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日本は出遅れ必至の自動運転大競争時代~最新動向まとめ

LIMO / 2018年12月4日 20時40分

日本は出遅れ必至の自動運転大競争時代~最新動向まとめ

日本は出遅れ必至の自動運転大競争時代~最新動向まとめ

先行するグーグルをVWとGMが追撃

日産自動車のカルロス・ゴーン会長逮捕の衝撃が世界中を駆け巡る中、米国ではGMが大規模なリストラ計画を発表してトランプ大統領がGM批判を展開するなど、自動車業界はこの2つの話題で持ちきりとなりました。

一方、ウォール街ではGMのナンバー2が自動運転部門へと転出したことが密かな注目を集めています。今回は、配車サービス開始を目前に控えた自動運転車を巡る最新動向をまとめてみました。

ゴーン会長逮捕とGMリストラが大きな話題に

日産自動車のカルロス・ゴーン会長が11月19日、報酬約50億円を有価証券報告書に過少申告した疑いで逮捕され、世界中に衝撃が走りました。

また、米ゼネラル・モーターズ(GM)は26日、約10年前の破綻以降で最大規模となる北米事業の再編策を発表。米国の4工場とカナダの1工場で生産を停止し、1万4000人規模の人員を削減する見通しであることを明らかにしました。

これに対し、ドナルド・トランプ米大統領は工場の操業休止は好ましくないとし、GMのメアリー・バーラ最高経営責任者(CEO)に不満を伝えています。また、これとは別に、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)に対し、GMは中国で自動車の生産を止め、米国で生産すべきとの考えを示しました。

加えて、「電気自動車を含む全ての補助金カットを検討している」とツイッターに投稿。「米国は(経営不振の)GMを救済したが、我々の受け取った感謝がこれだ」と皮肉交じりに批判し、その後も対決姿勢をエスカレートさせています。

一方、バーラCEOは、削減は自動車産業を巡る変化に対応するものだとし、「市場の現実に合わせて生産能力を適正化しようとしている」と説明。発表を受けてGM株は上昇しましたが、人員削減に対する風当たりは強く、報道もトランプ氏のGM批判に集中しました。

GMナンバー2が傘下の自動運転会社「クルーズ」CEOに

このように、世間の注目を集めた自動車業界の話題は「日産ショック」と「GMの工場閉鎖」でしたが、ウォール街の関心は別のところにあったようです。

GMが29日、同社ナンバー2のダン・アマン社長が傘下で自動運転車を手掛ける「クルーズ」の最高経営責任者(CEO)に就任することを明らかにしたからです。GMは2016年3月に40人ほどの新興企業だったクルーズを5億8100万ドルで買収。ここ2年で1000人を採用し、現在の企業価値は146億ドルに膨れ上がっています。

クルーズに対しては今年、ソフトバンクのビジョン・ファンドによる22億5000万ドルの投資が発表されたほか、10月にはホンダが出資と投資で計27億5000万ドルを投じることで合意しています。

GMは現在の中核事業では工場閉鎖や人員削減を進める一方で、将来の利益を目指して自動運転車の開発や輸送サービスに経営資源を注ぎたい考えです。アマン氏の移動は同社で100年続いた自動車販売事業よりも、自動運転車を使った配車サービス事業により大きな可能性を見出していることを浮き彫りにしたと言えそうです。

ライバルはVW、「レベル3」の市販化で先行

従来型の自動車メーカーでは、フォルクスワーゲン(VW)がGMをこの分野で一歩リードしています。VWは既に、一定条件下で車に運転を任せることが可能な「レベル3」の技術を搭載した「Audi A8」を販売し、自動運転車の市販化で先行しているからです。

Audi A8は世界で初めて自動運転レベル3の技術を搭載したモデルで、中央分離帯のある高速道路や自動車専用道路において、時速60km以下の速度であればドライバーに代わって運転操作を行うことが可能とされています。ただ、各国の法整備が追い付かないため、現状は自動運転レベル2搭載車両として販売されているようです。

グーグル傘下のウェイモ、自動運転配車サービスを年内にも開始へ

VWやGMのさらに先を疾走しているのがアルファベット(グーグル)傘下の自動運転技術開発会社ウェイモです。同社は、自動運転車を実際の道路で既に1600万km以上走らせており、公道で運転手がいないテスト車両の走行許可をカリフォルニア州から取得した最初の企業となりました。

WSJは11月13日、ウェイモのジョン・クラフチックCEOが向こう2カ月以内に自動運転車による配車サービスを開始することを明らかにしています。また、同じ日にブルームバーグも事情に詳しい筋の話として年内にサービスを開始する予定であることを伝えていますので、いずれにしても米国でのサービス開始は秒読み段階に入ったようです。

同サービスでは、ウーバー(Uber)やリフト(Lyft)のように専用アプリで配車を予約すると、車両が利用者のところまで迎えに来て、目的地まで運んでくれます。個人のほか、ウォルマートに代表される郊外型店舗などでシャトルバスとしても利用されます。当初はアリゾナ州のフェニックスのみでのサービスとなりますが、順次拡大される予定です。

自動運転の大競争時代幕開け、日本の出遅れは必至

自動運転配車サービスの開始は、タクシー業界はもちろんのこと、ウーバーやリフトといった配車サービス企業にも大打撃となりそうです。

GMは2019年に、米国の少なくとも1つの都市で完全自動運転車「ロボタクシー」の商用化を始めるとしており、VW、テスラ、ダイムラー・ベンツがこの動きに追随すると考えられています。

気になるお値段ですが、自動運転配車サービスはある意味まだテスト段階にあることから、データの収集が重視され、採算は度外視される見通しです。したがって、ウーバーやリフトに対して競争力のある価格設定となることが見込まれています。

一方、日本では法整備が追い付いておらず、大きく出遅れることになりそうです。日本の法律では運転者がいないと公道を走れないからです。トヨタは2020年の東京五輪で自動運転車を選手の移動手段として使うと発表していますが、このように日本では選手村といった限られた地域での利用に限定されてしまうのが実情のようです。

このほか、東京では自動運転タクシーの実証実験も始まっていますが、運転手はいます。何もしなくても、そこに座っていなければなりません。安全面などで安心できるのかもしれませんが、ガラパゴス的な印象は拭えません。ちなみに、日本では自家用車で個人を乗せるサービス行為には規制があるため、ウーバーのような配車サービスは浸透できないという見方もあります。

いずれにしても、自動運転車やそのサービスの潜在的な市場規模は数百兆円とも言われており、まさに大競争時代の幕が切って落とされようとしています。ただ、日本では法整備の遅れが足かせとなり、出だしからつまずくことになる恐れもありそうです。

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