「祝祭日が増えると投資家は不利になる」のは、なぜか
LIMO / 2018年11月23日 18時0分
「祝祭日が増えると投資家は不利になる」のは、なぜか
祝祭日に考える流動性とは
祝祭日が増えることは誰にとってもうれしいことではないでしょうか。もっとも、ビジネスパーソンでは「仕事ができる日が減ってしまった」というかたや、お子さんがいらっしゃる世帯では「子供関連のイベントが増えて、忙しくなった」というようにあまり歓迎していない方も多いのではないでしょうか。そうした中で、プロ投資家で「祝祭日が増えると投資家にとっては迷惑」ということが指摘されています。今回はその背景を考えてみます。
祝祭日に通常は取引できない
日本の株式市場は祝祭日、及び土日は取引所があいていておらず、株取引つまり株式の売買はできません。
個人投資家も市場が休みである日に、ご自身の資産形成をじっくり考えるという方も多いのではないでしょうか。そうした方にとっては、「市場が休みであることは良いこと」と思われる方もいらっしゃるかと思います。
こうしたスタンスであれば、土日以外に祝祭日が増えることは投資家にとってはメリットが多いように見えますが、経験の長い投資家はそう考えていません。それはなぜでしょうか。
もしも連休中にリーマン・ショックが起きたらどうなるのか
いまや世界の資本市場は連動して動いています。
「アップルの決算が良くなかったので、翌日の日本のハイテク関連銘柄の株価も弱いであろう」というようなニュースやコメントを耳にされた方も多いでしょう。
世界の資本市場、マーケットはそれぞれ完全に独立して動いているということはなくなりつつあるといえるでしょう。国や地域が違えども、各国の経済もお互いに関係していたり、ビジネスも国境を越えて企業ごとに取引がされています。そうした実態を考慮すると、企業の業績をはじめとして資本市場での資産価格の連動性は今後も深まっていく可能性は高いとみてよいでしょう。
投資家にとって最近では最も印象深いイベントといえば、「リーマン・ショック」ではないでしょうか。米国発のイベントだったとはいえ、そのネガティブインパクトは世界の資本市場に波及し、株価は連日の安値を更新していきました。日本の株式市場も例外ではありませんでした。
再び、リーマン・ショック級の投資家にとってはネガティブなイベントが日本以外の国で起きたらどうなるでしょうか。
すでに一度リーマン・ショックを経験した投資家は「株式などをいったん売却し、次のエントリー・ポイントを探る」という方もいるでしょうし、「再び株価が上昇するのを見越して果敢に買い増していく」という方もいらっしゃるでしょう。
ただ、これらのいずれの投資スタンスにおいても、その間に日本が大型連休で、数日間にわたって株式市場での取引ができない場合にはどうなるのでしょうか。
日本が連休の場合には、日本の取引所は休場となっているために、売買ができません。仮に、米国市場が下がり続けていても、です。これは投資家にとっては精神的には耐え難い状況といえます。
米国の休場は意外に少ない
さて、米国の取引所の休場はどうなっているのでしょうか。
「ニューヨーク証券取引所(NYSE)の取引時間を日本時間で知りたい!サマータイムと休日に注意」(https://limo.media/articles/-/6057)にもあるように、米国の休場は土日と以下の祝日とされています。
New Years Day
Martin Luther King, Jr. Day
Washington's Birthday
Good Friday
Memorial Day
Independence Day
Labor Day
Thanksgiving Day
Christmas
日本では祝日がことあるごとに増え、年間の休場が増えていますが、米国の休場は意外に少ないなと感じられた方もいるのではないでしょうか。
投資家にとっては流動性が重要
投資家にとって、いつでも投資ができる、いつでも売却できるという流動性は非常に重要です。機関投資家であれば、先物でヘッジしておくというようなオペレーションもできますが、株式投資の初心者にはそういった運用は難しいのが現実ではないでしょうか。
日本の株式市場で売買をしている限りは増える傾向にある祝祭日という思いもしなかった流動性のリスクを抱えているということを改めて認識してもよいかもしれません。
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