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「自己アピールする人」ほど実力が足りないのはなぜか?

LIMO / 2018年11月8日 12時15分

「自己アピールする人」ほど実力が足りないのはなぜか?

「自己アピールする人」ほど実力が足りないのはなぜか?

現代を生き抜くための「孤独」の作法

・本人は「大丈夫。完璧!」と自信たっぷりなのに、思いがけない失敗をしてしまう
・充実した私生活をアピールしているものの、逆に虚しさが漂ってしまう

こんな人、身近にいませんか?

現代は「自己PR、セルフ・ブランディングの時代」と喧伝されていることもあってか、職場やSNSでもやたらと「自分はできる人」「自分はリア充」と自己アピールをする人が増えてきました。しかし、こういったアピールをする人々をあまり信用できないと感じる人は、きっと少なくないでしょう。

この記事では、『孤独 ひとりのときに、人は磨かれる』の著者であり、多くのベストセラーでも知られる心理学者の榎本博明先生が、こういった現代人特有の「めんどくさい承認欲求」を心理学的に解説します。

自己アピールする人ほど「よい不安」が足りない

彼らはなぜ、うかつに自己アピールをしてしまうのでしょうか。それは、自分自身の言動を客観的にチェックしない、思慮の浅さが原因のひとつだといえます。

たとえば、本当に「できる人」は、どんな仕事でも用意周到に準備します。決して楽観視せず、その不安を解消するために、自分から上司に相談したり、確認を取ったりします。また、本当に現実生活が充実している人は、わざわざそれを他人に見せびらかそうとはしません。

自己アピールに夢中になっている人は、そもそもこうしたことにすら気づかないため、不安を感じることなく自信満々にアピールしてしまうのです。

発信するほど「思考の浅さ」が露呈する

思慮を欠いた自己アピールがより顕著に見られるのが、SNSなど、ネットでの発信です。現代は誰でも簡単に発信できる時代ですが、それはその人の「教養」や「能力」「人間性の深み」といった内面が、不特定多数の人々に露呈されることを意味します。

SNSで仕事がらみの情報を発信したり、知的なネタを仕入れて得意げに解説したりして、自分の有能さをアピールしているつもりでも、その道に深く通じている人には、内容の浅さや知識の乏しさがバレてしまいます。それでは、むしろ「薄っぺらくて残念な人」という印象を持たれてしまうでしょう。場合によっては知識の乏しさから不用意な発信をしてしまい、炎上につながることもあります。

そもそも、ちょっとした発信に対して「すごい!」とポジティブな評価をしてくれるのは、その発信者より知見の狭い人だけです。そのような人たちから感心され、評価されても、自分自身の成長にはつながらないのではないでしょうか。思慮の浅い、軽薄な情報発信はかえって逆効果。安易に発信するよりも、知識を仕入れたり、思索を深めたりして、発信内容の質を高めることを意識する必要があるでしょう。

できる人ほど謙虚、できない人ほど自信過剰

さらに、こうした人たちは「できない自分」「充実していない自分」を見抜かれまいと、無意識に自己アピールをしていることが少なくありません。実際に、「自己評価が高い人ほど実力が足りていない」ということを証明する、ある心理学実験があります。

米コーネル大学の心理学者デイヴィッド・ダニングとジャスティン・クルーガーは、「ユーモアの能力」や「論理的推論の能力」に関するテストを行い、被験者にそれぞれの能力についての自己評価をしてもらいました。そして、被験者を成績順に「最優秀グループ」「平均より少し上のグループ」「平均より少し下のグループ」「底辺グループ」の4つに分けました。

その結果、どちらのテスト結果についても「最優秀グループ」の人ほど自身の能力を過小評価するのに対し、「底辺グループ」は自身の能力を著しく過大評価することがわかったのです。この傾向は「ダニング=クルーガー効果」と呼ばれています。

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安易に承認欲求を満たさない

「認められたい」という思いは、誰もが強く持っているものです。心理学者アブラハム・マズローも、「承認欲求」を私たちが満たさなければならない基本的欲求の一つとして位置づけています。

しかし、安易に満たされた欲求は、もう人間を動かす力にはなりません。ここで重要になるのが、発想を転換することです。「承認欲求を安易に満たそうとしない」。このことを意識してみましょう。

お手軽な自己アピールで承認欲求が満たされてしまうと、本当にそういった自分になろうとする気持ちが薄まってしまいます。だからこそ、安易に承認欲求を満たそうとせずに、欲求不満な状態、つまりハングリーなまま自分を磨くことができれば、一歩一歩確実に「理想の自分」に近づけるはずです。

 

■ 榎本博明(えのもと・ひろあき)
心理学博士。1955年東京生まれ。東京大学教育心理学科卒。東芝市場調査課勤務の後、東京都立大学大学院心理学専攻博士課程中退。川村短期大学講師、カリフォルニア大学客員研究員、大阪大学大学院助教授等を経て、現在MP人間科学研究所代表。心理学をベースにした企業研修・教育講演を行う。主な著書に『「上から目線」の構造』(日本経済新聞出版社)など。

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