ブラック企業よりもブラック!? 教員を追い込む長時間労働
LIMO / 2019年1月2日 18時15分
ブラック企業よりもブラック!? 教員を追い込む長時間労働
ビジネス、今日のひとネタ
ソニー生命が、全国の中高生に対して行った「中高生が思い描く将来についての意識調査2017」の「将来なりたい職業ランキング」によると、「教師・教員」は、男子で7位、女子で4位と、非常に人気がありました。中高生が身近に触れ合える職業であり、何かと面倒を見てもらった経験などから、あこがれを持ちやすいのでしょうか。
……ですが、最近のニュースなどに鑑みると、教員という職業を続けることは、決して簡単なことではないようです。
教員の8割以上がストレスを抱えている
政府が全国の国公私立の小・中・高校教員3万5000人に実施した調査によると、教員の80.7%が「業務に関連するストレスや悩みを抱えている」と回答したといいます。正直「こんなに多いのか」とびっくりしますよね。複数回答可の調査ですが、ストレスの内容としては、
・長時間勤務の多さ(43.4%)
・職場の人間関係(40.2%)
・保護者・PTAへの対応(38.3%)
などが挙げられました。
そして、これらのストレス内容の多くは、結果的に上記にもある「長時間労働」につながっているといわれています。
残業を「前提」とした仕事量
あなたは、どれくらいの教員が残業をしていると思いますか? 「連合総研」の調査によると、週に60時間以上働いているという教員の割合は、公立小学校で72.9%、公立中学校では実に86.9%にまで上ると報告されています。これによれば、ほとんどの教員が、当たり前のように残業しているといえるでしょう。
理由はさまざまですが、
・部活の顧問が忙しすぎて、定時に帰ることは絶対に無理
・教員が少なくて、一人でいくつも授業を持っているから、予習の時間がかかってしまう
など、物理的に定時で帰ることが困難な仕事量を抱えているようです。
残業前提なのに残業代は出ない
せめて残業代をもらえればいいのですが、実は公立の学校では、残業代がまったく支払われません。私立の学校では支払われることになっていますが、「第3回 私学教職員の勤務時間管理に関するアンケート調査報告書」によると、法定の時間外手当を支給している学校は、たったの12.1%という結果でした。
これに対しては、
・昔からこうだったが、自分たちではどうしようもできなかった
・残業したら、残業代が支払われるのが普通。ブラック企業よりもブラック
と悲痛な声が上がっています。
「変形労働時間制」で改善する?
こうした長時間労働への対策として、文部科学省が先日、「変形労働時間制」という制度の導入の検討を発表しました。ですが、この制度が、なんの解決にもなっていないと物議を醸しています。
文部科学省が検討している制度ですが、利用の主旨を簡単にまとめてしまうと、「定時を伸ばすことで、残業時間を減らす」というものです。「残業時間」だけに注目すると、時間は減っていますが、総労働時間がまったく変わらないのです。
これに対しては、
・この制度が通ったら、もうデモをするしかない
・残業時間が減ることで、過労死の認定が難しくなってしまう
と批判の声が数多く上がっています。
山積みの課題
とはいえ、こうした教員の労働環境の改善には、まだまだ時間がかかってしまいそうです。
・部活動の時間削減
・残業代給付
・教員の増員
など、改善すべき点は山積しており、いずれも根の深い問題といえるからです。
教員という職業は、未来を担う子どもたちのためにも、なくてはならないものです。もちろん、当事者である教員たちが自ら改善を図っていくことも重要ではあるのですが、上でも少し触れたように、さまざまな制度・慣習・予算などでの「壁」もあるようです。
また、冒頭で紹介した政府の調査でも、教員のストレス内容の第3位に「保護者・PTAへの対応(38.3%)」というものが入っていました。保護者としての立場でも、協力できることが多くあるはずです。
われわれ教員以外の人たちも現状に気づき、声を上げるべきなのかもしれません。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
モンペ対応、無制限残業...教員の「ブラック労働」の改善は、日本全体の「生産性向上」の試金石に
ニューズウィーク日本版 / 2024年11月21日 12時2分
-
絶対おかしい! 授業準備、テストの採点に「残業代が出ない」のはなぜ? 教員の“時間外労働”謎ルール
オールアバウト / 2024年11月12日 21時50分
-
公立学校の教員に残業代を支給検討も「部活動手当は1日最大3600円」…割に合わない長時間労働と処遇の実態
集英社オンライン / 2024年11月11日 17時30分
-
〈教員の残業〉「働いた対価が得られないなんて意味不明」「まじめな教師ほど病む」“教職調整額見直し”報道に現役教師たちが吐露するもっと深刻な問題
集英社オンライン / 2024年11月9日 11時0分
-
公立校教員に残業代支給を検討 定額廃止案、勤務時間を反映
共同通信 / 2024年11月3日 21時1分
ランキング
-
112月から移行される「マイナ保険証」5つのメリットと4つの注意点をFPが解説
MONEYPLUS / 2024年11月29日 7時30分
-
2「一人暮らしの老後」を充実させるコツ3つ
オールアバウト / 2024年11月28日 21時40分
-
3ホコリが積もると火事に…コンセント周辺の掃除をサボると危険! 確認すべき5つのポイント
オトナンサー / 2024年11月28日 20時10分
-
4急な「めまい」発作の"引き金"となる6つの要因 とくに急激な「気圧の変化」には注意が必要
東洋経済オンライン / 2024年11月28日 20時0分
-
5和田秀樹「ウォーキングよりもずっと効果的」…シュッとした中高年は知っている「ヨボヨボ老後」を防ぐ方法
プレジデントオンライン / 2024年11月29日 9時15分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください