私立大学は大淘汰時代へ。センター試験志願者は4年ぶり減少
LIMO / 2019年1月12日 12時15分
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私立大学は大淘汰時代へ。センター試験志願者は4年ぶり減少
多くの私大が“営業赤字”という実態
今年の大学入試センター試験は1月19日~20日に実施
いよいよ大学受験シーズンの到来です。その皮切りとなる2019年の大学入試センター試験は、1月19日(土)と20日(日)に実施されます。
今週末は最後の総復習に取り組む受験生も多いと思われますが、試験で実力を十分に発揮するための健康管理が最重要であることは言うまでもありません。インフルエンザが流行り始めていますから、十分過ぎるくらい注意してください。クリスマスなど年末年始の華やかなイベントに目もくれず、ラストスパートに打ち込んだ成果を発揮してほしいところです。
さて、こうして大学入試シーズンが始まるわけですが、少子化が年々と顕著になる中、大学の経営状況はどうなっているのでしょうか。
私立大学の約4割が定員割れしている厳しい現状
文部科学省が発表した「私立学校の経営状況について(概要)」によれば、入学者数の減少が顕著であることが見て取れます。
入学定員に対する入学者数の割合(以下「入学定員充足率」)を見てみましょう。これが100%超となった(つまり、定員割れしていない)大学の割合は、平成8年度の96.2%に対して、昨年(平成29年度)は60.6%へ大幅に低下しています。つまり、私立大学の約4割は定員割れしているのが現状です。
入学定員の8割を確保できない大学も15%ある
今度は、入学定員充足率のハードルを80%に下げてみます。文科省は、入学定員の8割入学を1つの判断基準にしているからです。“定員の8割確保できればよし”ということでしょうか。すると、平成8年度は99.3%とほぼ全校が満たしたのに対して、平成29年度は84.5%に低下しました。
これは、全体の15%の私立大学で、入学定員に▲20%以上の欠員が生じたことを意味します。
平成29年度の入学定員充足率は改善したが…
一方で、前述した入学定員充足率(100%、80%超)を満たさない比率は、ここ3~4年は下げ止まりの傾向が見られています。特に、昨年度(平成29年度)は、100%超が+5.1ポイント改善(55.5%→60.6%)、80%超が+4.8ポイント改善(79.7%→84.5%)と大きく改善しました。
改善したことは喜ぶべきことですが、各校が定員数を減らしたことが一因ですし、また、各校が合格基準のハードルを下げた可能性もあります。それでも、約20年前と比べると、こうした厳しい結果が出ているのです。
全体の4割超の私立大学が“営業赤字”の状態
次に、私立大学の収支状況を見てみましょう。ここでは、帰属収入(納入学費、寄付金、補助金等)から支出(人件費、教育研究費、減価償却費などほぼ全ての費用)を差し引いた「帰属収支差額」が重要です。これは、一般企業(金融を除く)の“営業利益”に近いものと考えていいでしょう。
この帰属収支差額がマイナスの大学、つまり、運営費用を学費収入等で賄えない大学は、平成4年度の52校(全体に占める割合13.8%)に対して、その23年後の平成27年度は243校(同40.8%)へと増加しています。全体の約4割超が“営業赤字”という状況です。
また、帰属収支額に対する割合(=帰属収支差額比率、全学合計)は、同じく19.5%から3.5%へ大幅に悪化しました。一般事業会社に例えれば、営業利益率が23年間で19.5%から3.5%へと大幅悪化したということです。
まだ公表されていない平成28年度以降はさらに悪化している可能性もあります。
短期大学の状況はさらに厳しく、約6割が“営業赤字”
ここまで論じてきた私立大学の対象は4年制大学です。実は、短期大学になると、さらに厳しい現状を見ることができます。
平成29年度(以下同)に80%超の入学定員充足率を確保している短大は68.8%となっており、短大全体の3割兆が▲20%超の定員割れです。また、「帰属収支差額」がマイナスの比率は56.8%に上っており、6割近い短大が“営業赤字”なのです。短期大学の存在価値が問われていると言ってもいいでしょう。
センター試験の志願者数は4年ぶりの減少、この傾向は来年以降も続く?
こうした収支状況を見ると、学生数の減少が大学の経営状況を大きく悪化させてきたことが明確に分かります。そして、これにさらなる追い打ちをかけそうなのが、『大学の2018年(平成30年)問題』です。
これは、18歳人口の減少と大学進学率の頭打ちにより、2018年から大学志願者数の大幅減少が予測される問題を指しています。実際、来週実施のセンター試験の志願者数は4年ぶりの減少となりました。
この傾向が来年以降も続くなら、仮に、大学側が入試合格ラインをもう一段引き下げても、入学者数がいっそう減少することは不可避と言われています。大学の生き残りをかけた生存競争は、いよいよ本番を迎えたと考えられます。
こんな暗い話をしてから言うのも不謹慎かもしれませんが、何はともあれ、受験生の健闘を祈ります。
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