人手不足で増える中途採用。採用コストはどうすれば抑えられる?
LIMO / 2019年1月18日 20時20分
![人手不足で増える中途採用。採用コストはどうすれば抑えられる?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/toushin1/toushin1_9303_0-small.jpg)
人手不足で増える中途採用。採用コストはどうすれば抑えられる?
企業が人材を採用するときにかかる費用を「採用コスト」といいますが、皆さんの企業は1人の中途採用に対してどれくらいのコストをかけているか知っていますか。
2014年にマイナビが発表した「2014年中途採用状況調査」によると、1人当たりの「求人広告費」は平均40万円という結果でした。おそらくここ4年で1人当たりの求人広告費も上がっていると思いますが、今回は、この「採用コスト」にフォーカスし、採用コストを上げてしまう要因と、費用を抑えるための3つのコツをご紹介します。
中途採用で採用コストを抑える3つのコツ
まずは費用対効果を検証
採用コストの根本的な改善は「現状確認」なしでは語れません。特に中小企業でコンサルティングをしていると、採用を専任でやっている担当者が不在だったり、採用領域未経験の方が採用担当者として配属されるケースもあり、採用活動の費用対効果があいまいなままという状況が少なからず見受けられます。
そこで、まずは「現状を確認しましょう」と一緒に効果測定をするようにしています。
少し細かい作業になりますが、どの求人広告にいくら広告費を払って(媒体名、媒体費用)、どのくらいの応募があって(応募人数・応募率)、どのくらい入社して(入社人数・入社率)、定着している人はどのくらいなのか(定着人数・定着率)、といった点です。
複数の職種で募集を行っている場合は、職種別で算出するとより詳細に費用対効果を検証することができます。
効果測定で応募率、入社率、定着率が良かった求人広告からヒントをもらって他の求人広告をリライトしてみたり、媒体ごとの費用対効果を比較して職種や自社との相性を探ってみてもいいかもしれません。
組織内の人材不足が深刻化すれば採用費も増え、最悪、経営を圧迫してしまう可能性もあります。そうならないためにも、費用対効果の高い媒体や転職エージェントと良好な関係性を築き、広告費やエージェント手数料の割引交渉を行うのもコストを抑える1つの手です。
社員全員で採用活動を行う
人手不足倒産が珍しくないこのご時世。人事や採用担当者だけでの採用活動は非常に苦しい戦いです。コンサルをしていて感じるのが、経営者が社員全員に採用課題を共有し、社員全体で採用活動を行っている企業は採用率も高く、採用コストも抑えられているということ。
では、なぜ社員全員が採用活動を行うと採用コストが抑えられるのでしょうか。それは「リファラル採用」が増えるからです。このリファラル採用とは、自社の社員やアルバイトを通じて友人・知人を紹介してもらい選考をする採用手法のことを言います。
リファラル採用は自社社員からの紹介なので、求人広告や転職エージェントへの費用を一切かけずに、マッチング度や定着率が高い人材と出会える有効な採用手法です。
このリファラル採用を成功させるには、社員が協力しやすい環境づくりと協力することのメリットが重要です。
まず社員が協力しやすい環境づくりは、リファラル採用の流れや採用ターゲットの共有、自社HPの求人ページの更新等が挙げられます。
次に社員が協力することのメリットの例として、社員への紹介料支給や景品贈呈、また企業によっては、求人の話をする会食であれば採用費用として全額支給するケースもあるようです。
アメリカではグーグルやフェイスブックをはじめ、約85%の企業がリファラル採用を導入し、日本でもメルカリやビズリーチなどのベンチャー企業を中心に導入して成功事例も増えています。ご興味があれば、ぜひネット等で検索してみてください。採用コストを抑えながら自社に合った良い人材を獲得するヒントが詰まっていると思います。
また、社員全員が共通の採用課題を持っていれば、人事や採用担当者に対して協力的になるので、求人広告を制作するための社員インタビューや採用に関する調査依頼、選考に伴う会議室の使用等もスムーズに進めることができます。
定着率を上げる
パーソル総合研究所と中央大学の共同研究の調査によると、2025年の人手不足の推計値は505万人となり、2030年には644万人に達するという予測が発表されました。
今後ますます人手不足の深刻化が見込まれている中、新卒採用のみ実施していた大企業や定着率の高い人気企業も労働力不足で本格的に転職市場へ参画してくることでしょう。
そうなれば、さらに人材確保が苦しくなる可能性もありますので、これまで以上に今いる人材に合わせた働き方が提供でき、働きがいのある職場となるよう企業も成長していくことが求められるのではないでしょうか。
定着率の高い企業の特徴としては、以下のような点が挙げられます。
時短勤務、リモートワーク、男性の育休取得等、人材に合わせた働き方の提供
時間ではなく、仕事の質に合わせた人事評価制度の見直し
組織内のコミュニケーションを強化し、心理的安全性を確保する
また、入社前のミスマッチ防止も定着率を上げるうえで欠かせません。どんな人材を求めていて、どんな人材が定着しているのか。そこにギャップがあるのか、ないのか。ここを検証していくだけでもミスマッチを防止するヒントが見えてくると思います。
おわりに
著者も採用領域未経験でベンチャー企業の採用統括を行ってきましたので、人材確保ができない時の苦しさは痛いほど理解できます。さらに中小企業ですと、採用担当者1人もしくは少人数でPDCAをまわしているケースも多いので、社員全員が共通認識を持てることが何よりも力に変わります。
企業によって「人材不足」のレベルはまちまちだと思いますが、本記事の内容が少しでも参考になれば嬉しく思います。
参考:
「2014年中途採用状況総括 年間採用経費は353万円、1人当たりの求人広告費は機電系の「64万円」が最高(https://news.mynavi.jp/article/tensyoku2014-1/)」(マイナビニュース)
「労働市場の未来推計 2030(https://rc.persol-group.co.jp/news/files/future_population_2030_2.pdf)」(パーソル総合研究所 × 中央大学)
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