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オランダ発! 前輪にモーターを内蔵するスマート自転車を試乗してみた

LIMO / 2018年10月24日 20時20分

オランダ発! 前輪にモーターを内蔵するスマート自転車を試乗してみた

オランダ発! 前輪にモーターを内蔵するスマート自転車を試乗してみた

フルモデルチェンジになって航続距離150kmを実現

前輪にモーターが入ったハイテクな電動アシスト自転車を開発したのは、オランダ・アムステルダムに本社を構えるVANMOOF(バンムーフ)。同社は2009年にタコとティーズ・カーリエ兄弟によって誕生し、「自転車・テクノロジー・シティ」をテーマに、独創性のあるプロダクトを発明し続けている。

今回、原宿、パリ、サンフランシスコ、ロンドンのブランドストアを同時にオープンさせ、さらに新製品である「Electrified S2(ES2)」を初公開した。ES2は1年半ほど前に発売された初代モデル「Electrified S(ES)」の後継機にあたり、大きく変更されたのは、リチウムイオンバッテリーの容量が20%増えたことだ。

そのおかげでフルパワー走行では60km、エコノミー走行では150kmまでアシストできるようになった。もちろん日本の法律に合った設定になっているので公道走行可能だ。

バッテリーは4時間でフル充電になり、80分で50%は充電できる。また毎日充電しても5年は持つという。バッテリーはフレーム内にきれいに収まっていて、収まった状態で充電する。そのため普通の自転車以上に見た目がスマートで、とても電動アシスト自転車には見えない。さらにフロントとリアのライトはフレーム内にシームレスに収まっていることも、すっきり感を強調している。

原宿店がオープンしES2の試乗もできる(著者撮影、以下特記のないものは同様)

前輪のハブにモーターを内蔵してタイヤを直接アシスト

電動アシスト自転車の多くは、クランクのところにモーターがあり、ペダルをこぐ足をアシストしてくれる方式を採用している。それに対してVANMOOFの電動アシスト自転車は、前輪のハブに内にモーターを内蔵し、ダイレクトにタイヤをアシストする方式。これはクランクやペダルに乗せた足を回すこと自体がロスにつながるという考えからだ。

また、ギアは内装自動変速2段になっていて、ギア比はES2専用設計のSTURMEY ARCHER製に変更したことにより、初代よりもギアチェンジがさらにスムーズになった。

とてもシンプルなハンドルまわりで誰でも簡単に扱える

166個ものLEDライトをトップチューブに内蔵

先代モデルのESではトップチューブに液晶ディスプレイが搭載されていたのだが、ES2では166個のLEDライトを内蔵したマトリックスディスプレイを採用。速度やバッテリー残量、警告マーク、ロックマークなどさまざまな情報をインタラクティブに表示してくれる。

ES2を乗るにあたっては、基本的にスマートフォン専用アプリと一緒に使う。たとえば駐輪位置情報やライトの明暗調整、盗難防止用の設定などができる。なかでも面白いのがトラッキングシステムで、盗難に遭った場合にはVANMOOFのバイクハンターが見つけてくれる。

ゆすると警告音とドクロマークが表示されたマトリックスモニター

世界初のステルスロックシステムを採用

ES2のもう一つの特徴は世界初のステルスロックシステムで、ESからアップグレードされた。これは自転車からオーナーが離れると自動的にロックされ、自転車に近づくとアンロックされるというもの。

仕組みはスマートフォンのBluetoothを使ってオーナーを認識するのだが、スマートフォンがなくても、あらかじめ設定したパーソナルコードでのアンロックも可能。さらに盗難防止システムも搭載していて、オーナー以外が自転車を揺らしたり、移動しようとすると、3段階のアラームとフラッシュライトが起動して警告を発する。

前後ディスクブレーキ採用で、手動でのロックはワンタッチ

試乗してわかった、国内モデルよりもアシストが弱い?

まず、ES2を起動させるとSF映画で宇宙船が飛んでいるような「ファファファファ~」という独特の未来チックなサウンドが流れ、すぐに走り出したくなる気分にさせてくれる。アシストはフルパワーモードに設定してこぎ出したのだが、意外だったのは国内モデルよりもペダルへのアシストが弱く感じたことだった。

それもそのはずで、ES2では前輪のモーターがダイレクトにタイヤをアシストするため、ペダルへのアシストが弱いと感じたのだ。国内モデルではクランクにモーターがあり、ペダルをアシストするため、足をもっていかれる感じがして、初めて乗った時には違和感がある。

このことからアシストが弱いと感じたのだが、ペダルをこげばグングン走ってくれる。前輪アシストとは言っても、ハンドルが重くなることもなく、アシストなしの自転車に乗っている自然な感じだ。

また、内装自動変速2段ギアの切り替わり時もスムーズで、急にペダルが重くなることも解消され、もちろんギアチェンジは不要。ハンドルバーにあるターボブーストボタンを押すと、押している間だけ加速するので、坂道で使うとラクに上がれる。

自転車から離れると自動ロックされるのだが、このときも「ガチャッ」というサウンドが鳴り、ディスプレイだけでなく音でも知らせてくれる。ベルもアナログから独特な電子音に変更されたことにより、鳴らされても不快な感じはしないだろう。

ES2は28インチホイールを採用し、適応身長が170~210cmとなっているため、日本人のなかにはサドルを調整しても足がつかない人もいるだろう。平均身長世界一のオランダ人が作った自転車だけに大きなサイズになっているのだ。11月から試乗予定となる小型のEX2は、24インチホイールで適応身長は155~200cmとなっているので、女性でも扱えるサイズとなる。

今回発表された「Electrified S2(ES2)」はかなり大きい

すでに6,000人がプレオーダーした新型VANMOOF

2018年6月から始まったプレオーダーキャンペーンの予約台数は全世界で6,000台を突破している。今回発表した「Electrified S2(ES2)」と、これから登場する「Electrified X2(EX2)」の、この2台の現物を見ずに予約購入している人がこれだけいるということは驚きに値する。

ES2、EX2の購入は日本語ウェブサイト(vanmoof.com)から受け付けていて、価格は43万円(早期割引32万円、ともに税込)。デリバリーは2018年12月から2019年1月の予定。カラーは両モデルともフォグホワイト、サンダーグレーの2色を用意している。

ヤマハのフラッグシップモデル「YPJ-XC」はメーカー希望小売価格37万8,000円、スタンダードモデルは10万円台からあることを考えると、電動アシスト自転車としては高額のほうだが、趣味性を与えられたVANMOOFの製品が世界的に売れているのも納得できるだろう。

11月から試乗予定の「Electrified X2(EX2)」(写真提供:VANMOOF)

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