老後資金の不安を解消? 相次ぐトンチン年金の商品発売
LIMO / 2018年8月4日 20時20分
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老後資金の不安を解消? 相次ぐトンチン年金の商品発売
人生100年時代で注目
平均寿命の延びに対応する「トンチン年金」が人気に
日本人の寿命がどんどん延びています。厚生労働省の「2017年簡易生命表(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life17/index.html)」によると、男性の平均寿命は81.09年、女性の平均寿命は 87.26年で、前年と比較して男性は0.11年、女性は0.12年上回っています。
男性の平均寿命が81.09年というと、75歳の男性であれば「あと5、6年」と考えるかもしれませんが、それは誤りです。というのも、平均寿命とは「今0歳の赤ちゃんが何歳まで生きるか」ということです。なので、今75歳の人の寿命はもっと長いのです。
2017年簡易生命表によると、75歳の男性の平均余命は12.18年、75歳の女性の平均余命は15.79年となっています。さらに、今90歳の男性の平均余命は4.25年、90歳の女性の平均余命は5.61年となっています。
まさに人生100年時代が現実的になる中、注目を集めているのが「トンチン年金保険(以下、トンチン年金)」です。
日本生命が2016年4月「グランエイジ」を、第一生命が2017年3月に「ながいき物語」を発売。いずれも販売が好調だったことから、2017年10月には太陽生命が「100歳時代年金」、同じく10月には、かんぽ生命が「長寿のしあわせ」と、トンチン年金を投入してきました。
さらに、2018年1月にはマスミューチュアル生命が、野村證券で販売されている「マスミューチュアル定額年金」に「ながいき年金プラン」を追加。三井住友海上プライマリー生命も2018年5月、「あしたの、よろこび」を発売するなど、各社でトンチン年金に相次いで参入してきています。
そもそも、トンチン年金とは?
「トンチン年金」の「トンチン」とは、死亡保障を行わない代わりに、その分、生きている人の年金を大きくする仕組みのことで、17世紀にイタリア人の銀行家ロレンツォ・トンティが考案したことに由来すると言われています。
大きな特徴は、「早く死んでしまった人の分を、生き残った人が享受する」という点にあります。つまり、一定の年齢以前に亡くなると「元が取れない」ということになります。
一見、「自分が払った分が戻ってこないなんて損だ」と思うかもしれませんが、保険とはそもそも、そういうものです。たとえば、自動車保険は、万一事故を起こした人は多額の保険料を受け取ることができますが、事故を起こさなかった人の保険料は掛け捨てです。
文字どおり「長生きリスク」に備えるのがトンチン年金と言えるでしょう。
トンチン年金だけを頼りにするのではなく、広い視点で選択を
ただし、現役世代を含め、すべての人にお勧めできるかと言えば疑問もあります。ネックになるのが、保険料が高めであること。
たとえば、日本生命の「グランエイジ」の場合、50歳のときに契約し、払込満了・年金開始70歳、年金額(終身)年60万円とすると、保険料は男性が月5万0790円、女性が月6万2526円です。男性の20年間の払込保険料は1,218万円あまりになります。5年保証期間などもあるため、男性の損益分岐年齢は90歳になります。
問題は、そこまで生きたとしても、年金額は年60万円、つまり月5万円程度だということです。それを終身にわたり受け取れるという安心感はありますが、トンチン年金だけでは生活はできません。
欧米でも「長寿年金」という名前でトンチン性の高いさまざまな商品が発売されています。ただし、子どもや孫に相続した残りのお金で、まさに長生きリスクに備えるといったように、富裕層の利用が多いようです。
日本でも契約できる年齢は各社ともに50歳以上になっています。若い世代の人であれば、「つみたてNISA」、「iDeCo(イデコ)」などを活用すれば、自分で資産を増やすチャンスも多いでしょう。
また、シニア世代の人であっても、できるだけ長く働き、公的年金の受給を70歳まで繰り下げれば、65歳から受給する場合に比べ42%も増額させることができます。
自分のリスクや備えを視野に入れながら、トンチン年金も含めたさまざまな選択肢を検討するといいでしょう。
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