「貯蓄から投資」がおかしな理由

LIMO / 2018年7月24日 10時0分

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「貯蓄から投資」がおかしな理由

証券業界では以前から「貯蓄から投資」をスローガンに現金から有価証券への投資を施そうとする動きがあります。しかし「貯蓄」の定義を考えるとクエスチョンマークが残る部分があります。今回はあらためて貯蓄とは何か、またお金持ちの貯蓄について整理をしてみましょう。

「貯蓄」とはそもそも何か

「貯蓄から投資」というと、「貯蓄」が銀行の「預金」やゆうちょ銀行の「貯金」といった「預貯金」を指し示しているかと思う方も多いでしょう。「貯蓄から投資」=「預貯金から投資」と同じだと考えている人も多いではないしょうか。

しかし、「貯蓄」の定義は総務省の定義を前提とすると「貯蓄から投資」といわれると「ん?!」と思うこともあります。

総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、「貯蓄」とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計を言います。

こうしてみると、「貯蓄」はいわゆる「貯金」や「預金」だけではなく、既に株式や投資信託といった有価証券が含まれることに注意が必要です。つまり「貯蓄から投資」は「貯蓄」にすでに「投資」という要素が含まれており、意味としてはリダンダントではないかということです。

お金持ちのポートフォリオはどうなっているのか

日本の家計は現預金の保有比率が高いということで「貯蓄から投資」というスローガンも生まれるわけですが、では世界のお金持ちのポートフォリオはどうなっているのでしょうか。

仏コンサルティング会社であるキャップジェミニの資料をもとに「世界のお金持ちは何に投資をしているか」(https://limo.media/articles/-/6520)で見ているように、HNWIとも呼ばれる富裕層は現金及び現金同等物を約30%程度持っているということが分かります。

株式:31%

現金及び現金同等物:27%

不動産(住居を除く):17%

債券:16%

オルタナティブ投資:9%

富裕層だからといって、現預金をリスク資産に投じているわけではなく、流動性を意識した資産配分になっていることがわかります。富裕層のポートフォリオを参考にすると、一概に現預金をリスク資産にシフトさせることが正解ではないともいえます。

次の論点は家計がどの程度のリスク資産を持てばよいのかに

富裕層のポートフォリオを見る限り、あらためてざっくり整理すると、以下の通りです。

株式が約30%

現預金等が約30%

インカムゲインのある債券や不動産が約30%

オルタナティブ投資が約10%

個人投資家が債券や不動産、オルタナティブ資産を持とうとすると投資信託を購入することでその資産を持つことができます。個人のライフスタイル、ライフステージ、そして現在の資産状況に応じてもとめる資産配分も異なってくるでしょうが、「実りある貯蓄」を目指す際に参考にしてみてはいかがでしょうか。

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