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ほとんどの「人脈」は、いざというときに役立たない

LIMO / 2018年11月17日 20時20分

ほとんどの「人脈」は、いざというときに役立たない

ほとんどの「人脈」は、いざというときに役立たない

現代を生き抜くための「孤独」の作法

有名人からごく普通の人まで、SNSなどを誰もが使う時代。通常なら出会うことのないような人とでも、いまでは簡単につながることができるようになりました。

ただ、そんな時代に目立つのは、自分がいる業界内外で、さまざまな人物と「人脈」をつくることで、あたかも自分が「すごい人」になったかのように振る舞う人。これは、とくに就職を控えた大学生や、若手の社会人に多いようです。

この記事では、『孤独 ひとりのときに、人は磨かれる』の著者であり、多くのベストセラーでも知られる心理学者の榎本博明先生が、「人脈づくり」に依存してしまうことの危うさについてお話しします。

「人脈教」による洗脳

・「自分はこれだけの人たちとつながっているのだ」と自慢げに見せびらかしたりする人
・「何をするにも大事なのは人脈だ」と言って人脈づくりに余念のない人

最近、こうした人たちをとくに多く見かけます。たしかに仕事の中で、人とのつながりは大切です。そのつながりに助けられることもあるでしょう。しかし、仕事の実力が不足しているのに、「人脈、人脈」と言って、人とつながることばかり考えているのはどうでしょうか。

まだ仕事能力が十分ではない若手社員、あるいは仕事を始めてさえいない学生が、「将来のために人脈を広げておく必要がある」とSNSで知り合いを増やし、その中から「役に立ちそうな人」と実際に会って人脈を広げようとする。こんな風潮に違和感を覚える方も多いのではないでしょうか。

こうして人脈づくりに夢中になっている人に「もっとやるべきことがあるのでは?」と問いかけても、「世の中で活躍している人はみんなすごい人脈を持っています。仕事の基本は、人脈をつくる力なんですよ!」と、まるで聴く耳を持たない人もいます。これではまるで洗脳されているかのようです。

人とのつながりは、「目的」ではなく「結果」

たしかに、世の中で活躍している人がすごい人脈を持っているということは多々あります。しかし、その人脈は、その人自身が実力を発揮し、何らかの道で頭角を表すことによって、徐々に築かれてきたものであることがほとんどです。

本当に優秀な人にとっては、自分がやらねばならないことに没頭するため、人脈づくりなどに奔走する時間はありません。しかし、自分自身で培った実力を発揮することで、まわりに自然と人が集まり、つながりができていくのです。

「人脈、人脈」と言って、人とつながることばかり考えている人ほど、実際には仕事ができないことも多いものです。こうした人は、やるべきことをやらずに「浅いつながり」に逃げることで、自分自身を安心させようとしているのではないでしょうか。

結局、いざというときには役立たない

また、人脈を重視する人は、「他人から得られるメリット」に敏感です。しかし、これはいわば打算的な付き合いです。こちらが相手側に仕事を紹介できる、優秀な人材を紹介できる、営業先や販路の拡大を支援できるなど、メリットがある限り、関係は続くでしょう。しかし、それがなくなったとたん、疎遠になっていきます。

このような打算的な関係は、こちらが仕事で行き詰まったときなど、いざというときには、何の力にもなりません。だからこそ、人脈を広げようと「浅いつながり」にムダに時間を費やすよりも、いざというときに頼れる人間関係を築くべきでしょう。

SNSを駆使していろいろな場に顔を出し、人脈を広げるのではなく、まずはひとりで自分を磨き、その上で、お互いに信頼できる相手との関係を深めることに時間を使うべきなのです。

「一緒に仕事したい」と思われる人とは?

そもそも、いくらSNSでつながったり、現実の集まりで名刺交換をしたりしても、「実力のない人と一緒に仕事をしよう」などとは誰も思いません。

たとえば、何かのプロジェクトを立ち上げるためのメンバーを探すとき、実力のない人を誘ったりするでしょうか。実力がないけど仕事を探している人をどこかに紹介するなど、自分の評判を損なうようなことをするでしょうか。

このように、具体的なシチュエーションを考えてみればわかるとおり、いくら人とのつながりを増やしたところで、実力が足りなければ、それを活かすことはできないのです。

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人脈づくりよりも重要なこと

とくに若いころに大事なのは、人脈云々よりも、まずは実力をつけることです。そのためには、目の前の課題をこなせるように全力を尽くし、「もっと能率よく、もっと正確に、もっと完成度の高いものを」と自分を磨き続ける必要があります。

そうして実力をつけていけば、自然と頼れるつながりができあがり、その中でさらに実力を発揮していくことができるはずです。

言われてみれば当たり前ですが、少なくとも、まわりから「仕事ができる人」と評価されるようになるまでは、人脈づくりに精を出すのではなく、まず実力をつけましょう。

 

■ 榎本博明(えのもと・ひろあき)
心理学博士。1955年東京生まれ。東京大学教育心理学科卒。東芝市場調査課勤務の後、東京都立大学大学院心理学専攻博士課程中退。川村短期大学講師、カリフォルニア大学客員研究員、大阪大学大学院助教授等を経て、現在MP人間科学研究所代表。心理学をベースにした企業研修・教育講演を行う。主な著書に『「上から目線」の構造』(日本経済新聞出版社)など。

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