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【岸田首相、年金世帯等に追加給付金を検討】ウチの親は国民年金・厚生年金をいくらもらっている?

LIMO / 2024年8月30日 19時55分

【岸田首相、年金世帯等に追加給付金を検討】ウチの親は国民年金・厚生年金をいくらもらっている?

【岸田首相、年金世帯等に追加給付金を検討】ウチの親は国民年金・厚生年金をいくらもらっている?

介護費用はどうするつもり?《親に聞きたくても聞けないこと》

「人生100年時代」と言われている今、私たちの平均寿命は徐々に延び続けています。

厚生労働省によれば、2024年度~2026年度の65歳以上の高齢者が払う介護保険料は、従来より3.5%上昇。少子高齢化の影響はもちろん、介護が必要な高齢者・もしくは介護サービスを利用する方が増加していることも要因となっています。

加えて昨今の止まらぬ物価高。年金暮らしのシニア世代の多くが、家計のやりくりに骨を折っていることでしょう。

こうした状況を鑑み、政府や自治体の各種支援も進行していますね。2024年6月21日、岸田首相は年金世帯等を対象とした追加給付金を秋ごろをメドに策定すると記者会見で明言しています。

【写真1枚目】物価高から守る「二段構え」の対応。その「第二段」には低所得者世帯や年金世帯への追加給付金が含まれます

出所:首相官邸「岸田内閣総理大臣記者会見」2024年6月21日(http://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/statement/2024/0621kaiken.html)

そんないま、年金生活を送るシニア世代の親御さんを持つ人の中には、「うちの親は年金をいくらもらえているのだろう」「要介護になったら費用は大丈夫?」といった心配をされている人もいるはず。

介護や医療に必要な金額は、場合によって個人差があります。そして年金受給額も人それぞれです。実際に親がどのくらい年金をもらえているのか、介護費用の準備についてどう考えているのか「聞きたくても聞けない」という人もいるでしょう。

今回は、令和の年金エイジたちの「年金受給額事情」や、平均的な介護費用等に関するデータを見ながら考えていきたいと思います。

【令和の年金エイジ】ウチの親は国民年金・厚生年金をいくらもらっている?

実の親子であっても「お父さん、いくら年金もらっているの」とはなかなか聞きにくいもの。そこで、令和の年金エイジたちの年金事情を、厚生労働省の資料をもとに見ていきましょう。

【令和の年金エイジ】国民年金・厚生年金の平均月額

厚生労働省が2023年12月に公表した「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」では、国民年金のみを受け取る場合、年金月額は男女ともに平均5万円台でした。これは、厚生年金加入期間のない、自営業や専業主婦(主夫)だった人の年金額です。

会社員や公務員などのサラリーマンだった人が受け取る、厚生年金と国民年金を合わせた平均年金月額は、男性16万円台、女性10万円台です。

しかしこれらはあくまでも全体の平均額であることを忘れてはなりません。リタイヤ後に実際に受け取る年金額は、若い頃の働き方や収入などにより個人差が出ます。

では、どのくらいの人が、いくらくらいの年金を受け取っているのか見ていきましょう。

【令和の年金エイジ】ウチの親は国民年金をいくらもらっている?(国民年金のみを受け取る場合)

国民年金の受給額事情をグラフで見る

出所:厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成(https://www.mhlw.go.jp/content/001180700.pdf)

国民年金(老齢基礎年金)の受給額

〈全体〉平均年金月額:5万6316円

〈男性〉平均年金月額:5万8798円

〈女性〉平均年金月額:5万4426円

受給額ごとの人数

1万円未満:6万5660人

1万円以上~2万円未満:27万4330人

2万円以上~3万円未満:88万1065人

3万円以上~4万円未満:266万1520人

4万円以上~5万円未満:465万5774人

5万円以上~6万円未満:824万6178人

6万円以上~7万円未満:1484万7491人

7万円以上~:178万3609人

【令和の年金エイジ】ウチの親は厚生年金をいくらもらっている?(厚生年金を上乗せで受け取る場合)

