1人で背負いこんで苦しむのはなぜ？ 大人だからこそ必要な「人に頼る勇気」

「人に頼らないことこそ『大人』の証拠。頼るなんてカッコ悪い」と思っていませんか。大人になると、人には頼りにくくなるものですよね。日本では「人に迷惑をかけてはいけない」と教育されることも多く、それが美徳のように語られることもあります。

しかし「誰にも頼らない、迷惑をかけない」でいて、ほんとうに心は満たされるでしょうか。人にうまく頼れるようになると、何でも1人で背負っていた頃よりも人に優しくなれ、人生も色づくことでしょう。1人で生きていくと決めた人も、家族のいる人も、「人に頼る勇気」を持つことを考えてみませんか。

頼らなければ、頼られない

「頼ってはいけない」「迷惑をかけてはいけない」という考えは、しっかりしている印象を与えますが、知らぬ間に人を遠ざける考えでもあります。人に頼らない人は、人から頼られることがほとんどないでしょう。それは自分だけでなく、他人が迷惑をかけることにも厳しくなるから。周囲の人も、頼らない人には頼りにくくなるものです。

他人が少しでも甘えたり迷惑をかけている場面を見ると、「自分は頑張ってやっているのに、何であの人は」なんてイライラしたり、非難したくなることはないでしょうか。そうはいっても、人間は失敗する生き物であり、1人で生きれるものではありません。逆に自分が窮地に立たされたときに、かつて他人を責めた言葉が、自分に返ってきてしまうこともあるのです。

このように誰にも頼らないでいると、自分にも他人にも厳しくなり、苦しくなってしまうことも。頼らない人ばかりが集まった社会は、殺伐としたものとなることでしょう。

また、人に頼らないと決めても、誰しも苦手分野や嫌いなことはありますよね。誰にも頼らないと、苦手なことも無理して1人で抱え込むことになってしまいます。頼れる人に比べて、貴重な人生の時間を苦手なことに費やす場合が増えてしまうでしょう。

人の間で生きると、人に優しくなれる

「人の間」と書いて人間と書きますが、本来人間は人の中で生活するようにできています。1人の人間にできることは限られていますし、人には好き嫌いや得意・不得意があるものですよね。

だからこそ、自分の得意なことやできることに時間をかけ、困っている人がいたり頼られたら、自分のできることで手を貸す。一方で、苦手なことやできないことは人に相談したり、頼ってみる。こういった「持ちつ持たれつ」の人間関係が築けるようになると、心が満たされるようになります。

深い人間関係を築くようになると悩みも生まれますが、信頼関係が築ける人も見つかるので、1人で抱え込んでいた時よりは日々の生活が楽しくなることでしょう。人間は未熟で失敗もするものですが、「持ちつ持たれつ」の関係の中で生きると、自分にも人にも優しく寛大になれ、生きるのが辛くなくなります（もちろん依存にならないように節度を守ることは大切です）。

1人で苦手なことに悪戦苦闘していた時より、自分の好きなこと、得意なことに時間を費やせるようにもなります。「適材適所」でいくと、様々なパフォーマンスも上がることでしょう。

人に頼れない、その心理は？

そうはいっても、「人に頼るのが苦手」という人も少なくないですよね。人に頼るのが苦手な人は、「しっかりしていると他人から思われたい」という願望が強いのではないでしょうか。そして実際、周囲からもしっかりしていると評価されている人も多いのでは。

「しっかりしている人」と思われることが、自分のプライドを支える一つにもなっている人は、心の奥に「しっかりしていないと人から嫌われてしまう」「ダメな人だと思われるのが怖い」「周囲から見捨てられたくない」という気持ちを抱えてはいないでしょうか。

これは長男長女だったり、子ども時代に早く大人になることを求められた人に多い感情だといいます。「しっかり者でいれば親から見捨てられない」という思いを、大人になっても引きずっているのですね。

自分を褒め、一歩を踏み出そう

こうした場合、「見捨てられまい」と頑張った自分の心と向き合い、受け止め、褒めて許してあげましょう。子ども時代はしっかりすることを大人から求められ、それに対して自分は十分に応えたのです。頑張った自分を褒めてあげてください。

「しっかりしなきゃ」と何でも1人で抱え込まなくても、周囲はあなたを見捨てはしません。それよりも「持ちつ持たれつ」の関係を築くことで、より深く強固な人間関係が築けるようになることでしょう。

自分の心と向き合い、人に相談してみることから始めてみましょう。相談話をするだけでも相手との距離感が縮み、次第に人生が色づくものです。