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使いすぎると逆に失礼! 「させていただく」の正しい使い方

LIMO / 2018年7月22日 20時40分

使いすぎると逆に失礼! 「させていただく」の正しい使い方

使いすぎると逆に失礼! 「させていただく」の正しい使い方

実践! 好かれる人の話し方

みなさんは日ごろ「させていただきます」という言葉をどれくらい耳にして、使っているでしょうか?

「させていただく」という言葉自体には、非常に丁寧な印象があり、相手に対して謙虚さを表すことができます。しかし、これを乱用・誤用してしまうと、むしろ失礼に感じられてしまうことがあり、場合によってはトラブルにつながることもあります。

この記事では、『好かれる人の話し方、信頼される言葉づかい』の著者で、ANAやディズニーなど、7年でのべ100万人にもおよぶ接客を行い、現在はコミュニケーション講師として活躍する桑野麻衣さんが、知っているようで知らない「させていただく」の正しい使い方をお教えします。

使えるのは、「相手の許可」が必要なときだけ!

ビジネスシーンでよく聞く「させていただく」ですが、「させていただく症候群」という言葉もあるくらいで、その扱いには要注意です。

文化庁によれば、「させていただく」という言葉は本来、「他者の許可を得た上で、自分が行うことについて、その恩恵を受けることに対して敬意を払っている場合」に使うのが正しいとされています。つまり、「相手の許可が必要かどうか」が鍵となるわけです。

たとえば、「この本をコピーさせていただいてもよろしいでしょうか?」は持ち主である相手の許可が必要なので、正しい使い方です。一方、仕事において「確認させていただく」「報告させていただく」と言う場合には、別に相手の許可がいらないのであれば「確認いたします」「報告いたします」と言い切ったほうがいいでしょう。

乱用例その1 本人は謙虚なつもりだが、まどろっこしい

一度であればそこまで不快に感じない「させていただく」ですが、乱用すると不快になる、とてもわかりやすい例をご紹介します。元々この言葉が流行り出した原因とも言われている、テレビでよく見る芸能人の舞台あいさつや番組宣伝の場面です。

「この映画の主演を務めさせていただく◯◯と申します。この映画の主演を務めさせていただくことにより、□□先輩と共演をさせていただき、毎日演技の勉強をさせていただいております」

おそらく本人は低姿勢や謙虚さをアピールし、相手を立てているつもりでしょうが、聞いている側はなんだかまどろっこしくて、形ばかり敬っているような印象になることがおわかりでしょうか。それはやはり、本来の意味とは違った使い方をしているからです。「相手の許可がいる場面なのか、不要な場面なのか」を判断基準にしましょう。

乱用例その2 慇懃無礼で、仰々しい印象に

接客の場面においては「させていただく」の乱用が大きなクレームにつながることが多くあります。実際に私が接客の社内講師をしていたときに聞いた実例をご紹介しましょう。お客様からご意見をいただいたときに、あるスタッフがこのように対応したそうです。

「大変申し訳ございませんでした。この件につきましては、早急に現場に確認をさせていただきます。現場に確認をさせていただき状況がわかりましたら、早急に会社にも報告をさせていただきます。その上で◯◯様にご報告のご連絡をさせていただいてもよろしいでしょうか」

この文章で相手の許可が必要だったのは、実は1カ所だけ。最後の「◯◯様にご連絡をさせていただいてもよろしいでしょうか」のみです。お客様に連絡をするには相手から許可を得る必要がありますが、その前の「現場に確認をさせていただく」と「会社に報告をさせていただく」については許可を得る必要はありません。お客様からすれば、すぐに現場を確認して、会社に報告をしてほしいので、「現場に確認をいたします。状況がわかりましたら早急に会社にも報告いたします」と言い切るべきなのです。

このケースでは、お客様から「なんだか面倒くさそうな言い方に聞こえる。口先だけで『させていただく』と何度も言われても、こっちは不快なだけ」と言われてしまったそうです。実際に「させていただく」が続くと、どこか「してあげる」というような慇懃無礼で、仰々しい印象になってしまうのです。

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「させていただく」の使い方 まとめ

非常に丁寧で謙虚な印象のある「させていただく」ですが、乱用してしまうと、むしろ相手に失礼に聞こえてしまいます。せっかく言葉づかいに気をつけたとしても、これでは逆効果です。

(1)「させていただく」を使うときには、相手の許可がいる場面なのか、不要な場面なのかを見極める
(2) もし許可がいらないのであれば、「いたします」としっかりと言い切る
(3) もし許可が必要なのであれば、「させていただく」と言う

こういったポイントを頭に入れて、「させていただく」を正しく使えるようにしましょう。

 

■ 桑野 麻衣(くわの・まい)
学習院大学卒業後、全日本空輸株式会社(ANA)に入社。7年間で100万人を超えるお客様サービスに携わる。ANA在籍中にオリエンタルランドに出向。その後、ジャパネットたかた、再春館製薬所グループ企業を経て独立。接遇マナーやコミュニケーション、人材育成等の企業研修や各種セミナー、大学生や経営者、医療法人向けの講演など幅広く活動中。

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