「サラリーマンはヒラがいちばん」は本当か
LIMO / 2018年10月17日 10時0分
「サラリーマンはヒラがいちばん」は本当か
大学を卒業して会社勤め、というのは多くの人が通るキャリアパスではないでしょうか。就職活動で憧れの会社に入社できたので、「入社後はがんばって仕事をして、出世するぞ」という人も多い、そして多かったと思います。仕事を頑張るというのと出世を狙うというのは同じものではないですが、ここでは社内でのポジションが上がっていくことについて見て行きましょう。
同期入社で課長や部長になれるのは一部
競争倍率の高い人気の国内大手の金融機関に入社し、就職活動では「勝ち組」と思っていた人も、社会人になり、社内での所属が2場所目、3場所目あたりを経ると、自分が会社にどの程度の評価をされているか、というのが何となく見えてきます。
また、しばらくすると同期でも評価の高い人材から課長のポジションにつく人も出てきます。そして次に何が起こるかといえば、同期で課長が出始める前後で社内での出世をあきらめるという人が出てきます。そうした評価を早く感じた優秀な人材から転職活動をする人が多くもなります。
そもそも同期全員が課長職につけるわけではありません。会社も全員がマネジメント職に就けるという前提で採用しているわけではないでしょう。
「競わない」という選択肢
ここまでですと「社内で出世できなくて残念でしたね」という話で終わるのですが、これは本当でしょうかというのが今回の話です。
課長になれるかどうかが社内の出世競争の本格的な始まりとすれば、その後も部長、役員などへと続く長い道のりがあります。これまた当然ですが、誰もが部長になれるわけでもないですし、役員への道が担保されているわけではありません。
多くはどこかでシナリオ通りにいかないケースの対応に迫られるわけです。であれば、会社員になったとしてもはじめから「出世競争」に乗らないという選択肢もありなのではないでしょうか。
先輩よりもポジションが上だけで給与は低い
東証1部上場のある大手メーカーの方から「年次とポジションが連動していないだけではなく、ポジションと給料も必ずしも連動していない」という話がありました。
これはどういうことかというと、若手が仕事を評価されポジションが上がり、そのポジションが先輩よりも上にもかかわらず給与は先輩よりも低いという状況です。
これはでは若手はやる気がなくなるのは当然でしょう。ただ、「出世をあきらめた先輩」は「割り切っていてどこか羨ましい」といいます。出世はなく、そして大きな給与アップがなかったとしても、その個人に大きな問題がなければ定年まで働けるからでしょう。
これは投資の世界でもよくありますが、給与変動の「ボラティリティ」を捨てて、給与を安定的に手にできる「ビジビリティ」を選択したことになります。投資の世界でもよく目にする判断の一つです。
出世が確定した直後に次の仕事を考える仕事とは
世界で有名な米系金融機関に勤め、サラリーマンとしてのあこがれであるマネージング・ディレクター(通称MD)についた人物がいます。ただその人物も「3年後の身の振り方を考えなければ」といいます。
先の米系金融機関のMDというポジションは社内外での評価が高いことでしかなれないポジションで有名です。誰もがつけるポジションではありません。
それと同時に競争も厳しく、何年も同じポジションでいられるわけではありません。したがって、その会社でMDに就くという評価がされたと同時に次の仕事をイメージしなければならないというわけです。
このケースは先ほぼ見てきたように、給与を安定的に手にできる「ビジビリティ」を捨てて、給与変動のうちアップサイドを目指した「ボラティリティ」を選択した行動と言えます。
結局、ヒラがいちばんなのか
ここまで見てきたように、出世を目指す人、そもそも出世を選択しない人、そして出世を目指したけれども思うようにいかなかった人などいろいろなケースが考えられます。
どのパターンが理想的というのはないのでしょうが、給与水準がグッと高くなることを目指して外資系金融機関に勤務してきた経験から言えば、出世をしなくとも安定的に給与がもらえる職場環境というのは対局にある仕事の仕方ですが、大変魅力的です。
外資系では「アップ・オア・アウト」といって、会社に評価されないでポジションが上がらない人材は出て行ってくれ、というカルチャーがあるのもまた事実です。
ただし、出世を目指さなくても仕事を続けられる職場環境を会社に実現してもらうためには、勤務先の業績が安定していなければなりません。大企業でも未来永劫安泰という経済環境ではないことは皆さんお分りのことと思います。「ヒラが一番」という考えもまた、無常の一つということなのでしょうか。皆さんは、どのような選択をされてきたのでしょうか。
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