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マンションのコンシェルジュに賛否が分かれるワケとは?

LIMO / 2018年7月14日 10時15分

マンションのコンシェルジュに賛否が分かれるワケとは?

マンションのコンシェルジュに賛否が分かれるワケとは?

六本木ヒルズレジデンス(https://kawlu.com/journal/2018/04/23/58000/)、虎ノ門タワーズレジデンス(https://kawlu.com/journal/2018/05/20/60223/)、パークコート六本木ヒルトップ(https://kawlu.com/journal/2018/05/20/60203/)、プラウドタワー白金台(https://kawlu.com/journal/2018/06/11/61091/)、ザ六本木東京クラブレジデンス(https://kawlu.com/journal/2018/06/20/62159/)などの超高級マンションでは、必ずといっていいほどコンシェルジュサービスが付いています。

しかしコンシェルジュサービスの内容やクオリティはどこも同じというわけではなく、マンションによって様々です。そして実際に、コンシェルジュサービス付きのマンションに住んでいる方たちからは、その存在に対する賛否両論の声を聞くことがあります。

この記事では、コンシェルジュサービスにはどんなメリットやデメリットがあるのか、そして、その実情とはどんなものなのかについてご紹介しましょう。

マンションを買ったら「コンシェルジュサービス」が付いていた

実際に住んでいる方に聞くと、マンション購入を検討する際に、コンシェルジュサービスの有無を気にすることはあっても、それが決め手になることはあまりなく、その内容やクオリティを検討材料にする方は少ないようです。

せいぜい「あれば、便利かも」とか、「あれば、いいな」という程度のもので、実際は、“マンションを買ったら「コンシェルジュサービス」も付いていた”というのが本当のところではないでしょうか。そもそも、住人になって実際に利用してみないと実情は分かりませんよね。

「あれば、いいな」では済まない、コンシェルジュサービスの影響

「コンシェルジュがいるマンションに住んでいる」。それはマンションコミュニティの観点から見ても、それはそれでひとつのステイタスにはなるでしょう。

しかし忘れてはいけないのが、コンシェルジュをはじめ様々なマンションのサービスを支えているのは、居住者が払う管理費だということです。そして、いったん購入してしまうと、コンシェルジュサービスの内容が悪いからといって簡単に出て行くわけにはいかないということです。

たとえば、常時2人体制で24時間対応であれば、最低でもコンシェルジュが4~5人は必要になります。ということは、人件費だけでもかなりの金額になりますよね。そしてその人件費は、区分所有者が毎月支払う管理費に含まれているのです。

仮にコンシェルジュサービスの内容やクオリティに不満があっても、決められた管理費は払わなくてはいけません。つまりコンシェルジュサービスを不必要と感じている方にとっては、毎月必要のないことにお金を払わされているということになるのです。

もちろん、クオリティの高いサービスを提供してくれるコンシェルジュのいるマンションも多くあります。しかし、そのサービスを心地良く感じるか否かは、居住者個々の指向や価値観によって違います。ですから、コンシェルジュサービスは、「あれば、いいな」程度に軽く考えてはいけないのです。

そもそも、コンシェルジュサービスって何なの?

もともとコンシェルジュというのは、フランス語で「アパートメントの管理人」という意味だそうです。それが次第に広義な意味で使われる様になって、ホテルでお客様に多彩なサービスを提供する職をコンシェルジュと呼ぶようになったようですね。

ホテルのそれと似たようなイメージでマンションのコンシェルジュサービスが登場したわけですが、この場合、サービスの対象になるのは住人ですから、ホテルのコンシェルジュとは本質的に役割が違います。サービス内容は、マンションによって異なりますが、一般的には下記のサービスが基本になります。

共用施設の予約受付

来訪者の受付・案内

荷物の一時預かり

メッセージ預かり

クリーニングの取次ぎ

宅配便の発送受付

デリバリー・ケータリングサービス紹介

各種レンタルサービスの紹介

はがき・切手の販売

郵便物の発送

タクシー・ハイヤーの手配

この他にも様々なサービスを提供してくれるところがありますが、サービスのバリエーションが増えればそれなりに管理費に跳ね返ってくると思ったほうがよいでしょう。

また、マンションによって違いますが、すべてのサービスが無料というわけではありません。利用する方としない方がいるため、すべてのサービスを無料にすると不公平になるからです。とはいえ、コンシェルジュがいるというだけで、サービスを利用しなくても費用はかかりますので、重要なのはこれらのサービスが自分にとって必要かどうかでしょう。

たとえば、30~40代の比較的若い世代と高齢者では、コンシェルジュサービスの利用頻度や感じる価値に違いがあるでしょう。ホテルのように知らない土地で利用するなら価値があっても、住んでいる土地では不要ということもあるでしょう。

また、このくらいのことは自分でできるという方にとっては、ほとんど不必要なサービスともいえるかもしれませんが、仕事が忙しく家のことがなかなかできない方や、家では家事を忘れてのんびりしたい方、一人暮らしの高齢者いった方にとっては、便利でありがたいサービスということがいえるかもしれません。

コンシェルジュサービスの費用対効果

先程も述べたように、コンシェルジュサービスの経費は管理費に含まれています。したがって、管理費とサービスの費用対効果がどうなのかが、マンション選びにおけるひとつの目安になります。

