貯金をみんな毎月どれくらいできているの?日本の貯蓄率とは
LIMO / 2019年1月5日 10時30分
貯金をみんな毎月どれくらいできているの?日本の貯蓄率とは
内閣府と総務省のデータより
貯蓄率とは、何を表している数字なのかご存知でしょうか。ここでは、貯蓄率とは何かという点について内閣府や総務省の資料を参考にして説明していきます。あわせて、総務省が発表したデータについて世帯における家計の黒字とともに日本の貯蓄率の推移についても見ていきます。
家計の貯蓄率とは
貯蓄率とは、総務省のまとめによれば大きくは2つの考え方があります。
ひとつは、経済社会総合研究所作成による「国民経済計算年報」におけるマクロから見た「家計貯蓄率」。そして、もう一つは、総務省統計局による「家計調査」から収入から支出を差し引いた残りを「黒字」として、その「黒字率」を家計の貯蓄率とする考え方です。
国民経済計算(SNA)における家計貯蓄は以下のように計算する前提となっています。
家計貯蓄=家計可処分所得+年金基金年金準備金の変動(受取)-家計最終消費支出
家計貯蓄率=家計貯蓄/(家計可処分所得+年金基金年金準備金の変動(受取))
もっとも、この計算では、年金なども含まれており、マクロでみる貯蓄率はわかっても、たとえば、勤労している世帯の貯蓄率という意味では、手触り感のない数字なりかねません。
そこで、ここでは、総務省の黒字及び黒字率を中心に見ていこうと思います。
世帯の毎月の貯蓄率はどのくらいか
総務省のいう家計の黒字とは、以下のような定義です。
(家計の)黒字=可処分所得-消費支出
また、黒字率というのは、以下のような定義です。
黒字率=黒字/可処分所得
2017年の二人以上の世帯のうち、勤労者世帯の家計収支は月額で見ると以下のようになっています。
実収入は、53万3820円(うち、勤め先収入が49万3834円)
消費支出は31万3057円(食料、住居、高熱・水道、家具・家事用品、被服及び履物、保険医療、交通・通信、教育、教育娯楽などを含む)
非常費支出は9万9405円(税金や社会保険料など原則として世帯の自由にならない支出)
これらの要素を考慮すると、黒字及び黒字率を計算すると以下のようになります。
可処分所得(いわゆる手取り収入)=実収入-非消費支出(税金や社会保険料等)=43万4415万円
黒字=可処分所得-消費支出=12万1358万円
黒字率=黒字/可処分所得=12万1358万円÷43万4415円=約28%
こうしてみると、勤労世帯では、毎月の手取り収入のうち約28%が黒字で、これを貯蓄などに充てることができているといえます。
世帯の黒字の内訳はどうなっているのか
さて、ここまで二人以上の勤労世帯の黒字が約12万円程度あること、また黒字は可処分所得の約3割程度ということが分かりました。
では、その黒字はそのまま貯蓄されているのでしょうか。
2017年の黒字の主な内訳は以下のようになっています。
預貯金純増:7万6400円
保険純増:2万600円
有価証券純購入:8000円
土地家屋借金純増:3万600円
などとなっています。
こうしてみると、勤労世帯では毎月7万円超の預貯金ができており、「1年間で100万円」というわけにはいかないですが、それに近い金額の預貯金ができているということになります。
また、預貯金に次いで大きな比率を占めているのは、土地家屋借金純減で、住宅ローンなどの返済が3万600円となっています。
一方、有価証券純購入はわずか8000円で「預貯金から投資へ」というスローガンはよく耳にするものの、それほど世帯ではリスク性資産への投資へと向かっていないこともわかります。
世帯の預貯金はアベノミクス以降どう変化したのか
世帯の黒字は、実はアベノミクスが始まった2012年末以降、特に、2014年から見ると、大きく言えば増加傾向にあります。
過去10年の黒字について見てみましょう。
以下が、過去10年の黒字の推移となります。
2008年:11万7800円
2009年:10万8900円
2010年:11万1700円
2011年:11万1700円
2012年:11万1100円
2013年:10万700円
2014年:10万4800円
2015年:11万1900円
2016年:11万9100円
2017年:12万1400円
このように、足元では増加傾向にあります。
そして特にどの要素が増えているかというと、預貯金です。
過去10年の預貯金純増の推移を見てみましょう。
2008年:5万5500円
2009年:4万5900円
2010年:5万4400円
2011年:5万4800円
2012年:5万6500円
2013年:5万3700円
2014年:5万7500円
2015年:6万4700円
2016年:7万1200円
2017年:7万6400円
こうしてみると、黒字が増えても預貯金が増えている傾向が強く、ここでも日本人の預貯金好きが見て取れます。
まとめにかえて
少子高齢化が進む日本において、国や企業が安定した老後生活を約束してくれる時代は終わりました。安定した老後生活を送るためにも、個々の家庭において、貯蓄率を高めることが必須といえます。貯蓄率を高めるためにどうしたらよいのか、一度家族でじっくりと考えてみるのもよいのではないでしょうか。
参考にした資料
総務省統計局「家計貯蓄率」(https://www.stat.go.jp/library/faq/faq03/faq03a09.html)
総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)平成29年(2017年)」
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