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有価証券報告書にみる日産の役員報酬と最近の株価

LIMO / 2018年12月14日 7時0分

有価証券報告書にみる日産の役員報酬と最近の株価

有価証券報告書にみる日産の役員報酬と最近の株価

上場企業の役員報酬研究シリーズ

ゴーン氏を解任した日産で話題となっている役員報酬問題。シリーズでお届けする「上場企業の役員報酬研究」では各社最新の通期有価証券報告書をもとに上場企業役員の最新の役員報酬と最近の株価動向を振り返ります。今回は大きく取り上げられている日産です。現時点で、今回の件に関して様々な報道がありますが、問題となった有価証券報告書そのものにあたってみましょう。

日産の役員報酬

最新の通期の有価証券報告書に記載される連結報酬等の総額が1億円以上である人物の総額を見ていきましょう。

以下、氏名(単体での役員区分):連結報酬総額(金銭報酬、株価連動型インセンティブ受領権)の順に表記。

カルロス・ゴーン(取締役):7億3500万円(7億3500万円、-)

西川廣人(取締役):4億9900万円(4億9900万円、-)

日産の役員報酬の決定プロセス

同社の確定額金銭報酬は、平成20年(2008年)6月25日の定時株主総会の決議により、年額29億9000万円以内とされています。

その範囲内で、タワーズワトソン社による大手の多国籍企業の役員報酬のベンチマーク結果を参考に、個々の役員の会社業績に対する貢献により、それぞれの役員報酬が決定されということになっています。

つまり、日産の役員の報酬体系は上記の通り報酬決定プロセスの中にグローバル企業の役員報酬の水準が既にある程度目線として埋め込まれているともいえます。

同社によれば「取締役の報酬については、取締役会議長が、各取締役の報酬について定めた契約、業績、第三者による役員に関する報酬のベンチマーク結果を参考に、代表取締役と協議の上、決定する。」とされており、代表取締役の役割が重要となっています。

ちなみに、2018年3月期の取締役(社外取締役を除く)の総報酬(総計8名)は16億5400万円と、29億9000万円には達していません。また、監査役(社外監査役を除く)は総報酬(総計2名)が1億100万円、社外役員(総計4名)は1億200万円となっており、これらを仮に加えても29億9000万円には達しません。

日産の株価動向

役員報酬が関係する業績とともに、株主が最も気にする最近の株価動向について見ておきましょう。

同社の株価の過去1年を振り返ってみると、右肩下がりの展開といえます。1年前は1100円程度で推移していたのが、現在は900円台となっています。

今後の役員報酬問題の展開によって、株価にどう影響があるのか注目です。

巨額の役員報酬という社会的注目点

ゴーン氏と日産の件で大きく取り上げられている役員報酬問題。役員報酬は本来、業績実績をベースとして考えるべきであるという考えもある一方で、従業員の年間給与水準などと比較した際に、あまりにも巨額の報酬を役員が手にするのはいかがなものかという意見もあります。

役員報酬は株主総会などでも取り上げられる内容でもあり、上場企業などにおいては、今後はこれまで以上に役員報酬の決定プロセスやロジック、その監査体制などを含めた上場企業のコーポレート・ガバナンス体制からも目が離せません。

【ご参考】有価証券報告書とは

有価証券報告書とは投資家にとっては欠かせない公開情報です。これまで見てきた役員報酬だけではなく、「提出会社の状況」の項目として「役員の状況」に役員の経歴や株式保有状況も開示されています。

また、連結及び単体の従業員数、従業員の年間給与(単体のみ)といった「企業の概況」に含まれる「従業員の状況」や損益計算書や貸借対照表、キャッシュ・フローなどの経営上重要な数値も「経理の状況」の連結財務諸表等として開示されています。

このように有価封建報告書は、発行体(上場企業)を定量的にもまた定性的にも分析をする際に重要な資料といえます。

有価証券報告書の一般的な主な構成内容は以下の通りです。

【第一部 企業情報】
第1 企業の概況
第2 事業の状況
第3 設備の状況
第4 提出会社の状況
第5 経理の状況
第6 提出会社の株式事務の概要
第7 提出会社の参考情報

【第二部 提出会社の保証会社等の情報】
・監査報告書
・内部統制報告書
・確認書

このように有価証券報告書は、上場企業に関して、非常に幅広い領域に渡り詳細に開示されている公開情報です。プロ投資家とよばれる機関投資家も投資判断の材料として有価証券報告書の開示内容には最も重きを置いています。米国では、「10-K」と呼ばれる資料がアニュアルレポートとして投資家に重宝されています。

また、関東財務局「企業内容など開示(ディスクロージャー)制度の概要」の中では、以下の有価証券の発行者は、事業年度ごとに有価証券報告書を提出しなければならないことになっています。(1)「金融商品取引所に上場されている有価証券」(2)「店頭登録されている有価証券」(3)「募集または売出しにあたり有価証券届出書または発行登録追補書類を提出した有価証券」(4)「所有者数が1000人以上の株券( 株券を受託有価証券とする有価証券信託受益証券及び株券にかかる権利を表示している預託証券を含む。)または優先出資証券(ただし、資本金5億円未満の会社を除く。)、及び所有者数が500以上のみなし有価証券(ただし、総出資金額が1億円未満のものを除く。)」

【参考資料】

日産「2018年3月期 有価証券報告書」(https://www.nissan-global.com/JP/DOCUMENT/PDF/FR/2017/fr2017.pdf)

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