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文章を「頭よさそう」に見せようとするほどバカっぽくなる理由

LIMO / 2018年11月27日 20時15分

文章を「頭よさそう」に見せようとするほどバカっぽくなる理由

文章を「頭よさそう」に見せようとするほどバカっぽくなる理由

人間関係をシンプルにする心理術

 仕事をしていると、報告書やプレゼン資料などをつくる機会が多くあると思います。また、オフィシャルなものでなくとも、SNSなどで自分の書いた文章を多くの人が目にするような機会も増えました。

 ただ、メンタリストでビジネス心理関連の著作も多いロミオ・ロドリゲス Jr.さんは、そうしたシチュエーションに「誰でもついやってしまいがちな罠」が潜んでいると指摘します。同氏の著書『仕事は嫌いじゃないけど、人間関係がめんどくさい!』から、知らないうちにこの「罠」にハマってしまう心理と、それを避けるための「3つの鉄則」をご紹介します。

「出来のいい資料」を必死につくってしまう心理

 ある日、あなたは上司に呼ばれ、こんなことを言われました。

「おい、君! この報告書は何が言いたいのかさっぱりわからん。つくり直してこい!」

 あなたは「言葉は丁寧にしたし、グラフもつけて、数字もしっかり入れ込んでいて、せっかく時間をかけてつくったのに、そんな言い方はないだろ……」と不満に思うかもしれません。

 しかし、現実問題として、あなたがいかに報告書の見た目をつくり込んだとしても、それは上司にとって本質的には関係ありません。なぜか? 上司にとって重要なのは「ポイントがわかること」であり、報告書の「出来のよさ」「見た目のよさ」ではないからです。

 実は私たちは、この「出来のいい報告書や資料を必死になってつくる」という罠にはまる危険が、非常に高いのです。その奥に潜む心理としては、「上司に認められたい」「上司に自分は頭がいいのだとアピールしたい」という意識があるといわれます。

頭をよく見せようとするほど「バカっぽく」なる

 日本には「急がば回れ」という素晴らしい教えがありますが、もし上司に、自分は「できる人間」だとアピールしたいのであれば、「頭をよく見せようとするだけの資料は決してつくらない」というのが正しい答えです。悲しいかな、頭をよく見せようとした瞬間、報告書・資料などが「バカっぽく」なってしまうのです。その理由がわかるお話をひとつご紹介しましょう。

 2003年にスタンフォード大学で、75人の学生に、2つの文章を読んでもらって印象を尋ねるという、非常にシンプルな実験が行われました。

1.シンプルな言葉で書かれた文章
[例]今日は天気がいい。太陽も明るく照っていて暖かい。

2.内容は「1」と同じ文章ながら、言い回しを難しくした文章
[例]今日はとても気分が素晴らしく、快晴で、雲ひとつない。空を見上げると、暖かい光の輪があり、燦燦(さんさん)と光を地上に下ろしていて、目が開けられないくらい眩(まぶ)しい。

 これら2つの文章を見せた上で、どちらのほうが頭がいい文章だと感じるかを尋ねてみたところ、ちょっと意外ですが、多くの学生は簡単な文章ほど「頭がよさそう」と答え、難しい表現をした文章ほど「頭が悪そう」と答えたのです。

説明の文章はシンプルなほどいい

 もし、これが小説などの「文学的」なものなら、「2」の言い回しを難しくした文章を選ぶかもしれません。しかし、いま問題になっているのは、上司に提出する報告書や資料です。世の中には、難しい言葉を使ったほうが賢く見えると思い込んでいる人たちがたくさんいますが、実はまったくその逆なのです。

 人間の脳というものは、難しいことが嫌いです。簡単な表現ほど好感を持ちやすくなる特徴を持っています。そのため、報告書や資料など、何かを説明する文章というものは、シンプルなほどいいのです。

 あなたも読書をするときに、きっと「読みやすい本」と「読みにくい本」があるはずです。なかなかページが進まない本は、基本的に難しい言葉の羅列で、読んでいてもあまり頭に入ってこないという経験はきっとあることでしょう。

「難しい言葉」を使いたい人たち

 私たちが使う言葉もそうです。自分は頭がいいと思い込んでいる人間ほど、難しい言葉を使います。たとえば、「客観的な観察で記述できる関係性に注意を向ける行動主義の心理学は外部からの刺激によって生体の反応が変容することを扱う学習の研究との相性がよい」。

 はい、言っていることは何となくわかるのですが、まず頭に入ってこないですよね。

 頭がいいと思い込んでいる人たちは、こうした言葉を頭の中で覚えてはいるのですが、それを噛み砕いて相手に伝える能力がない。ですからこの場合は、実は記憶力がいいというだけで、決して頭がいいということではありません。本当に頭がよければ、難しい言葉を噛み砕いて、相手にわかりやすく伝えることが可能なのです。

 では、先ほどの文章を咀嚼して、わかりやすく伝えるとどうなるでしょうか。

「外から見ることができない『心』というものに注目せず、誰でもわかるような『関係を見る行動』からわかる心理学というのは、『外から刺激すれば、体の反応が起きる』という一般的な研究との相性がいい」

 いかがでしょう。最初の文章よりは頭の中に入ってきたのではないでしょうか?

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筆者のロミオ・ロドリゲス Jr.氏の著書(画像をクリックするとAmazonのページにジャンプします)

文章の3つの鉄則

 つまり、難しい文章を使えば使うほど、「こいつは自分の知識をひけらかしたいだけで、決してこっちのことを考えていない」と思われるわけです。結論として、(実際にどうかはさておき)少なくとも他人から「頭がいい」と思われる文章のポイントは、次の3つです。みなさんも、報告書や資料などをつくるときは、これをぜひ心がけてください。

1.シンプル……わかりやすく、簡単に
2.クリア……明瞭に、簡潔に
3.ミニマム……最小限に

 なお、もし難しい文章を自分で簡単にできる自信がないときは、「ほかの人にその文章を読んでもらって、どういう意味か聞いてみる」という裏ワザもあります。その人の説明がわかりやすいと思った場合、それをそのまま文章にすればいいのです。


■ ロミオ・ロドリゲス Jr.(Romeo Rodriguez Jr.)
1972年香港生まれ。メンタリスト。幼少時より英国・カナダ・日本とさまざまな国で生活し、4カ国語を操る。2010年には香港大学の専修科でメンタリズムの講師として抜擢される。経営・営業・サービスや接客業などビジネスの現場で「いかに人の心を読むか」を指導。ビジネス心理術に特化した説得術・交渉術・読心術・営業術・人心掌握術を得意としている。

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ロミオ・ロドリゲス Jr.氏の著書:
『仕事は嫌いじゃないけど、人間関係がめんどくさい!(https://amzn.to/2PTTNsg)』

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