厚生年金の受給額事情をグラフで見る

出所:厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」(https://www.mhlw.go.jp/content/001180700.pdf)をもとにLIMO編集部作成

厚生年金(老齢厚生年金)の受給額※国民年金の金額を含む

〈全体〉平均年金月額:14万3973円

〈男性〉平均年金月額:16万3875円

〈女性〉平均年金月額:10万4878円

受給額ごとの人数

1万円未満:6万1358人

1万円以上~2万円未満:1万5728人

2万円以上~3万円未満:5万4921人

3万円以上~4万円未満:9万5172人

4万円以上~5万円未満:10万2402人

5万円以上~6万円未満:15万2773人

6万円以上~7万円未満:41万1749人

7万円以上~8万円未満:68万7473人

8万円以上~9万円未満:92万8511人

9万円以上~10万円未満:112万3972人

10万円以上~11万円未満:112万7493人

11万円以上~12万円未満:103万4254人

12万円以上~13万円未満:94万5662人

13万円以上~14万円未満:92万5503人

14万円以上~15万円未満:95万3156人

15万円以上~16万円未満:99万4044人

16万円以上~17万円未満:104万730人

17万円以上~18万円未満:105万8410人

18万円以上~19万円未満:101万554人

19万円以上~20万円未満:90万9998人

20万円以上~21万円未満:75万9086人

21万円以上~22万円未満:56万9206人

22万円以上~23万円未満:38万3582人

23万円以上~24万円未満:25万3529人

24万円以上~25万円未満:16万6281人

25万円以上~26万円未満:10万2291人

26万円以上~27万円未満:5万9766人

27万円以上~28万円未満:3万3463人

28万円以上~29万円未満:1万5793人

29万円以上~30万円未満:7351人

30万円以上~:1万2490人

単純に平均月額だけを見ると、厚生年金を受け取れる場合は、国民年金のみを受給するよりも手厚い金額になりました。とはいえ、厚生年金加入権者どうしても個人差が大きいことも分かります。

また、上記の金額はいわゆる「額面」です。ここから、介護保険料や住民税などの税や社会保険料が天引きされる点も意外な落とし穴です。

「令和の年金エイジ」たちの年金事情が見えてきたところで、介護費用に関する意識についても調査結果を見てみましょう。

「うちの親、介護費用はどうするつもりなんだろう……」漠然と不安に思っていても聞きにくいと思っている人はぜひ参考にしてみてください。

※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。

【令和の年金エイジ】介護費用はどうするつもり?《親に聞きたくても聞けないこと》

介護費用のまかない方に関するシニアの意識とは?

内閣府の「令和4年 高齢者の健康に関する調査結果」によると、一般的な年金開始年齢である65歳以上の男女85.2%が、将来排せつなどで介護が必要になったら、介護費用を自分の資産(貯蓄や年金など)から出すつもりだと答えています。

頼もしい話ではありますが、実際に介護費用を自分で捻出できるかどうかは、資産状況や要介護度合いによっても変わってくるでしょう。

ちなみに金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査 令和4年調査結果」より70歳代世帯の金融資産保有額は以下の通りです。

二人以上世帯:平均1906万円・中央値800万円

単身世帯:平均1433万円・中央値485万円

平均は二人以上世帯で1906万円、単身世帯で1433万円。一方、より実態に近い中央値は、二人以上世帯で800万円、単身世帯で485万円にまで下がります。

では、介護費用はどのくらいかかるものなのでしょうか。平均額だけでも知っておきたいですよね。次で詳しく見ていきましょう。

【親の介護費用】介護にかかるお金や期間。平均はどのくらい?

生命保険文化センターの「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査」から、平均的な介護費用、介護期間に関するデータを眺めていきます。

介護にかかるお金(※公的介護保険サービスの自己負担費用を含む)

介護にかかるお金の平均はどのくらい?

出所:生命保険文化センター「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査(https://www.jili.or.jp/files/research/zenkokujittai/pdf/r3/2021honshi_all.pdf)」

一時的な費用の合計平均:74万円

掛かった費用はない:15.8%

15万円未満:18.6%

15~25万円未満:7.7%

25~50万円未満:10.0%

50~100万円未満:9.5%

100~150万円未満:7.2%

150~200万円未満:1.5%

200万円以上:5.6%

不明:24.1%

介護にかかる費用(月額)

出所:生命保険文化センター「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査(https://www.jili.or.jp/files/research/zenkokujittai/pdf/r3/2021honshi_all.pdf)」

【在宅介護の場合】月額平均:4万8000円

支払った費用はない:0.0%

1万円未満:7.2%

1万~2万5000円未満:22.3%

2万5000~5万円未満:17.6%

5万~7万5000円未満:13.3%

7万5000円~10万円未満:2.3%

10万~12万5000円未満:4.3%

12万5000~15万円未満:1.2%

15万円以上:5.8%

不明:26.0%

【施設介護の場合】月額平均:12万2000円

支払った費用はない

1万円未満:0.0%

1万~2万5000円未満:6.3%

2万5000~5万円未満:4.7%

5万~7万5000円未満:9.1%

7万5000円~10万円未満:8.7%

10万~12万5000円未満:20.9%

12万5000~15万円未満:7.9%

15万円以上:30.7%

不明:11.4%

介護期間は平均61.1カ月

介護期間の平均は約5年

出所:生命保険文化センター「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査(https://www.jili.or.jp/files/research/zenkokujittai/pdf/r3/2021honshi_all.pdf)」

介護期間の内訳

6カ月未満:3.9%

6カ月~1年未満:6.1%

1~2年未満:10.5%

2~3年未満:12.3%

3~4年未満:15.1%

4~10年未満:31.5%

10年以上:17.6%

不明:3.0%

調査結果によると、平均的な介護期間は約5年。

介護用ベッド購入や住宅改修などに要した「一時的な費用の合計」と、公的介護保険サービスの自己負担費用を含む「月々の費用」を合計した金額は、在宅介護の場合で約370万円、施設介護の場合で約820万円です。

もちろん、実際に必要となる費用には個人差があります。

在宅介護の場合は、バリアフリー度合いや家族との同居有無によっても変わるでしょう。民間の介護施設の場合は入居時に数十万円~数百万円が必要となるケースも珍しくありません。特別養護老人ホーム(特養)などの公的施設は比較的低費用ですが、入居希望者も多くなかなか入居できないことを覚悟しておく必要もありそうです。

また、特養だから一番安いとは言い切れないことも。世帯の資産状況によっては民間の介護施設とあまり変わらない費用になる可能性がある点は、知っておくと良いでしょう。

医療依存度や認知症の進み具合によっては、受け入れ可能な施設が限られてくることも。もちろん最適な終の棲家は人それぞれです。しかし「要介護状態になったら、どこで、誰に、どのような介護をしてもらいたいか」は、親が元気なうちにぜひ話しておきたいものです。

また、介護費用については、親がしっかりと老後資金を準備できている場合や、いま住んでいる自宅を売却して施設費用を出そうと心づもりしている場合も、実は注意が必要です。

認知症で判断能力が衰えると、銀行などの口座が凍結されたり、不動産の売買契約が結べなくなったりする可能性があります。コツコツと準備してきた老後資金を介護費用として活用できなくなることも起こり得るのです。

