資金調達額歴代1位の「折りたたみ式ハイブリッドバイク」とは
LIMO / 2018年10月6日 10時25分
![資金調達額歴代1位の「折りたたみ式ハイブリッドバイク」とは](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/toushin1/toushin1_7904_0-small.jpg)
資金調達額歴代1位の「折りたたみ式ハイブリッドバイク」とは
2018年度グッドデザイン賞を受賞
クラウドファンディングで約1億2800万円の資金を調達
クラウドファンディングサービス「Makuake」において、資金調達歴代1位(約1億2800万円)という記録を叩き出したのが、ハイブリッドバイク「GFR-01」だ。ハイブリッドバイクとは、「ペダル走行モード」「EV走行モード」「HV走行モード」の3つのモードが選択できる次世代型モビリティで、わかりすく言うと、ペダル付きの電動バイク。
GFR-01を販売しているのは、和歌山県に本社があるglafit(グラフィット)株式会社。同社は20年近くカー用品を作り続けているメーカーで、CEOの鳴海禎造氏は、「パーツだけでなく乗り物自体を作りたく、目標はホンダやスズキと肩を並べる自動車メーカーになることです。ホンダもスズキもバイクからスタートしているので、まずはバイクからチャレンジしようと考えGFR-01を誕生させました」と思いを語る。
GFR-01は、2017年5月にクラウドファンディングで資金を調達し1000台限定生産し、同年10月からはスーパーオートバックスで販売も開始した。国内の電動バイク市場においては売れ行き好調で、1年間で3,000台も売れているという。
新しいコンセプトが評価され2018年度グッドデザイン賞を獲得
GFR-01は、コンパクトな折りたたみ電動自転車で、3種の走行モード、フレーム内部にバッテリーを収めたスタイリッシュな外観が評価され、2018年度のグッドデザイン賞を獲得。
GFR-01の特徴はなんと言っても、ペダル操作もできるハイブリッドバイクということ。自転車のように自力のみでこぐ「ペダル走行モード」では、自転車と同じペダル、ハンドル操作で走ることが可能。
「EV走行モード」では、右グリップにあるスロットルをひねれば後輪が回転してバイクと同じように走れる。
さらに「HV走行モード」では、電動モーターとペダルをこぐ足のそれぞれの力を使って走行できる。これは電動アシスト自転車のように、ペダルを踏む力を軽くするアシストとは違い、インホイールモーターが自分の足をサポートして走る感覚だ。走行中でもペダルはこげるが、速度が20km/h程度になると、ペダルの回転が追いつかなくなるため、発進時や坂道を走るときにペダルをこぐという使い方がいいだろう。
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3つのモードはボタンで切り替え、グリップ根本がスロットル(写真提供:glafit)
ペダル付きで折りたためば電車内にも持ち込み可
GFR-01は工具なしで簡単に折りたたむことができる。折りたためばクルマのトランクにも入り、オプションの輪行バッグやハードケースに入れれば、電車内に持ち込むことも可能だ。目的地まではクルマやタクシー、電車などを使い、現地に着いたら電動ハイブリッドバイクを乗るという使い方も考えられる。
気になるサイズだが、折りたたみ自転車と変わらずコンパクトで、重量は約18.7kgと電動アシスト自転車なみの重さだ。バッテリーはフレーム内に収納しているため、見た目は自転車そのもの。バッテリーは取り外しても装着したままでも充電できる。充電は4~5時間で完了し、1回にかかる充電コストは10円以下と経済的。
1回の充電で約40km走行可能で、最高速度は30km/h。価格は税込み15万円で、大手メーカーの電動アシスト自転車が10万円程度からあるのを考えたら、割高感はほとんどない。
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折りたたみ自転車サイズで重量は約18.7kgと軽い(写真提供:glafit)
電動アシスト自転車との大きな違いは免許が必要なところ
GFR-01が電動アシスト自転車と大きく違うのは、免許が必要な原動機付自転車だということ。そのため公道を走るために必要なナンバーはもちろんのこと、ヘッドライト、ウィンカー、ストップランプ、速度計、バックミラー、クラクションなどの装備が付いている。公道を走る場合にはヘルメットの着用も義務付けられ、原付なので1人乗りで、自賠責保険の加入も必須となる。
ちなみにモーターを使わない「ペダル走行モード」で走ったとしても、ヘルメットの着用は必要で、法律上は原付と同じ扱いになる。また、原付なので歩道は走れず、歩道や車道に駐停車した場合は、自転車と違って原付と同じく駐停車禁止の切符を切られる。
もし完全にバッテリーが切れてしまったら、法律上では公道走行はできないのだが、バッテリー残量が1メモリになると点滅して知らせてくれる。その状態から2時間ほどはライト、ウィンカーなどの灯火類は可動するので、「ペダル走行モード」で充電できる場所まで移動すればいいだろう。
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泥よけの付け根には指紋認証の「YubiLock」があり簡単に施錠できる(筆者撮影)
海外では電動自転車は免許不要
そもそもペダルをこがなくてもモーターだけで走行できるものは、電動アシスト自転車とは区別され、出力によって原動機付自転車、もしくは自動二輪車として扱われ、免許が必要な乗り物になる。それをヤマハがアシスト技術を採用して1993年に発売したのが、世界初の電動アシスト自転車のPASだ。
モーターだけで走行できる電動自転車は免許が必要なのだが、多くの国では自転車として扱われている。そのため留学生や在留外国人の中には、自国と同じ感覚で、ナンバー登録していない電気自転車で歩道や公道を走ってしまい、書類送検されるという問題も起こっている。実際にECサイトで公道走行不可の電動自転車が堂々と販売されている。
そういった間違いを防ぐためにも、GFR-01の存在意義は大きいだろう。今後、電動ハイブリッドバイクとしてのカテゴリーを確立できれば、歩道の走行や、免許が不要になるなど、道交法が変わる可能性もある。
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オプションで輪行バッグやハードケースなど用意している(筆者撮影)
両国駅前のバイクイベント「NEUTRAL」でもGFR-01は大注目
今年9月29日に両国駅前の広場で初開催されたイベントのNEUTRAL(ニュートラル)では、glafitのブースも出展した。ちなみにニュートラルとはギアが入っていない状態のことで、今までのバイクイベントの雰囲気から脱して、フラットな目線でバイクを見てみようという意味が込められている。ペイントアートやDJブースを設置して、若いライダーや、バイクに興味がない人にもバイクの魅力を伝える新感覚イベントだ。
主催はウェブバイクマガジンのMotoBe、海外での人気が高いバイクポッドキャストメディアMotoJapan、革ジャンメーカーであるKADOYAのメンバーが集まったもので、全員20代から30代前半のライダーたちだ。
両国駅前での開催だったため、両国国技館に行く通りすがりの客がふらっと立ち寄れる気軽さがあった。入場料、駐車場も無料ということでバイクで参加する人もいた。当日は台風が接近していたため昼前から雨が降り出してしまったが、その中でも人気だったのがGFR-01の試乗会だった。
GFR-01はスーパーオートバックスや一部のオートバックスで取り扱っているので、気になる方はこのちょっと変わった電動ハイブリッドバイクに試乗してみてはいかがだろうか。
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5段ギアにカスタマイズしたヘビーユーザーも駆けつけた(筆者撮影)
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