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不祥事の“お詫び会見”に意味はあるのか?

LIMO / 2018年7月12日 10時35分

不祥事の“お詫び会見”に意味はあるのか?

不祥事の“お詫び会見”に意味はあるのか?

データ改ざんもパワハラも、テンプレート化した反省文にゲンナリ

様々な不祥事のニュースが絶えない今日

日々流れる多くのニュースの中で、不祥事(スキャンダル)に係るニュースがいっこうに減らない状況が続いています。

今年に入っても、大企業による数々の不祥事だけでなく、国家官僚による一連の問題(財務省、文部科学省など)、政治家・官僚・地方議員によるセクハラ事件、地方自治体による不手際、芸能界のスキャンダル(ジャニーズ所属タレントによる諸々の事件など)、日大アメフト部に代表されるパワハラ事件、金融機関による不祥事(過剰融資、行員の巨額横領など)等々、数え上げたらキリがないと言っていいでしょう。

それにしても、なぜ不祥事は減らないのでしょうか。

不祥事発覚後の“お詫び会見”で使われる「テンプレート」とは?

不祥事が明るみに出ると、その該当団体や該当者がお詫び会見を行うのがお決まりのパターンとなっています。しかし、そのお詫び会見でのコメントは、大体の場合が以下のようなものです。

『この度は、関係者の皆様に多大なるご迷惑・ご心配をおかけしたことに対し、深くお詫び申し上げます。…………(中略)…………警察・当局による捜査・調査に対しては全面的に協力する所存です。…………(中略)…………今後は同様の事案が起きないよう再発防止に努めて参ります。…………(中略)…………今後ともより一層のご支援・ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。』

不祥事の内容によっては、表現に多少の違いはありますが、概ねこのパターンです。というか、これ以外のお詫びコメントを見たことがあるでしょうか? 明らかに、ある種の「テンプレート」が用意されていて、該当する箇所だけを書き換え、多少の加筆によって発表されているように感じてしまいます。

しかも、この「テンプレート」は突っ込みどころが満載なのです。

誰も心配なんかしていない、呆れ果てているだけだ

まず、冒頭の「関係者の皆様に多大なるご迷惑・ご心配を…」の箇所ですが、多くの人の感想は“誰も心配なんかしてねぇーよ!”、“呆れているんだよ、怒ってんだよ”というのが正直なところではないでしょうか。そもそも、「関係者」がどこまでの範囲を指すのかも不明です。

また、次の「捜査・調査に対しては全面的に協力する…」の箇所に関しては、ごく当然のことであり、わざわざ言うようなことではありません。逆に、この表現だと、その捜査・調査対象者が“緊密な関係者”の場合(経営陣、大口支援者、大株主など)、本当に100%協力するのか?という疑念が拭えません。

再発防止策が実際に公表されたことはありますか?

そして「…再発防止に努めていきます」という箇所が大きな問題です。

こういったお詫び会見で再発防止がうたわれたにもかかわらず、その再発防止策が社外・対外向けに公表されたケースをほとんど見た記憶がないのは、筆者だけではないと思われます。仮に、100歩譲って、何らかの再発防止策が講じられたと好意的に見たとしても、その再発防止策が全く機能しなかったケースは事欠きません。

実際に、いったい再発防止策を何度講じれば気が済むの?という事例ばかりです。

不祥事を起こしておいて「ご支援・ご鞭撻」!?

そして、最後の「…ご支援・ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます」です。この文言をザックリ言い換えると、対外的に「これからも応援してくださいね」という意味になります。ハッキリ言って、図々しいにも程があります。

“不祥事を起こしておいて、応援してくださいねとは何ごとだ!”という怒りの感情が湧き出ても何ら不思議ではありません。

お詫び会見で終わらせる風習を止めることが重要

このような定型テンプレートを用いたその場凌ぎのお詫び会見を行っているうちは、不祥事の当該者や当該団体が本当に反省しているとは考え難いのが実情ではないでしょうか。また、こうした使い回しのような反省文を発表しただけで何となく納得し、その後の追及を求めない多くのメディアや、筆者を含めた私たち一人一人にも大きな責任があると言えます。

世の中から不祥事を減らす、とりわけ、同じ該当者や該当団体による再発を防ぐには、厳しい追及を緩めてはいけないことが重要でしょう。

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