日経平均株価の大幅下落を受けて
LIMO / 2018年10月27日 12時15分
日経平均株価の大幅下落を受けて
「柏原延行」のMarket View 2018年10月24日
皆さま こんにちは。アセットマネジメントOneで、チーフ・グローバル・ストラテジストを務めます柏原延行です。
さて、今回の記事のポイントは以下の通りです。
11月の米中間選挙を前にして、市場は神経質な動きを続けている。10月23日の日経平均株価の600円超の下落については、大幅下落に直結するほどの強い材料がなかったように思われ、その分、市場心理は相当程度悪化したと思われる。
年前半の下落では、日経平均株価は20,600円台まで下落した。今回の下落も同様のレベルまでの下落となるかを考えるため、年前半と、現在の株価下落局面の(私が重要と考える)類似点、相違点を整理する。
結論としては、今回の下落は、①バリュエーションや②為替動向の違いなどから、年前半のようなレベルまでは下落しないと考える。
11月の米中間選挙(以下、中間選挙)を前にして、市場は神経質な動きを続けていますが、私は、株価が年単位の下落トレンドに入ったとは現段階では考えていません。一方で、10月23日の日経平均株価の600円超の下落については、大幅下落に直結するほどの強い材料がなかったように思われ、その分、市場心理は相当程度悪化したと思われます。
あらためて、2018年の日経平均株価の重要な推移を確認すると、1月23日の24,124円から、3月23日の20,618円まで約2か月間、約15%下落しました。そして、その後の回復局面では、10月2日に本年の高値24,271円を取ったあと、10月23日には22,011円の水準まで下落しています(10月の高値からの下落幅は約1割です)。
皆さん、約1割という下落率を確認して、どう思われたでしょうか。金利がほぼゼロの中、1割という下落率は大きいものです。私は、これまで何度もお伝えしてきている通り、適温経済・適温相場は終焉したと考えているため、2017年と比較して、2018年以降の市場の変動性は大きくなり、投資家は上にも、下にも、値幅が出ることを受け入れる必要があると考えます。
年前半の下落では、日経平均株価は20,600円台まで下落しました。今回の下落も同様のレベルまでの下落となるかを考えるため、年前半と、現在の株価下落局面の(私が重要と考える)類似点、相違点を整理したいと考えます。
まず、類似点についてです。年前半と年後半の株価下落は、米国の10年国債利回り(以下、米長期金利)上昇の影響をきっかけとしたものであったと思われます。この観点からは、前半の金利上昇は、適温経済・相場終焉の最初のシグナルであり、市場は過剰に反応したと私は考えています。
一方で、今回の金利上昇は、レンジ上限の目途として、意識されていた3%程度を超えて上昇したという意味で、市場は過剰に反応したのでしょう。この観点からは、私は悪材料としては、前半の金利上昇が、適温経済・相場終焉という大きなストーリーのシグナルであると思い、今回の下落より強い材料であったと考えます。
次に、相違点についてです。これについては、バリュエーションの水準が異なっています。年前半の高値、1月23日の予想PERは、15.8倍である一方、10月2日の高値における予想PERは、14.0倍です。そして、前回下落局面の底値3月23日の予想PERは、12.2倍、10月23日時点の予想PERはすでに12.7倍まで下落しています。
この水準は、将来の利益成長に対する不信感が高まっていないと仮定するのであれば、株価が割安であり、今回の下落が前回比マイルドに留まることを示唆する可能性があると考えます。
そして、もう一つの注目している相違点は為替レートについてです。前回の下落局面では、円高・米ドル安(以下、円高)が8円以上進んでいます(図表1ご参照)。それと比較して、現時点までを考えた場合、円高は2円程度に留まっています。この状況に対しては、「①為替と比較して、株価の下落が大きすぎるという評価もある」でしょうし、「②この後、円高が進展する余地があり、更なる株安が示唆されるという考え方も成立する」と思われます。
私自身は、年前半の円高・米ドル安は3月末の期末要因が大きく影響したと考えており、米長期金利が上昇傾向にある中で、年前半の下落局面のような大きな円高の可能性は低いと考えています。この観点は、今回の下落が前回比マイルドに留まることを示唆する可能性があると考えます。
なお、10月23日の日経平均株価の600円超の下落は、中間選挙という不安材料を前にした短期筋の売り仕掛けという見方も成立すると思われます。この観点からは、中間選挙の年であった2014年と2018年の日経平均株価のチャート的な類似性に注目する見方もあります(図表2ご参照)。
2014年も中間選挙前の10月ごろに株価は下落しています(その後の上昇は、日銀の金融緩和の影響を受けました)。
(2018年10月24日 9:30頃執筆)
【当資料で使用している指数についての留意事項】
「日経平均株価」は、株式会社日本経済新聞社によって独自に開発された手法によって、算出される著作物であり、株式会社日本経済新聞社は、「日経平均株価」自体および「日経平均株価」を算定する手法に対して、著作権その他一切の知的財産権を有しています。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
「まるでジェットコースター」日本株の乱高下はいつまで続くのか…NISA投資家が向かう「金利のある世界」の現実
プレジデントオンライン / 2024年9月14日 9時15分
-
日経平均、企業業績から見た妥当値って、いくらなの?
トウシル / 2024年8月29日 7時30分
-
株価の短期的な振れで一喜一憂しないために~日経平均株価マトリックス~(愛宕伸康)
トウシル / 2024年8月28日 8時0分
-
日経平均株価「史上最大の暴落」は「秋からはじまる株価上昇」の予兆!?…今後の日本株式に期待できるこれだけの根拠【経済の専門家が解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年8月24日 9時15分
-
波乱の日本株!バリュー株・高配当株への投資チャンス到来か?
トウシル / 2024年8月22日 7時30分
ランキング
-
1ほっかほっか亭「コラボ依頼して賛否」への違和感 日清食品「10分どん兵衛」の成功例に倣えるか
東洋経済オンライン / 2024年9月20日 15時20分
-
2ミニストップ、外国籍の利用客に“不適切な張り紙” 「問題を重く受け止め」謝罪
ORICON NEWS / 2024年9月20日 15時53分
-
3血管をむしばむ「超加工食品依存症」に要注意!医師が食べてほしくないもの3選
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年9月20日 11時0分
-
4あの「ポーター」が人気商品を大胆に変えた裏側 価格2倍にしても素材変えた吉田カバンの挑戦
東洋経済オンライン / 2024年9月20日 13時0分
-
5漁業関係者、「ぬか喜びにならなければ」=歓迎も中国側の手のひら返し警戒
時事通信 / 2024年9月20日 20時55分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください