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部下をメンタル不調にする上司は◯◯を見ていない

LIMO / 2018年10月14日 12時15分

部下をメンタル不調にする上司は◯◯を見ていない

部下をメンタル不調にする上司は◯◯を見ていない

がんばらないマネジメント法

「部下のやる気がなさそうに見える。もっと自分から動いてほしいけど、何を考えているのかわからない」
「うつうつとして元気がない部下が心配だけど、ヘタなことを言って悪化させても困る。どう接したらいいんだろう」

人手不足やうつ病・メンタルヘルスの問題が深刻化する現代。部下のマネジメントを引き受ける管理職世代からは、こんな悩みが聞こえてくる。

しかし、産業医・労働衛生コンサルタントであり、『マネジメントはがんばらないほどうまくいく』の著者・三宅琢氏は、「部下の心の状態まで考える必要はありません。マネジメントでは、職場で見えている『行動』だけを評価すればいいのです」と述べる。厳しい「結果主義」のようにも聞こえるマネジメント法が、なぜ「うつうつ部下」に効くのか、解説してもらった。

上司が見るべきは「仕事に関する行動」だけ

部下の面倒なんて見たくない、だから管理職にはなりたくない、と断言する人もいます。それほど、部下を持つと責任も重く感じる時代になりました。

ただでさえ、大変な管理職。おまけに「メンタルを含めて面倒を見ろ」と言われて戸惑う人もいることでしょう。

しかし、マネジメントは「職場」で見えている「行動」のみにフォーカスしていけば十分です。部下の心の中まで知る必要はありませんし、知ろうとしてもできないでしょう。専門家でも簡単ではないことを、管理職が職務のかたわらでやれるわけもないからです。

心の問題には入り込まない

うつ病が社会問題となって多くの関連書籍が出たこともあり、うつ病について詳しい人も増えてきました。でも、それでうつ病が減ったわけではありません。詳しい知識を得たからといって、正しい対処ができるわけではないのです。むしろ、間違った対応をして傷を深くしているかもしれません。

管理職に限らず、職場で起こるメンタル不調を恐れるあまり、「他人の心の問題」にまで入り込もうとする人がいます。ですが、それは困難なことであり、やらなくてもいいことなのです。

外に現れた「行動」のみで評価すること。マネジメントにおいてはこれが基本ですし、メンタルにおいても同様のことなのです。

ストレスはカレーと同じ?

カレーは家庭でもお店でも、多種多様なアレンジが施されています。日本ではカレーは国民食と呼べるほど大量に消費され、どこに行っても食べることができるほどです。

ですが、その味はずいぶんと幅が広く、それだけに、みなさんが「カレー」と聞いて思い浮かべる味も、それぞれ微妙に違っているはずです。「はい、カレー」と出されて、思った通りの味であることのほうが少ないかもしれません。みなさんが「おいしい」と思うカレーを、私はおいしいと思わないかもしれません。でも、カレーであることだけは確かなのです。

実はストレスもこれと同じです。「期待しているもの」と「出てきたもの」にズレがあるとき、人はストレスを感じます。

「原因」は人それぞれ

ストレスを生む状況は、いくらでも見つけられます。空調の温度もそうでしょう。ある人は寒いといい、ある人は暑いという。どちらにもストレスになっていきます。「誰にとっても満足な温度」は存在しないかもしれない、と思えるほどです。

このように、ストレスはズレによっていくらでも発生してしまうものなのですから、ストレスの原因を見つけてモグラ叩きのように潰していっても、簡単に解決する問題ではないのです。

多くの人は、メンタルやモチベーション低下の問題を考えるとき、まず「原因」を突き止めようとしてしまいがちです。しかし、職場が原因となっているもの、家庭が原因となっているものなど、ストレスの原因はさまざまですから、すべて追求することは非常に困難です。また、原因を知ったからといって解決できるとも限らないため、ただ原因を見つければいいというわけでもありません。

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ストレスの「結果」に注目する

風邪の原因が特定のウイルスだったら、そのウイルスに対応した薬を使うことで、症状を改善したり予防したりできます。しかし、メンタル不調には、このような考え方が必ずしも当てはまりません。原因を見つけ、それに合った療法があるのならいいのですが、そう簡単にはいかないのです。

一方で、ストレスを受けた「結果」として外に現れる症状には、一定の共通項があります。たとえば、「睡眠が乱れる」「食欲が湧かない」「好きだった趣味にさえやる気が起きない」などです。それらは遅刻・欠勤の増加など、他人の目に見える「行動」にも確実に現れてきます。具体的なポイントは、次のようなものです。

▼ストレスを受けた「結果」として外に現れる行動の例
・勤怠(遅刻・早退や欠勤の頻度・期間、連絡の有無やタイミングなど)
・表情
・声のトーンや大きさ
・服装・身だしなみ
・デスクやロッカー、社用車の整頓状態
・感情の上下(急に機嫌が悪くなったり、妙にハイテンションになったりする、など)
・業務外のイベントの参加率
・リアクションのスピード・大きさ
・ミーティングでの発言の回数

これらに「乱れ」がないかどうかを確認します。重要なのは、これらの「結果」に対する「対処」を考えることなのです。

「行動」に注目すれば業績は上がる

部下がモチベーションを持ち、いきいきと自分らしく、パフォーマンスを発揮できるようにすること。それができれば、上司であるあなた自身の仕事も楽になり、チームとしての業績も上がっていくはずです。

まずは、「行動」に注目した管理体制をしっかりつくりあげることを目指してください。

 

■ 三宅 琢(みやけ・たく)
医学博士、眼科医、産業医・産業衛生専攻医、労働衛生コンサルタント、メンタルヘルス法務主任者。株式会社 Studio Gift Hands代表取締役、公益社団法人 NEXT VISION 理事、東京大学政策ビジョンセンター客員研究員。
産業医・労働衛生コンサルタントとして、IT系企業から大手アパレル企業まで数多くの職場環境に関するコンサルタント業務を行う。

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三宅氏の著書:
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