これからは「義務」になる有給休暇の取得。その具体的内容は?
LIMO / 2019年1月14日 20時20分
これからは「義務」になる有給休暇の取得。その具体的内容は?
いよいよ有給休暇の義務化が始まります。日本の有給休暇取得率は諸外国よりも低い、そんなデータを覆すべく、働き方改革の一環として施行されるものです。多くの会社員にとっては、ありがたい話かもしれません。今回は有給休暇の義務化について見ていきましょう。
日本の有給休暇取得率は低い!
有給休暇は働く人の権利です。最低でも、会社に半年以上フルタイムで勤めて8割以上出勤した人には10日間の有給休暇が与えられることが労働基準法で定められています。
会社としては、たとえば決算期や月末締めなど明確な事情があれば有給休暇を取得する時期を変更することもできますが(時季指定権といいます)、基本的にいつ有給を取るかは働く人の自由です。有給休暇は働く人の権利である以上、本来は、有給取得の理由は問題になりませんし、会社の承認が必要というわけでもありません。
しかし、実際には有給休暇をフルに消化する人はほとんどいないのが現状です。会社への気兼ね、休むと結局自分の業務が溜まるだけなど理由はいろいろでしょうが、有給休暇の取得率は欧米に比べて低水準です。
厚生労働省によれば、日本の有給休暇の取得率はおよそ50%という調査結果もあります。中には「えっ! 50%も取得できる会社があるの?」といった声も聞こえてきそうですが。
有給休暇の取得義務化とは?
有給休暇の取得率向上のため、2019年4月1日から有給休暇の取得義務化が始まります。これまでは有給休暇は働く人の権利であり、会社に取得させる義務はありませんでした。しかし、この制度の導入によって、有給休暇を取得させることが会社の義務になります。
会社にとっては、働いた分だけ給与を支払わなければならないのと同じように、有給休暇も取得させなければならないということです。
制度の具体的な内容を見てみましょう。
対象となる事業所:すべて
社長1人と従業員1人というような小規模な会社であっても対象となりますし、会社ではなく個人事業でやっている場合も対象です。小規模な事業所だから特例があるわけではないということですね。
対象者:年次有給休暇を10日付与される人
会社に半年以上フルタイムで勤めて8割以上出勤した人に、有給休暇が10日付与されますので、多くの正社員などは対象になるでしょう。会社によっては、入社と同時に10日を付与するといった会社もあります。その場合は入社日から制度が適用されます。
パートタイマーについては、勤続3.5年以上で、週4日以上働くような人であれば最低10日付与となっています。パートタイマーで有給を取得したことのある人はあまりいないかもしれませんが、この基準に当てはまれば制度の対象になります。
対象となる日数:5日間
この5日間は、付与日から1年以内に取得することになっています。
たとえば入社してから半年目に10日付与された人であれば、その後1年以内、つまり入社してから1年6カ月以内に最低でも5日以上は有給休暇を取得できる(しなければならない)ということになります。
基本的に有給の付与は最低でも1年ごとなので、半年目に付与されれば、次は1年6カ月後に付与という形になります。つまり最低でも毎年5日は有給休暇を取得できることになります。
取得の方法:会社が取得日を指定
通常の有給休暇は、自分で休みたい日に休みます。しかしこの制度は、会社が日を指定して休ませる形になります。
ただし、すでにこの制度とは別に自主的に5日以上取得している人や、計画年休制度で5日間付与されている場合は対象外となります。1年に5日以上有給休暇を取得させることが目的なので、すでに5日以上取得している(または計画年休により取得予定)の場合は、目的を果たしているということです。
有給休暇は積極的に取得しよう
この制度の導入によって、会社としては否応なく5日間の有給休暇を取得させなければなりません。基準を満たせなかった会社には罰則まで定められています。
とはいえ、会社が日を指定するといっても各自の業務のスケジュールなどもありますし、結局はある程度働く側の希望に沿う形になるでしょう。
法律で制度化される以上、有給休暇の取得をためらう必要はありません。
これからは、どうせ5日は必ず取れるのであれば、自分から休みたい日を決めて有給休暇を計画的に取得していくというように、意識が変わっていくかもしれません。
一方、中には会社に行かないと不安、落ち着かないといった人もいるかもしれません。しかし、有給を取らせることが会社の義務になる以上、ワーカホリックでも有給を取らざるを得なくなります。休みたい人にとっても、休みたくない人にとっても、いろいろと仕事を見直す機会にもなるかもしれませんね。
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