夫婦間の「稼ぎが少ない方が家事をするべき」理論がおかしい理由
LIMO / 2018年10月23日 17時20分
夫婦間の「稼ぎが少ない方が家事をするべき」理論がおかしい理由
先週からあるツイートが話題になっています。それは「共働きになったら自分と同等に家事ができるようにと夫にお願いしたところ、『同じくらい稼ぐならね』と言われた」という内容。ツイート主は現在妊娠中の専業主婦で、旦那さんの仕事の都合で退職をしたという経緯があるそうです。そんな背景があるにも関わらず旦那さんからこのような返答がきてショックを受けたといいます。
既婚、独身を問わず、「妻が俺に家事をしろと言うなら俺と同じくらい稼ぐべきだ」と考える男性はいるのかもしれません。稼ぎが少ない方が家事の負担が大きいのは当然だという考え方です。しかし、そもそも専業主婦だろうと会社勤めでバリバリ働いていようと、夫婦で家事負担と収入を天秤にかけることには疑問を感じます。
家事の大変さと仕事の大変さは同じもの?
「家事をしろと言うなら同じくらい稼ぐべきだ」という考えには、「こっちは仕事で大変なんだから、自分ができない分の家事はやってほしい」という思いがあるでしょう。しかし、家事と仕事を同じ尺度で測ることはできるでしょうか。
仕事は社会や人との繋がり、成果や実績に応じた他者からの評価、労働の対価を得る喜び、自分自身のやりがいなど、かける労力と時間以上のものを得ることができると言えます。一方、核家族の家事は家の中で1人、掃除や洗濯、料理を無給でこなさなければなりません。
もちろんやりがいや達成感を感じる人はいると思いますが、仕事と同じものを得ることはかなり難しいでしょう。家事の大変さは仕事の大変さとは全く別の種類のものなので、家事負担と収入を関連付けるのは無理があるのではないでしょうか。
「家事に費やす時間」をどう考えるか
では、「仕事で忙しいので家事をやっている時間がない」という考えはどうでしょう。仮に低収入だけれど仕事が忙しくて時間が全くない人と、高収入だけど仕事に余裕があって時間がたっぷりある人の夫婦がいた場合、前者が家事をしなくてはいけないことになってしまいます。
家事を負担してもらうということは相手の時間を使うということでもあります。家事をするかどうかを収入の多い少ないだけで決めるのは、そうした家事の持つ時間的制約を考えていないのではないでしょうか。
男女が同じように稼げない状況も
昨今問題になっている医学部の入試における女子差別問題を見てわかるように、男女が同じように進学や就労の機会を与えられているにも関わらず「女子だから」という理由による制限があったり、「結婚や妊娠ですぐ辞めるかもしれないから」という理由で年収の高い役職に就きづらい現状があります。また、同じ仕事をしているのに男女で賃金格差があることも少なくありません。
そうした男女のさまざまな格差があるにも関わらず、「家事をしてほしいなら自分と同じくらい稼げ」という理屈は、女性にとって酷なものです。もちろん個々の能力に見合った収入を得ている人も多いですが、こうした日本社会の現状も無視できないのではないでしょうか。
家事は収入に関係なく、できる方ができる時に
夫婦共働きが当たり前となっているにも関わらず、相変わらず家事負担にまつわる夫婦の論争は絶えません。「主婦の家事労働を年収計算するといくらか」といった議論もありますが、家事はあまりにも個々人の生活に密着し、個別のシチュエーションで変化するものであるため数値化はしにくいものです。
専業主婦世帯だろうと夫婦共働き世帯だろうと、「夫婦のどちらかが稼がなくてはいけない」「どちらかが家事をしなくてはいけない」と決めた役割をこなすのではなく、「家事は相手の状況を思いやってできる方ができる時に行う」ということでしかこの論争は解決しないでしょう。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
「専業主婦」をやっている30代です。世間では共働き世帯が多い印象がありますが、実際「専業主婦」世帯の割合はどのくらいなのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年11月26日 8時0分
-
わが家は「年収800万円」で、妻は専業主婦です。「老後の年金」のために妻が働くと、将来の受給額はどれだけ増えますか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年11月23日 4時40分
-
「パートなんだから時間あるだろ?」…食べ終わった皿を洗わず居直る月収40万円・44歳サラリーマン夫に年下妻、大激怒。間髪入れず放った〈痛恨のひと言〉に夫、撃沈
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月14日 7時15分
-
夫婦で家事分担、かえって忙しくなるナゾ 増え続ける「ステルス負担」の正体
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月7日 7時0分
-
「私が貯めた1000万、夫になんて分けたくない!」42歳の妻が、浪費家の夫と離婚。損をしないために知っておきたいこと【共働き夫婦の財産分与】
OTONA SALONE / 2024年11月3日 21時0分
ランキング
-
1知っておくと便利「つらい咳」を止めるツボと食材 漢方に詳しい薬剤師が紹介する咳止め漢方3種
東洋経済オンライン / 2024年11月27日 12時30分
-
2密室のコックピットで!? 戦闘機パイロット襲った「大トラブル」いまだ完全解決できない切実な課題とは
乗りものニュース / 2024年11月27日 7時42分
-
3斎藤元彦知事“火に油”の言い逃れ…知事選でのPR会社「400人分の仕事はボランティア」の怪しさ不自然さ
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月27日 10時46分
-
4全国で販売「カシューナッツ」に“鎮痛剤”混入…… 「深くお詫び」 3万5000袋回収、企業が謝罪
ねとらぼ / 2024年11月27日 8時0分
-
5中高生の憧れの髪型1位は意外にもアレ!調査結果で明らかになった理由とは?
マイナビニュース / 2024年11月27日 14時36分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください