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宝くじで本当にお金持ちになれるか

LIMO / 2018年12月25日 9時0分

宝くじで本当にお金持ちになれるか

宝くじで本当にお金持ちになれるか

「億り人」を生み出すが、潤わないハズレの購入者

毎年恒例で宝くじを買うという人も多いのではないでしょうか。今回は、その宝くじの当せん金、払戻率、税金、その仕組みについて見てみましょう。

「億り人」続出の「年末ジャンボ宝くじ」

宝くじといえば、年末!という方も多いかもしれません。それもそのはず。宝くじの歴史もさることながら当せん金が1億円を超える本数の合計は72本と、1億円以上を手にするいわゆる「億り人」を生み出す機会が大きくなるからです。

「年末ジャンボ宝くじ」(第770回全国自治宝くじ)の1等の当せん金は、なんと7億円!そして当選本数は24本、また1等の前後賞の当せん金は1億5000万円で当選本数は48本となっています。

「年末に72人の億り人を生み出す宝くじの仕組みってすごいなぁ」とつぶやかれる方も多いのではないでしょうか。では、宝くじは本当に儲かるのでしょうか。みていきましょう。

年末ジャンボを参考に考えてみましょう

ここでは、「年末ジャンボ宝くじ」(第770回全国自治宝くじ)を参考にして、公表されている24ユニットの場合で考えてみましょう。

以下、「等級等:当せん金(本数)」で表記していきます。

1等:7億円(24本数)

1等の前後賞:1億5000万円(48本)

1等の組違い賞:10万円(4776本)

2等:1000万円(72本)

3等:100万円(2400本)

4等:10万円(9万6000本)

5等:1万円(48万本)

6等:3000円(480万本)

7等:300円(4800万本)

24ユニットがすべて売れた場合には、発売総額1440億円とされています。

では、ここで先ほど見た等級ごとの当せん金と当選本数をかけてみましょう。以下のようになります。

1等:168億円

1等の前後賞:72億円

1等の組違い賞: 4億7760万円

2等: 7億2000万円

3等:24億円

4等:96億円

5等:48億円

6等:144億円

7等:144億円

そしてこれらを合計してみましょう。

その合計金額は、707億9760万円となります。

宝くじの払戻金はいくらか

ここまで見てくると、一部の人からは「ん?宝くじの払戻の率は高くない?」とお気づきの方もいるかもしれません。

では、707億9760万円を1440億円で割ってみましょう。

707億9760万円÷1440億円=49.165%

約半分といいたいところですが、なんと半分もありません。

宝くじの当せん金は法で定められている

「宝くじの払戻金は半分もないのか」という声も聞こえてきそうですが、そもそも宝くじの当せん金は法律で決められています。

当せん金付証票法(http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=323AC0000000144)(第5条)では、以下のようになっています(原文ママ)。

当せん金付証票の当せん金品の金額又は価格の総額は、その発売総額の五割に相当する額(加算型当せん金付証票にあつては、その額に加算金(第二条第二項の加算金をいう。以下同じ。)の額を加えた額)をこえてはならない。


ここにあるように「5割に相当する額を超えてはならない」とされている以上、半分の払戻率を超えてはいけないのです。したがって、49.165%というのが相当ギリギリのライン、つまり制限いっぱいの水準をいっていることになります。

また、1枚当たりの当せん金の最高金額なども取り決められています(原文ママ)。

一当せん金付証票の当せん金品の最高の金額又は価格は、証票金額の五十万倍に相当する額を超えてはならない。ただし、総務大臣が当せん金付証票に関する世論の動向等を勘案して指定する当せん金付証票については、一当せん金付証票の当せん金品の最高の金額又は価格は、証票金額の二百五十万倍(総務大臣の指定する当せん金付証票が加算型当せん金付証票である場合で加算金のあるときにあつては、五百万倍)に相当する額を超えない範囲の額とすることができる。


1等の当せん金7億円を1枚当たりの価格である300円で割ると、約233万ですから先に見た「250万倍」には限りなく近づいた当せん金といえます。1枚当たりの金額でいえば、上限が250万倍とすると、当せん金額の上限は7億5000万円となります。

宝くじにあたったら税金はかかるのか

「億り人」のように、仮に1億円が宝くじで当たった場合に税金はかかるのだろうか、と気になる人もいるかもしれません。

宝くじには税金はかかりません。

一方で、地方競馬や競艇、競輪、オートレースの場合には、1億円を当てた場合には、所得税や住民税などがかかってきます。

もっとも、全体では半分しか戻ってこないとお考えの方もいるかもしれませんが、「当せん金付証票法」における宝くじのそもそもの意義を考えると、その考えも変わってくるのではないでしょうか。

当せん金付証票法(第1条)には以下のように意義が示されています。

この法律は、経済の現状に即応して、当分の間、当せん金付証票の発売により、浮動購買力を吸収し、もつて地方財政資金の調達に資することを目的とする。

宝くじはそもそも地方財政資金の資金調達の手段ということです。一般的な地方財政の財源は税収です。地方財源に組み入れられる宝くじにさらに税金をかけるというのではおかしい話となりますね。したがって、税金はかからないということになります。

宝くじは投資か投機か、それとも寄附金か

払戻率が半分という宝くじですが、これは「投資」としてはあまりよい機会とは言えないでしょう。

一般的にリスクが大きな株式投資でも、投資して1か月で株価がいきなり半分になったというのはあまり目にしません。

もっとも、1等であれば、当せん金が7億円も出るわけですから、チャレンジしてみる価値はあります。ただ、株式投資にも「10倍株」という言葉があるように、株価が10倍になる銘柄もいくつもあります。

もっとも先に見たように、1枚当たりの最大の当せん金が250万倍ということで、宝くじは「10倍株」どころの話ではありません。宝くじは「250万倍くじ」ともいえなくはないですが、いかんせん払戻率が半分というのが注意点でしょう。

宝くじの目的が「地方財政資金の調達」とされている以上、投資や投機と位置付けるのはおかしく、皆さんの購入代金の半分近くは地方財政に貢献しています。したがって、宝くじは全員に果たされる税金というよりも一部の有志による寄附金とするのが良いのではないでしょうか。結果として、多くの人がその恩恵を享受しているということになります。

【ご参考】宝くじのユニットとは何か

皆さんが購入する宝くじの右端には、「組」と「番号」が表示されていると思います。これらの「組」や「番号」とともに「ユニットXX(XXには数字が入ります)」もあわせて表記されていると思います。ユニットとは、これら「組」と「番号」を取りまとめる一つの塊です。

記事で示した年末ジャンボ宝くじは、前提として「24ユニット」を発売することになっており、その一つのユニットの枚数は2000万枚とされています。

24ユニットを発売するとなると、1ユニットが2000万枚としているので、合計の発売枚数は以下のような計算となります。

2000万枚×24ユニット=4800万枚

また、発売総額は以下のような計算となります。

4800万枚×300円=1440億円

では、なぜ1等が今回のケースであると24本なのでしょうか。

年末でおなじみのシーンでご存知の方も多いかもしれませんが、ダーツで1等の「組」と「番号」の当せん番号を決めたとしましょう。

その当せん番号はユニットごとに存在します。仮に24ユニットすべてが売れれば、各ユニットに当せん番号があるので、1等の当せん本数が24本あるわけです。

もっとも、宝くじに売れ残りがある場合、つまり24ユニットがすべて売れない場合には、当せん本数として24本はないというケースもあります。

こうしてみるとユニットというのは、宝くじの運営者からすると、売れ行きを判断しながら販売枚数や当せん本数を調整できる機能を持っているということが分かります。

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