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「パワハラ上司」はなぜ愚かなイジメに血道を上げるのか

LIMO / 2018年12月4日 12時15分

「パワハラ上司」はなぜ愚かなイジメに血道を上げるのか

「パワハラ上司」はなぜ愚かなイジメに血道を上げるのか

人間関係をシンプルにする心理術

 上司からのパワーハラスメント(パワハラ)は、最近ではかなりクローズアップされ、批判されるようになりました。しかし、ひと昔前なら「当たり前」として片づけられていたことも多かったので、昔の会社人間はいま以上に大変だったのかもしれません。

 一方で、メンタリストでビジネス心理関連の著作も多いロミオ・ロドリゲス Jr.さんは、パワハラ上司の心理について「実は彼らは自分に自信がない」と指摘します。ロミオさんの著書『仕事は嫌いじゃないけど、人間関係がめんどくさい!』から、こうしたパワハラ上司の心理と、彼らへの対策をご紹介します。

加害者に共通する3つのパターン

 まず、なぜパワハラが起こるのか、パワハラをしてしまう上司の心理状況を理解するところから始めましょう。

 いわゆるパワハラ加害者というのは、共通して「心の問題」があるのが特徴です。

 では、どうしても特定の人を攻撃してしまうという心理状態とはどんなものなのでしょうか? 挙げられる共通のパターンとして、次の3つがあります。

1.気が小さく自信がない
2.自分がリーダーの器ではないと感じている
3.高圧的な圧力がないと人は動いてくれないと感じている

 いかがでしょうか。「えっ、そうなの? 絶対そんなことないと思うけど」と感じたかもしれませんが、これが事実なのです。もしあなたがこの心理パターンに違和感を覚えたのなら、それはほぼ間違いなく、上司の肩書などによる「権威性の罠」にはまっている可能性が高いでしょう。

「優位なポジション」を利用して攻撃

 動物の世界を思い出してください。動物がほかの生き物に対して威嚇(いかく)するのは、主にどういうときでしょうか?

 そうです、恐怖を感じているときです。そして、自分のテリトリーを犯そうとしている者に対して反応するときです。動物がムダな争いをすることは、それほど多くありません。アフリカのサバンナの猛獣なども、こちらが刺激しなければ、向こうも平然として何もしてこないのを、テレビなどでご覧になったことのある方も多いのではないでしょうか。

 私たち人間も動物です。つまり、パワハラを行う上司は、あなたに対しての恐怖心、または自分の存在意義に対しての「何かしらの違和感」を覚えているのです。それらには「生意気な奴だな」という感情もあれば、ただ単に「気に入らない、生理的に嫌い」という感情も含まれます。

 こうした心理から、自分の優位なポジションで、攻撃を仕掛けてくるわけです。ということは、「優位なポジション」でなくすれば、パワハラはなくなるという図式が出来上がると思いませんか?

同じ色でも隣接色によって違って見える

「そんなことを言っても、実際に立場を変えることはできないんだから、無理だよ……」と諦めるのは早いでしょう。ここで使えるのが「領域誘導」というテクニックです。

 A.キルシュマンという心理学者の名前を聞いたことはありますか? 色彩に関わるお仕事をしたことのある方なら、きっと知っているはずです。

 キルシュマンが提唱した色の対比の法則を「キルシュマンの法則」と呼びます。これは、ある色が、隣接する色に影響を受けて、色の見え方が変化するということを解説するもの。たとえば、同じ黄色でも、黒の背景に置いたときと、白の背景に置いたときでは、白の背景に置いたときのほうが、より鮮やかに見えるといったことです。

 この対比効果を説明するときに、「ある色」のことを一般的に「検査領域」「テスト色」といい、影響を与える「隣接する色」のことを「誘導領域」といいます。

パワハラ上司に恐怖を感じさせよう

 では、パワハラに対して、この考え方をどう利用して対抗するのか?

 想像してみてください。あなたが上司で、気に入らない部下がいるとします。その部下に、あなたは日常的にパワハラ行為をしていたとしましょう。今日もいい感じでいじめてあげようと、その部下のところに行こうとします。

 ところが、その部下の席に近づくと、部下は社長と仲よく話しているのです。そして、チラッとこっちを見て、軽く会釈をします。さて、これを見て、あなたはどう感じましたか?

「え、何であんなに社長と仲がいいんだ……?」と思いませんか。そして、もしかすると、あなたのパワハラが社長に筒抜けになっているのではと、恐怖を感じないでしょうか?

 はい、肩書の優位性を利用しようとする、そんなパワハラ上司なら、一番に恐怖を感じるはずなのです。

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筆者のロミオ・ロドリゲス Jr.氏の著書(画像をクリックするとAmazonのページにジャンプします)

社長と特に仲よくなくても大丈夫

 これが「領域誘導」のなせる業(わざ)です。いままで「下」だと位置づけしていた人間なのに、その背後に社長が存在していると考えると、途端に「手を出してはいけない人物」だと認識し始めるのです。

 ところで、社長とどうやって仲よくなればいいのかって? いえいえ、仲よくなる努力をする必要はありません。パワハラ上司がそろそろいじめに来るぞというときに、通りかかった社長や役員を見つけて、「〇〇社長、社長の趣味はゴルフでしたよね、実は〇〇のメーカーのパターを買ったのですが、あれってどんな感じですか?」と仕事と関係ない話を振るのです。

 興味のあることなら、「おお、君もゴルフをやっているのか?」などと必ず返してきます。このときはほぼ「笑顔」になっているので、上司から見れば「仲よく」しているように見えるのです。もちろん社長や役員の趣味・興味を下調べしておく必要はありますが、たったそれだけでこの「領域誘導」が成立して、パワハラがなくなればいいと思いませんか?

 中には「社長や役員に、そんな気軽には話せない」と感じている人もきっといるでしょうが、実はこのような肩書を持っている人間は、意外とフランクに話しかけてくる部下をかわいがってくれるようになります。いままでの常識をいったん横に置いて、ぜひ行動してみてください。


■ ロミオ・ロドリゲス Jr.(Romeo Rodriguez Jr.)
1972年香港生まれ。メンタリスト。幼少時より英国・カナダ・日本とさまざまな国で生活し、4カ国語を操る。2010年には香港大学の専修科でメンタリズムの講師として抜擢される。経営・営業・サービスや接客業などビジネスの現場で「いかに人の心を読むか」を指導。ビジネス心理術に特化した説得術・交渉術・読心術・営業術・人心掌握術を得意としている。

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ロミオ・ロドリゲス Jr.氏の著書:
『仕事は嫌いじゃないけど、人間関係がめんどくさい!(https://amzn.to/2PTTNsg)』

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