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映画大ヒットの意義〜クイーン『ボヘミアン・ラプソディ』

LIMO / 2018年11月30日 20時20分

映画大ヒットの意義〜クイーン『ボヘミアン・ラプソディ』

映画大ヒットの意義〜クイーン『ボヘミアン・ラプソディ』

フレディの死が社会に投げかけるもの

フレディ・マーキュリーの衝撃的な死から早27年が経過

先週末の3連休の中日だった11月24日は、英国の伝説的ロックバンド「クイーン(Queen)」のリードボーカルだったフレディ・マーキュリーの命日でした。

1991年11月23日、彼は自身がエイズウイルスに感染していることを公表し全世界に衝撃を与え、その翌日に亡くなりました。死因は免疫不全による肺炎(合併症)と伝えられています。享年45歳。

クイーンの伝記映画『ボヘミアン・ラプソディ』が記録的大ヒット

そして、フレディの衝撃的な死から27年目となる今年2018年、フレディの生涯にスポットを当てたクイーンの活動記録映画『ボヘミアン・ラプソディ』が10月24日に英国、11月2日に米国で封切られ、日本でも11月9日から全国で上映されています。

既に世界中で記録的な大ヒット作品となっており、日本でも最終的な興行収入が50億円超となるのは確実と伝えられています。海外ロックバンドの伝記映画が、日本での観客動員数が数週間にわたって第1位というのは異例と言っていいでしょう。既に映画館で観て、筆者と同じように、溢れる涙をこらえ切れなかった人も多いのではないでしょうか。

なお、全世界での興行収入は既に500億円を突破している模様であり、最終的な数字が注目されます。

クイーン人気は日本で火がついた

さて、ご存じの方も多いとは思いますが、クイーンについて簡単に紹介しましょう。クイーンは、前身バンドを経て、1971年に結成されました。メンバーは、フレディ・マーキュリー(リードボーカル、ピアノ)、ブライアン・メイ(ギター)、ロジャー・テイラー(ドラム)、ジョン・ディーコン(ベース)の4人。

英国でのデビュー後、早い内から日本で人気に火が付き、初来日コンサートは大盛況だったようです。その後は母国の英国はもとより、米国でも徐々に売上が伸びて人気ロックバンドの仲間入りを果たします。1980年代前半にかけては大ヒット曲を連発し、押しも押されもせぬ世界的なスーパーグループとなりました。

主なヒット曲には「ボヘミアン・ラプソディ」「伝説のチャンピオン」「愛という名の欲望」「地獄へ道づれ」「RADIO GA GA」など挙げだしたらキリがありません。

このうち、商業的に最も成功した楽曲は「地獄へ道づれ」ですが、今も頻繁に耳にするのは「伝説のチャンピオン」でしょう。サッカーW杯のような大きなスポーツイベントの表彰式後に必ずと言っていいほど流れますので、聴いたことがある人は多いはずです。

なぜクイーンが“伝説の”ロックバンドと呼ばれるのか?

しかし、これだけでは人気ロックバンドの1つに過ぎず、“伝説の”という形容詞がつくのは大げさと思われるかもしれません。しかし、記録的なレコードセールス以外に、クイーンが伝説のロックバンドと言われる理由が2つあります。

1つは前述したフレディの悲劇的な死であり、全盛期のメンバーでの再結成は不可能となりました。もう1つは、「ライブエイド」における圧倒的なパフォーマンスです。

「ライブエイド」は1985年に開催されたアフリカ飢餓難民救済コンサート(衛星生中継された84カ国を含め、全世界で15億人超が視聴)ですが、既に病(エイズ)に侵され始めていたフレディの熱演により、クイーンの演奏は他の出演アーティストを凌駕したと言われています。ロック史上最高のパフォーマンスという呼び声も高く、今となっては、まさしく伝説のステージとなっているのです。

ちなみに、フレディの死後もクイーンは解散することなく、音楽活動は大幅に減少しましたが、今も健在です。

映画『ボヘミアン・ラプソディ』が扱う大きな社会問題

さて、大ヒット中の映画の話に戻りましょう。

この映画は、クイーンの偉大な活動記録だけでなく、フレディの生き様を通じて、大きな社会問題も扱っています。それはLGBT(性的マイノリティー)です。

フレディは最後まで公にこそしませんでしたが、同性愛者に近い両性愛者(バイセクシャル)だったことは周知の事実でした。実際、ライブツアーには常に“恋人”である男性が複数人同行していたといいます。この映画の中でも、フレディのバイセクシャル行動が数多く登場します。

クイーンの全盛期当時、同性愛者や両性愛者は世間からまだほとんど認知も理解もされず、LGBTという言葉も存在しませんでした。現代では徐々にその存在を認めようとする動きが大きくなっていますが、まだ道半ばといったところでしょう。そんな現代社会に改めて一石を投じていると考えられます。

エイズ、アルコール中毒、ドラッグ依存などの社会問題も

そして、エイズに対する問題も取り上げています。フレディは死去前日にHIV感染を公にしましたが、エイズが偏見視されていた当時、HIV感染を公言するのは大変な勇気が必要でした。その勇気ある行動がもたらした影響は大きく、その後、自身がHIV感染者であることをカミングアウトする有名人が数多く現れています。

また、フレディの死後、彼の名を冠したエイズ撲滅のチャリティー財団も設立されるなど、その活動は今も広範囲で続いています。

さらに、映画ではフレディが晩年にアルコールとドラッグに溺れて生活が乱れたことを巧みに描き、こうした行為に対する戒めも表明しているように思われます。

クイーンが好きな方も嫌いな方も必見の映画

最後に、筆者が鑑賞した際の様子を書きます。平日の昼間にもかかわらず、ほぼ満席でした。女性比率が8割くらいだったと思いますが、とりわけ、中高年層が多かったのは間違いありません。クイーンが初来日した1975年に10~20歳代だった女性の多くが観に来ていると推察されます。上映途中からはあちこちですすり泣く声が聞こえたのが印象的でした。

足元の大ヒット状況を勘案すると、おそらく、上映期間はまだ続くと思われます。クイーンが好きな人はもちろんのこと、クイーンに興味がない人にとっても、一見の価値のある映画だと筆者は断言できます。この週末に観に行くのもいいのではないでしょうか。

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