TSMC、1~3月業績は通常の季節性を上回る落ち込み
LIMO / 2019年1月23日 6時0分
TSMC、1~3月業績は通常の季節性を上回る落ち込み
マクロ景気悪化とスマホ向け需要減が影響
半導体受託生産(ファンドリー)大手の台湾TSMCは、2019年1~3月期に通常の季節性を上回る減収幅となる売上高73億~74億ドル(中心値は前四半期比22%減)を見込んでいる。マクロ景気の悪化に加え、スマートフォン向けの需要減が影響する。
(※グラフに誤りがあったため、差し替えました)
最先端の7nmの稼働率が低下
主要顧客であるアップルが販売不振により、主に新モデル(iPhone XR)を中心に生産台数を引き下げたことが大きく影響しているもよう。また、サプライチェーンの在庫水準が高いことも減収要因の1つとして挙げている。プロセス別では主に最先端の7nmプロセスの稼働率が低下する見通し。同プロセスはスマホ新モデル向けに18年後半から業績寄与が始まっており、18年10~12月期には売上高全体の23%を占めた。
アプリケーション別では、スマホなど通信向けの落ち込みが最も大きくなる見通し。また、コンピューター向けも2桁台の減収となるほか、産業・汎用市場向けも大幅な減収を予想する。
通年売上高は微増を予想
19年通年の売上高は、前年比微増を見込む。ただ上期は前年同期比で減収を予想しており、下期からの回復を見込んでいる。19年においては減速感が出ているものの、長期的な売上高のCAGR目標(米ドルベース)5~10%に変更はないとしている。
アプリケーション別では、スマホ向けが若干の増収を見込むほか、HPC(High Performance Computing)分野も仮想通貨向けを除けば、若干の増収となる見込み。このほか、IoT向けは2桁台の増収を予想する一方、自動車向けは中国市場の不振が影響し、横ばいにとどまる見通し。
なお、InFO(Integrated Fan Out)やCoWoS(Chip on Wafer on Substrate)など先端パッケージで構成される後工程事業は、18年に約25億ドルの売上高を記録。19年もスマホ顧客に加え、HPC分野での採用拡大により、前年比で2桁台の伸びを予想する。
19年設備投資は最大110億ドル
19年年間ベースでの設備投資金額は100億~110億ドルを計画する。同社では長期的な設備投資ターゲットとして、年間100億~120億ドルを設定しているが、19年はこれを若干下回る見通し。投資額のうち、80%を7/5/3nmなどの先端プロセス向け、10%を先端パッケージやフォトマスク関連に充てる。
先端プロセスにおいては、EUVリソグラフィーを採用した「7nm+」の量産を19年4~6月期から開始する。次世代の5nmは19年前半中に最初のテープアウト(設計完了)を予定しており、量産は20年前半を予定する。
300mmウエハーに対応した先端プロセスに傾注する一方、昨今は8インチなどのレガシーノードの分野でも投資を強化している。8インチでは台南地区に新棟の建設を進めている。同社では単純なキャパシティーの増強ではなく、高付加価値な特殊プロセスに対応すべく、クリーンルームを拡張するという。
シリコンウエハーの契約見直しを示唆
スマホ市場の鈍化に伴い、業績低迷に苦しむTSMC。利益率も若干低下傾向で、16年ごろには40%を超えていた四半期営業利益率も、直近の18年10~12月期には37%まで低下している。同社は18年10~12月期の決算カンファレンスコールにおいて、シリコンウエハーベンダとの間で結んでいる長期供給契約について再交渉を行う考えを示した。
シリコンウエハーの需給環境がタイトになった17年初頭以降、TSMCは供給メーカーとの間で「量」と「価格」を固定した長期計画を結んで、安定調達を図る動きを見せていた。しかし、半導体市場の減速感が強まってきたことで、300mmウエハーを中心とするシリコンウエハーの需給環境も軟化。ウエハー調達価格の見直しを図ることで、利益率の改善を図りたい考えだ。
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