とはいえ、単純にお金に換算できない効果も多々あります。エントランスに常に人がいるというだけでも、防犯効果はあります。何かの用事でほんの少しの時間、小さなお子さんを一人でロビーに待たせておいても、コンシェルジュがいれば安心です。

そして、出かける時に「行ってらっしゃい」、帰ってきた時に「お帰りなさい」と声をかけられて感じる人の温もり。これはお金には換算できませんよね。

コンシェルジュは不要という住人の声

いつも朝早く出かけて帰宅するのも遅いため、コンシェルジュの姿を見たことがない。だから、必要ない気がする。

マンションの1階にコンビニがあるので、宅配の発送や受け取り程度なら、それで十分事足りるので不要。

何もせずじっと待機している姿をよく見かけるので、本当に必要なのか疑問。

不要と考えているのは若い世代の男性など経済的に余裕のない層に多く、その理由はタワーなどの大規模マンションの住人と共通する傾向があると思われます。

多様な間取りがあり部屋ごとの価格も大きく違うタワーマンションの場合は、上層階と下層階では住人の年代や経済状況などの差が大きいという特徴があります。ですので、どうしても金銭感覚や価値観に違いが出てきて、費用のかかるコンシェルジュは不要という意見が出てくるといったこともあるのでしょう。

実際に住む前は、コンシェルジュがいるマンションはカッコいいと思っていたけれど、いざ住んでみると費用対効果を考えて無駄に感じるようになるということもあるようです。そしてこういったコンシェルジュ不要という声は、それぞれのマンションにある共有施設に対する意見とも共通しています。根底にあるのは、それほど使わないのにあっても経費の無駄遣いではないかという考え方のようです。

おそらく、すべての住戸が億単位の超高級マンションであれば、クレームや様々な注文はあったとしてもコンシェルジュ不要という声は出てこないのかもしれません。そもそも、億単位のマンションに住むクラスになると、ステイタスを感じられる暮らしのためには、少々高い管理費も必要経費と割り切っている方も多いのでしょう。

コンシェルジュサービスを肯定する住人の声

コンシェルジュがポーターサービスもしてくれるので、荷物が多い時はすごく助かる。

遅い時間でもエントランスに人がいてくれるので、一人でも安心。

笑顔で挨拶してくれるので、心がなごむ。

こまごまとした日常的な相談にも応じてくれるし、話し相手にもなってくれるのですごくありがたい。

コンシェルジュ肯定派は、どうも女性や高齢者に多いようです。利便性もありますが、経済的なメリットというより精神的な面で評価されているような印象を受けます。コンシェルジュ肯定派にとっては、否定派が思う以上に「安心」や「親切」ということが重要なポイントになるのでしょう。

コンシェルジュの雇用形態

意外と知られてないというか、あまり注目されていないのがコンシェルジュの雇用形態ではないでしょうか。ところで、彼らの雇い主は一体誰なのでしょう。

基本的に、コンシェルジュは管理会社の配下にあります。しかし、管理会社の正社員というケースはほとんどなく、大概はコンシェルジュサービスを取り扱う派遣会社に所属しています。そしてコンシェルジュとしてのスキルは、はっきりいってしまうとピンキリといえます。

ホテルでコンシェルジュの経験がある方や秘書の経験がある方もいますが、まったくの未経験者も割といるというのが実情です。最近は派遣会社がコンシェルジュのアルバイトの募集広告を出しているのをよく見かけます。つまり、アルバイトでコンシェルジュの仕事をされている方も意外といるということです。

コンシェルジュのクオリティは管理費に反映する

いつも笑顔で優しく丁寧に対応してくれて、細かいところに気遣いをしてくれる。そういう品質の高いサービスを提供できるコンシェルジュのお給料が、それなりに高いのは当然でしょう。そして、そういうスキルの高い人材の数は限られていますので、スキルの高い人材は、高いクオリティを要求される超高級マンションに優先的に派遣されることになります。

クオリティの高いコンシェルジュサービスを提供するためにはコストも高くなるわけで、管理費もそれに伴って高くなるということでしょう。

多くのコンシェルジュはアルバイト

アルバイトだからといって、一概にサービスの品質が悪いと限りません。コンシェルジュは接客業でもあるので、人と接するのが苦にならず人に喜んでもらうことが嬉しいと思える人には向いている仕事です。

しかし、アルバイトのコンシェルジュは、必ずしも適材適所とは限らないのでクオリティにバラつきがあります。つまり、当たり外れがあるわけです。もちろん、個々の住人との相性もあるでしょう。しかし、クオリティが高いということは、最低限の水準が通常のレベル以上であるということを意味します。つまり、当たり外れがないということです。しかしアルバイトやパートという待遇で、そこまで要求するのは無理がありますよね。

優秀な人材には、それ相応の待遇を用意するなり高い報酬を支払う必要があります。しかし現実は、なかなかそうはいかないところがあります。ですから、マンションによっては住民からコンシェルジュは必要ないという意見が出るのも、ある意味仕方のないことなのかもしれません。

まとめ

これまでデベロッパーは、マンションの付加価値としてコンシェルジュサービスを位置づけてきました。しかし今後は、コンシェルジュのスキルやサービスの内容、クオリティのレベルが問われる時代になるでしょう。そうなれば、コンシェルジュサービスの品質が中古マンション購入における重要なポイントになるかもしれませんね。

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