「突然やってくる、万が一のときのために」家族信託や任意後見などの制度で備えておくのも良いでしょう。

まとめにかえて

今回は、令和の年金エイジの「年金」「貯蓄」「介護費用」などに関するデータを眺めてきました。皆さんは、ご自身または親の介護についてどのように感じられたでしょうか。

ひとことで「介護費用」とはいえど、いつからどの程度の「要介護状態」になるかどうかで、実際に必要となる金額は変わってきます。

公的年金の受給、そして介護保険サービスの活用だけで長寿時代を乗り切ることに不安を感じた人もいるでしょう。

また、今後65歳以上の約5人に1人が認知症になるとも推計されています。多くの方々が自分たちだけではなく、親の介護にも向き合うことを余儀なくされるでしょう。

その場合は費用だけではなく、介護のための時間が必要となります。その分収入が減ってしまう可能性もあるため、ご自身の収支のバランスも崩れてしまうことに。

高齢化が進む今、このようなケースは誰にでも起こり得るものです。まずはご自身やご家族が介護になった場合にどれほどの費用が必要になるのか。また、どのようにその金額を貯めていくのか。

9月のシルバーウイークのころは、多くの地域でまだ猛暑が続いていると思われます。シニアの親の健康面や認知面で変わりがないか、ささいな変化をキャッチしてあげたいものです。

そしてこの秋は、普段はちょっと話しにくい「介護とお金」の話をしてみませんか?突然やってくるかもしれない介護生活を、穏やかにそして健やかに過ごせるように。

【ご参考】年金に関する疑問や不安を解消!よくある質問を解説

年金に関する疑問や不安を解消!よくある質問を解説

年金に関する疑問

出所:厚生労働省、日本年金機構などの各種資料をもとにLIMO編集部作成

日本の公的年金制度は複雑で、多くの人がさまざまな疑問を抱えていることでしょう。ここでは、年金に関するよくある質問を取り上げ、その解答を解説します。

年金の主な種類と仕組みは?

日本の公的年金は「国民年金」と「厚生年金」の2階建て構造になっています。

国民年金は日本国内に住む20歳以上60歳未満の全ての人が加入する基礎年金で、厚生年金は会社員や公務員が加入するものです。
国民年金は一定の保険料を納付し、将来の年金額が決まるのに対し、厚生年金は収入に応じた保険料を支払うため、将来の受給額にも差が出ます。

「繰下げ受給」とはどんな制度?

年金の受給開始年齢を遅らせることで、受給額が1カ月につき0.7%増える「繰下げ受給」があります。

例えば、65歳から受給を開始する予定を75歳0カ月まで繰り下げると、84%増額となります。これは、長期間働くことができる人や、他の収入源がある人にとって有利な選択肢となります。

年金を増やす方法はあるのか?

年金を増やす方法はいくつかあります。自営業やフリーランスの方は、国民年金の付加保険料を支払うことで、将来の受給額を増やせます。

また、厚生年金に加入する働き方に切り替えることも一つの方法です。

さらに、老後資金を増やすという意味では、投資信託やiDeCo(個人型確定拠出年金)などを利用して、自身で資産運用を行うのも選択肢です。ただし、運用にはリスクがあることに注意が必要です。

参考資料

厚生労働省「我が国の人口について」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_21481.html)

厚生労働省「「第9期計画期間における介護保険の第1号保険料について」(https://www.mhlw.go.jp/content/12303500/001253798.pdf)

入院も退院も時間の余裕なし!夏場に増える「高齢者の入院・退院」に関する実態調査をLIFULL 介護が実施(PR TIMES)2024年8月2日(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000060.000049958.html)

生命保険文化センター「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査」(https://www.jili.or.jp/files/research/zenkokujittai/pdf/r3/2021honshi_all.pdf)

厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」(https://www.mhlw.go.jp/content/001027360.pdf)

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和4年調査結果」(https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/yoron/futari2021-/2022/)

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査] 令和4年調査結果」(https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/yoron/tanshin/2022/)

内閣府「令和4年 高齢者の健康に関する調査結果」(https://www8.cao.go.jp/kourei/ishiki/r04/zentai/pdf/2_3_3.pdf)

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