究極の監視社会? 中国で着々と推進される「信用スコア」と日本での動き
LIMO / 2019年1月25日 20時20分
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究極の監視社会? 中国で着々と推進される「信用スコア」と日本での動き
ビジネス、今日のひとネタ
みなさんは「信用スコア」という言葉を耳にしたことはありますか?
これは、中国が国家ぐるみで推進しているシステムで、個人の信用力を数値化して明示するものです。数値がいいと、医療や進学などに有利に働いたり、出国の手続きで時間が短縮できたりするなどのメリットがあります。すでに中国では、IT企業によりこうした取り組みが推進されており、また米国でも多くの人々がこうしたサービスを利用しています。そして今、日本でも複数の大手企業がサービスを提供する動きを見せています。
しかし、多くの人には「信用スコア」はまだ馴染みのない言葉でしょう。これがどんなものなのかを、中国の状況を中心に、日本での動きとネット上の声もあわせてまとめてみました。
アリペイのサービス「芝麻信用」
中国では、スマートフォンによるQRコード決済が非常に浸透しています。飲食店や映画館から中小の商店、街なかの露店などまで、どこでも簡単にQRコードを使って決済ができるようになっています。
2017年6月の日本銀行のレポートによると、中国では実に98.3%の人がQRコード決済を利用していると回答していますが、日本の利用率が6%であることからも、その数字のすごさがわかりますね。一説には、もともと偽札が数多く流通しているような状態だったため、「現金」よりも「信用力のある会社のシステム」のほうが信頼される(現金に対する信用が高くない)という土壌があったので、急速に利用が広がったともいわれます。
その決済によく使われている「アリペイ」で、「芝麻信用(ジーマ信用)」というサービスがあります。同サービスでは、一般ユーザーは最低350点~最高950点の間の自分のスコアを計算できるのですが、このスコアはAI技術によって高精度の数値を算出することが可能だといいます。
「信用スコア」はどう使われる?
たとえば、決済の利用履歴以外にも、サービスの利用状況やSNSでの発言履歴などからもデータが収集され、「性格」や「人脈」「素行」などといった5つの評価軸から、大まかに5段階に分けた評価を計算できます。
一定の数値を上回った人は、各種サービスの保証金が減免されたり、結婚や進学に有利になったりする一方、下回った人は公共サービスの決済が禁止されるなどのデメリットを被るのです。
膨大なデータを集めての分析だからこそ、「信用スコア」そのものにも一定の信用が持てるという側面はあるでしょう。
監視社会への恐れ
しかし一方で、「信用スコア」の浸透は、監視社会につながるのではないかという声も上がっています。
「信用スコア」の仕組みが同様に推進されている米国でも、ローンや融資を受ける際の審査に使うくらいです。しかし、中国はそうした与信審査に加え、「職業」や「学歴」といった基本項目から、決済状況や公共サービスの利用状況まで、個人の能力をすべて数値化しようとする「社会信用システム」を導入しようとしているのです。
このような徹底した故人能力の数値化と管理は、犯罪や不正行為の抑止力となる反面、人の行動そのものを支配してしまうという懸念も生じています。
日本での浸透は?
日本でも、「信用スコア」のサービスを、複数の企業が提供し始めました。2016年にみずほ銀行とソフトバンクが50%ずつ出資して、「J.Score」という「信用スコア」のサービスを提供する会社ができ、2017年9月から実際に運用を開始しています。
この企業の提供するサービスは、中国のものとは異なり、個人情報を入力する必要がなく、ニックネームで気軽に始めることができます。プロフィールや生活様式、好みを入力することで、AIが自動的にその人の最大融資可能額と金利を計算してくれるという仕組みになっています。
日本でも今後、活発化していくかもしれないこうしたサービスについて、一般の方々はどう思っているのでしょうか。ネット上では、
「日本ではプラスの面しか使えないからこれからの動向に注目。SNSスコア取り入れてみんな本名強制になったら俺のような陰キャラの居場所は消える」
「ユーザになんのメリットがあるの?」
「AIがどうとかあるけど、結局、消費者金融が『おまえここまで借りれるぞ』って言って無駄に借金させるのとあまり変わらないんでは?」
など、「よくわからない」という意見も含め、否定的な意見がちらほら見られます。
これからどうなる?
NTTドコモやLINEも、2019年上半期に信用スコアを利用したサービスに乗り出す予定ですが、「信用スコア」の仕組みや導入の意味への理解が進んでいないこともあって、「個人情報の不正利用をされるのではないか」と懸念する人たちもいます。
日本でこうしたサービスが今後、受け入れられるために、各社がどのような手を打つのか、今後も注目して見てみたいところです。
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