氏が、著書『礼節と誠実は最強のリーダーシップです。』の中で解説している「リーダーが部下との対話を行う上で気をつけるべき5つのポイント」をご紹介します。

ポイント1:「こうだよね」とすぐまとめに入らない

 人に対する思いやりとか、相手の立場を尊重する心が不在になると、どうしても「部下の意見を聴いてやる」という姿勢が出やすいものです。

「もっと、こう改善したい」と部下が切々と訴えているのに、「君の話はこういうことだよね。こうやればよかったね」などとまとめてしまうと、それで対話が終わりになってしまいます。部下としては、「もう少し話したかったのに……」と不完全燃焼。外から見れば対話しているように映るのですが、実際には対話になっていません。

 相手に共感しながら、とにかく現場目線で素直に忍耐強く聴き、部下の話を「まとめない」姿勢が必要です。優秀で忙しい人ほど、つい話をまとめてしまう傾向が出やすいので、要注意です。

ポイント2:角度を変えて、普段から繰り返し話し合う

 どんな対話でも、一回でその真意を汲み取るのは難しいもの。日頃から、角度を変えて何度も話し合うのを習慣とすることです。これも自分が頭脳明晰な人ほど「一度話したから、もう伝わっているはず」と考えてしまいがちです。

 たとえば、あなたが部下にどうしても伝えたいことがあっても、部下からすると、なぜその話が出てくるのか、背景がわからないということもあるでしょう。部下が「受信モード」になっておらず、当面は自分とは関係ない話だと勝手に思い込んでしまい、身を入れて聴く気にならない場合もあります。

 だからこそ、普段から何回も対話の場をたくさん持って、そこで繰り返し語りかけることが重要なのです。人事評価のときにだけ対話の場を持とうとしても、うまくいきません。常日頃からいろんな角度で語りかけ続けることが、部下の頭を刺激し、常に対話しやすいモードを整えることにつながります。

ポイント3:相手が興味を抱くことを糸口にして、聴く姿勢を持つ

 私の元同僚に、部下からの信頼が抜群にあり、とにかく「聴き出す能力」に長けた女性がいました。

 その同僚は、最初に話の糸口として、相手が興味を抱くことを見つけるために、相手の話にまず集中していました。これを糸口にしてほかの話へ展開し、人間臭い話なども交えて、一見するとムダなような会話をします。そうした対話の中で、「顔の表情の一瞬の変化などから、部下の本音や、いま何を望んでいるのか、どんな不安を抱いているのかがよくわかるんです」と、いとも簡単そうに彼女が話していたのが、私にとっては驚きでした。

 彼女は、ムダ話のようなことでも、仕事やミッションの実行に及ぼす影響などをいろいろ考えながら聴き、それを基に部下を活かすマネジメントができていたのです。部下からの話が散漫で、四方八方に行ってしまうのは当然です。話している本人自身、整理がついていないことが多いのですから。そのため、上司がうまくリードしつつ、部下の表情まで含めて重要な情報を引き出してあげることが必要であり、その糸口を探すことがまず大切なのです。

ポイント4:部下の立場を理解しながら、聴くことに専念する

 対話は、「人間の出すシグナル」をベースとしたインターアクション(相互作用)です。客観的に考えを伝えようとしても、立場によって、人間の出すシグナルの「光り具合」が異なり、事実がいかようにも映ります。一般的には、自分に都合よく映ってしまうようです。上司は部下の特質として(もちろん自分の特質としても)、このことを踏まえた上で対話をしなければなりません。

 実際のところ、合理的な視点で考える上司ほど「あなたはどうしてそう思うの?」と不思議に感じながら聴くことになるので、非常に疲れることでもありますが、ここはマネジメントの入り口だと思って我慢し、まず相手の話を聴きましょう。

 部下の目線にまでいったん下がり、そこから「事実」をある程度、自分なりにつかみます。たとえ同じ事柄に対して、部下から自分と違う意見が出ても、この段階では決して議論しません。「部下が何を考えているか」を知ることが先だからです。

(https://media.cm-marketing.jp/sonoyama-20180411)

筆者の園山征夫氏の著書(画像をクリックすると外部サイトの園山氏のインタビュー記事にジャンプします)

ポイント5:そもそもの「対話の場の設定」にも心を配る

 話す内容に気を取られてしまって、そもそもの「対話の場の設定」に無頓着なことはありませんか? 私は、この環境づくりに細心の注意を払っています。

 同僚同士でなく、部下と上司との関係での対話の場合は、部屋の大きさ、椅子の数、対峙しない座り方のレイアウト、警戒させない雰囲気などに心を配ります。

 たとえば腕組みなど、部下の目に横柄な態度に映るしぐさは避けます。さらに、自分の都合でなく、部下に都合の良い時間帯にすることも、きちんと聴くために意外と重要なことです。

「きれいごと」では済まされない

 対話は、生身の人間同士の話し合いです。対話を「コミュニケーション」と表現すると、何となくきれいに響きますが、「単なる儀式」に終わらせないようにしなければなりません。伝えたいことを伝えたい、汲み取りたい本当の意見を汲み取りたい。そのために双方の貴重な時間を費やして行うことが目的だと考えると、対話はきれいごとでは済まされません。

 実態としては、もっと人間臭いやりとりになるはずです。「対話する技術」というよりは「対話する力」と表現するほうが、実態に近いといえるでしょう。リーダーのあなたが普段から部下に継続的に語りかけ、聴く忍耐を持っていれば、あなたは部下からの信頼を得ることになります。これこそがマネジメントの入り口なのです。

 

■ 園山征夫(そのやま・ゆきお)
1967年慶應義塾大学経済学部卒業後、三和銀行(現、三菱東京UFJ銀行)入行。84年CSKに入社。CSK創業者、故大川功会長より経営危機のベルシステム24の立て直しを託され、86年専務、87年43歳で同社社長に就任。99年には東証1部上場を果たし、テレマーケティング業界ナンバーワンの企業に成長させた。

(https://www.amazon.co.jp/gp/product/4844373595/ref=as_li_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4844373595&linkCode=as2&tag=cmmarketingjp-22&linkId=23a7f56cb69d19dae7d8f536f7876309)

園山氏の著書:
『礼節と誠実は最強のリーダーシップです。(https://amzn.to/2IGbHGx)』

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