【株式市場】一旦は後退したリスク・オフ長期化懸念
LIMO / 2019年1月24日 6時0分
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【株式市場】一旦は後退したリスク・オフ長期化懸念
「柏原延行」のMarket View 2019年1月23日
皆さま こんにちは。アセットマネジメントOneで、チーフ・グローバル・ストラテジストを務めます柏原延行です。
寒い日が続きますね。一部の地域では、悪天候に見舞われているようです。ご自愛ください。
さて、今週の記事のポイントは以下の通りです。
1月に入り、リスク・オフが長期化する懸念は、一旦は後退し主要な株式市場は上昇に転じている。
依然、景気や企業業績に下方修正懸念があると思われること(特に、本決算を前にした日本企業)や米政府機関閉鎖の悪影響が顕在化することなどへの懸念は残る。
しかしながら、米連邦準備理事会(以下、FRB)は従来比ハト派(景気への配慮を重視し金融緩和に前向き)的なスタンスに転じたと思われること、米中貿易問題にも交渉が進展しているという見方があることに加えて、過度な景気に対する警戒感が剥落したことも市場をサポートした。
米中交渉が最大の材料である状況は変わらないが、経済対策により、中国経済が底打ちする可能性にも目配りしたい。また、底打ちの可能性がある商品市況にも注目したい。
2018年の10月から始まった株式市場の不安定な状況は、2019年に入り落ち着きを取り戻し、リスク・オフ(リスク回避)が長期化するという懸念は、少なくとも一旦は後退していると思われます。図表1は、①2018年、②2018年12月、③2019年1月の重要と思われる株式市場の騰落率を整理したものですが、2019年1月は足元までは表に記載したどの市場でも上昇に転じています。
依然として、景気や企業業績に下方修正懸念があると思われること(特に、本決算を前にした日本企業)や米政府機関閉鎖の悪影響が顕在化することなどへの懸念はくすぶっています。しかしながら、パウエル議長の発言などにより、FRBの政策運営が相応にリスクに目配りした従来比ハト派的なスタンスに転じたと思われること、2月に山場を迎えると思われる米中貿易問題の協議が次官級会合などによりある程度進展しているとの見方が浮上したことなどが、市場の安定に寄与しました。
図表1:株価指数の騰落率(単位:%)
(/mwimgs/c/c/-/img_cc9c8eeef5b721aa404431a45c2185c759865.jpg)拡大する(/mwimgs/c/c/-/img_cc9c8eeef5b721aa404431a45c2185c759865.jpg)
出所ブルームバーグが提供するデータをもとにアセットマネジメントOneが作成。
(注)2019年1月の基準時点は、日本時間1/22 午前8時頃。休場の場合はデータが入手できる直近値
加えて、2018年12月はあまりにも過度な景気・市場に対する警戒感が台頭したと思われ、これが剥落したことも市場をサポートしたと考えています。
パウエル議長をはじめとするFRB高官の従来比ハト派的発言は、警戒感の後退に貢献したと考えています。そして、中央銀行の金融政策には継続性が要求されるため、仮に株式市場が安定しても、スタンスを大きく変更することは難しく、利上げのテンポは従来よりも緩やかになり、このことが株式市場のプラス要因として働くという見方もでてきています。
また、3月に期限を迎える英国のEU離脱問題に関しては、英国の離脱へのスタンスが定まらない中、合意なき離脱への懸念があります。しかし、選挙結果やデモなどを受けて、EUの中核国であるドイツやフランスで政権の指導力が低下していると思われる中、期限延長の可能性が取りざたされるようになっており、これも株式市場のプラス材料であると思われます。
懸念が強い中国を巡る状況についても、2018年10~12月期の実質GDPは、前年比6.4%とほぼ予想通りの水準で着地しました。もちろん、成長率自体は減速しているのですが、経済成長を鈍化させた要因といわれる自動車の販売や固定資産投資については、個人への補助金や鉄道への投資などの経済対策により、大幅な落ち込みは避けられるのではないかという見方がでてきています。
図表2は、商品市況の状況を示すCRB指数の動きを示したものです。2018年2~3月の株式市場の下落局面では、2月に商品市況は底入れしています。
今回、商品市況は、昨年の12月に一旦は底入れしています。これが株価上昇のサインであった可能性にも注目したいと考えます。
図表2:商品市況の推移
2018年1月2日~2019年1月18日:日次
拡大する(/mwimgs/9/f/-/img_9f91ff6e7a53c87fa9051d3ddd03a01465790.jpg)
出所:ブルームバーグが提供するデータをもとにアセットマネジメントOneが作成。
(注)CRB指数を使用。
(2019年1月22日 8:00頃執筆)
【当資料で使用している指数についての留意事項】
「日経平均株価」は、株式会社日本経済新聞社によって独自に開発された手法によって、算出される著作物であり、株式会社日本経済新聞社は、「日経平均株価」自体および「日経平均株価」を算定する手法に対して、著作権その他一切の知的財産権を有しています。ダウ・ジョーンズ工業株価平均は、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスLLCまたはその関連会社の商品であり、これを利用するライセンスが委託会社に付与されています。S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスLLC、ダウ・ジョーンズ・トレードマーク・ホールディングズLLCまたはその関連会社は、いかなる指数の資産クラスまたは市場セクターを正確に代表する能力に関して、明示または黙示を問わずいかなる表明または保証もしません。また、指数のいかなる過誤、遺漏、または中断に対しても一切責任を負いません。ドイツDAX指数に関する著作権等の知的財産その他一切の権利はDeutsche Börseに帰属します。上海総合指数は上海証券取引所が公表する指数です。ブラジル ボベスパ指数に関する著作権等の知的財産その他一切の権利はサンパウロ証券取引所(BM&FBovespa)に帰属します。CRB指数の著作権、知的所有権その他一切の権利は、Thomson Reuters及びJefferiesFinancial Products.LLCに帰属します。
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