お寺から高額請求!? 意外に大変な「墓じまい」
LIMO / 2018年10月21日 10時20分
お寺から高額請求!? 意外に大変な「墓じまい」
ビジネス、今日のひとネタ
実家から離れた場所に住んでいたり、お墓を受け継ぐ人がいないなどの理由で、いま「墓じまい」をする人が増えています。
「墓じまい」とは、故人の遺骨をほかの墓地に移転したり、永代供養墓地に改葬したりすることです。(呼び方は異なる場合がありますが)一般の霊園ではなく、お寺の檀家で寺院の敷地などに墓地がある場合、手続き上でお寺から書類を発行してもらったりする必要があります。
お寺というと、お金など俗っぽいものとはあまり縁のないイメージなので、墓じまいも気軽にできると思いがち。しかし最近、墓じまいをする際に、お寺から高額を請求されるケースが増えているというのです。
えっ、墓を移すのに1000万円!?
墓じまいは、人の遺骨を移動させるだけあって、手続きがかなり面倒です。
(1)新しい埋葬先から受入証明書をもらう
(2)現在の墓地の管理者に埋葬証明書をもらう
(3)現在墓地がある市区町村に上の2つの書類を提出し、改葬許可証をもらう
(4)新しい埋葬先に改葬許可証を提出する
いま問題になっているのが、(2)の「現在の墓地の管理者(菩提寺)に埋葬証明書をもらう」部分です。墓を移すということは、もう今後、菩提寺と関わることはないということ。そのため、「離檀料(りだんりょう)」として、それまでの謝礼を支払います。
離檀料はとらないお寺も多く、支払うとしても相場は10〜20万円程度。いわゆる「お気持ち」を包むものなので、高額にならないのが普通です。しかし、最近はお寺から数百万円、場合によっては1000万円を超える高額の離檀料を請求されるというケースが増えています。
「お気持ち」を含めて料金を明確化する時代に
いくらお寺が俗世間から離れているイメージでも、お寺の関係者も生活するのにお金は必要です。地方の活性化が多少は進んでいるとはいえ、都市部への人口流出が止まらないいま、離檀する人も増えてお布施も減り、お寺の経営は苦しくなる一方。高額の離檀料を請求する原因は、そこにもあるようです。
そんな時代だからこそ、他のお寺と「差別化」を図る人たちも登場しています。数年前に、お坊さんをネット通販する「お坊さん便」が登場したのは記憶に新しいでしょう。また、埼玉県熊谷市にある見性院(けんしょういん)は、檀家制度を廃止することで、信徒を約2倍にまで増やしたといいます。
これらに共通するのは「金額の明確化」。お坊さん便には定価があり、初回は3万5000円とかなりお手軽。また見性院も、たとえば戒名を授けた場合は、以前は50万円もらっていたのを20〜25万円に値下げし、それまでのお寺の常識から比べるとある程度、明確な料金体系を築きました。
宗教に関わる人たちに対して、お金の話はしにくいものです。そのため、
「このお寺には『お気持ち』としていくら支払えばいいんだろう」
「この金額で足りているのかなぁ。足りなかったらきちんと供養してもらえないのかも……」
などと不安に思いながら「お気持ち」を包んでいる人が多いでしょう。
自分自身のお骨くらい、自分の好きにしたい
もちろん、先ほど紹介した「離檀料1000万円」という事例は極端な例でもありますが、離檀料に関するトラブルも増えているいま、自分の一族のお墓をどうすればいいのか悩んでいる人も多いはずです。菩提寺にきちんと話をしないまま手続きを進めてしまってトラブルになったケースも多いので、まずは「菩提寺に筋を通すこと」が一番です。
それでも高額請求をされた場合は、そのお寺の総本山に問い合わせるか、弁護士に相談するのがいいでしょう。離檀料として100万円を請求された人が、弁護士に相談して裁判をしたことで10万円にまで値が下がったケースもあるそうです(それはそれで裁判費用もかかりますが……)。
いまは「永代供養」をしてくれる霊園なども増えたため、一族のお墓よりも個人でお墓を持つ人も増えています。また、たとえば東京では、都の霊園に入れる倍率が、場合によっては30倍を超えることさえあります。こうしたこともあって、お墓を持たずに「宇宙葬」や「散骨」などを希望する人も増え、お墓の在り方は変わってきているともいえます。
一族のお墓をどうするか、そして自分のお墓はどうするのか、この機会に一度考えてみるのはいかがでしょう?
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