インスタントラーメンが”大発明”な理由
LIMO / 2018年11月9日 11時40分
インスタントラーメンが”大発明”な理由
朝ドラ「まんぷく」が描く発明の歴史
朝ドラ「まんぷく」はインスタントラーメンの発明物語
NHK朝の連続テレビ小説(通称:朝ドラ)は10月から新シリーズ「まんぷく」が放映されています。放映開始後1カ月の平均視聴率は概ね22%前後となっており、出足はまずまず好調と見ていいでしょう。朝ドラ人気健在というところでしょうか。
さて、今回の「まんぷく」は、今井福子(安藤サクラ)と立花萬平(長谷川博己)の夫婦が数々の失敗を乗り越えて、世紀の大発明(注)に辿り着くのがザックリとしたストーリーです。そして、その「世紀の大発明」がインスタントラーメン(以下「即席ラーメン」)です。
現時点では、まだ即席ラーメンの開発は始まっていませんが、戦後の貧しい時代に屋台でラーメンを美味しく食するシーンは何度か出てきます。今後の展開が楽しみです。
注:番組HPにこのように記載されています。
今年2018年は世界初の即席ラーメン誕生60周年
ちなみに、番組のHPでは「実在の人物をモデルとしますが、激動の時代を共に戦い抜いた夫婦の愛の物語として大胆に再構成し、登場人物や団体名は改称した上、フィクションとしてお届けします」とあります。それでは、実際の即席ラーメン誕生の歴史はどうなのでしょうか。
即席ラーメンは、日清食品の創業者である安藤百福氏が1958年に発売した「チキンラーメン」が世界初とされています。今年は世界初の即席ラーメンの発売からちょうど60周年に当たるわけです。普段は何気なく食べている即席ラーメンですが、現在の販売状況を見ることにしましょう。
なお、一般社団法人「日本即席食品工業協会」及び日清食品の分類に従って、ここでは、「即席ラーメン=袋めん+カップラーメン+生めん」としています。
国内の即席ラーメン生産量は3年連続で過去最高を記録
さて、国内における即席ラーメンの消費量はどれくらいなのでしょうか? 前掲の「日本即席食品工業協会」が公表する生産データでは、国内で生産する即席ラーメンは、輸出向けは非常に少なく(2%未満)、また、それとほぼ同等量が輸入されていますので、実質的には「国内生産量=国内消費量」と見ていいと考えられます。
その生産実績ですが、数量ベースでは近年、緩やかな増加傾向にあります(平成29年実績は56億9千万食、3年連続で過去最高)。3年連続で過去最高更新とは、やや意外な感じがするかもしれません。確かに、伸び率は微小に止まっていますが、即席ラーメンはまだ成長産業と言っていいかもしれません。
これは、即席ラーメンに占める割合が約69%(平成29年実績)のカップラーメンにおいて、新商品が次々に登場してくることが最大要因と見られます。ちなみに、袋めん(約30%)は漸減傾向にあり、生めん(約2%)も頭打ち傾向にあります。やはり、お湯を注ぐだけで食べられるカップラーメンの利便性が受け入れられているのでしょう。
世界の年間消費量は約1,001億食という途方もない規模
それにしても、約57億食という数字がいかにすごいか想像できますか?
単純計算では、日本人1人当たり年間45回食していることになります(注:1回につき1食)。さらに、幼児や後期高齢者がほとんど食さないという前提に立つと、年間60回と試算できます。本当にザックリ言えば、週に1回以上は食べているわけです。
ちなみに、世界での消費数量は約1,001億食(2017年実績)と、途方もない規模になっています。これだけでも「世紀の大発明」と呼ぶに十分値しましょう。
即席ラーメンの国内生産金額も過去最高を記録
一方、生産金額ベースで見ると、生産数量ベースより伸び率が若干ですが高くなっています。平成29年実績は5,866億円(対前年比+1%増)で、こちらも過去最高を記録しました。これは、生産数量の増加に加え、高級タイプの増加や、カップラーメンの大サイズ化が要因と見られます。確かに、コンビニやスーパーでは、びっくりするような大きいサイズのカップラーメンが陳列されていますね。
そして、注目すべきは、即席ラーメンの生産金額が、競争激化で過渡期にあると言われている外食産業のラーメンの市場規模(推定値で約6,000億円)に近づいていることです。
早ければ2019年度に外食産業のラーメンを上回る可能性
よくよく考えてみると、外食でラーメンを食べた場合、1杯700円くらいでしょうか(高価なトッピングなし、ラーメンの種類にもよります)。しかし、家で即席ラーメンを食べれば150円くらいで済みます。もちろん、手が込んだ味の外食ラーメンと即席ラーメンを単純比較するのは無理がありますが、“即席ラーメンで十分だ”という人が増えているのかもしれません。
さらに、来年(2019年)10月に消費増税が予定通り実施されれば、外食のラーメンから即席ラーメンへのシフトが加速することが予想されます。その場合、早ければ来年度(2019年度)には即席ラーメンの市場規模が、外食ラーメンを上回る可能性が濃厚になってきたと言えます。やっぱり「世紀の大発明」なのでしょうか。
朝ドラ「まんぷく」で即席ラーメンの発明が佳境を迎えるのは、おそらく来年の2月以降でしょう。その70年後には莫大な市場規模になることを考えながら、ドラマの成り行きを楽しみにするのもいいかもしえません。
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