老後資金は3000万円が目安? どう準備すればいいのか
LIMO / 2019年1月26日 6時0分
老後資金は3000万円が目安? どう準備すればいいのか
平成29年12月に厚生労働省が公開した「平成28年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金の月あたり平均受給額は男性が166,863円、女性が102,708円でした。そのため、現状では夫婦2人が企業で共働きを続けて老後を迎えるのであれば、合わせて平均269,571円を受給できることになります。
一方で、自営業で国民年金のみの加入ならばもっと少なくなりますし、妻が途中で専業主婦になり夫の扶養に入る場合は加入年数により受給額は変わります。
また、現状でも受給年齢が上がっていますし、今後はさらに少子高齢化の影響で今の金額水準を保てるとは限りません。退職金に期待していても、移り変わりが激しくどの業界も安泰とは言い難いので、きちんと支払ってもらえるかは分かりませんよね。
このような理由から、自分や家族のことを守るために老後資金は若いうちから意識的にコツコツ貯めた方が良いと言えるでしょう。では、一体どれくらい貯める必要があるのでしょうか。
一般的には3000万円の準備が必要と言われているが
2017年の日本人の平均寿命は女性が87.26歳、男性が81.09歳でした。60歳を定年とすると、男性はその後に約21年、女性は約27年間生きることになります。この間の老後資金は一般的には老後資金は3000万円必要と言われることが多いです。
ただし、退職金が2000万円もらえる保証があるのなら1000万円だけ用意すればいいですし、老後はできるだけ年金の範囲内で質素に暮らすので3000万円も必要ないという人もいるでしょう。人それぞれ必要な額は異なるので、受給見込みの年金額と退職金から、たとえば30年間で必要になるであろう生活費を差し引いて、足りない分を試算してみましょう。
年金受給の見込み額は日本年金機構の「ねんきん定期便」に記載されているほか、インターネットでも年金シミュレーションができるサイトがあります。また、将来の生活費がよくわからないという場合は、現状の生活費の月額で計算してみてもいいでしょう。さらに、退職金が見込み通り入らない場合も想定して試算してみることも必要です。
どうやって貯めていけばいい?
老後資金用の貯蓄口座を作る
退職金などを考慮せず、30歳から老後資金の準備を始める場合、仮に30年間で3000万円とすると、10年間で1000万円、1年で100万円、1か月で8.4万円となります。こう考えると、月額としては結構負担になりますよね。
それだけではなく、子供の教育費や住宅・マイカーの購入に充てる費用などライフイベントにより都度出費があるので、計画的に増やす準備をしなくてはいけません。そのためにも、他の使い道とは分けて、老後資金用の貯蓄口座を作成しましょう。月にいくら貯めるか、ボーナス時はいくら貯めるかをあらかじめ決めて、給料日やボーナス日に直ぐに移すようにします。
iDeCoの非課税枠を利用する
自分でつくる年金とも言われる個人型確定拠出年金のiDeCo(イデコ)について聞いたことのある方もいるでしょう。iDeCoの最大の特徴は節税効果が高いこと。掛金を拠出するとき、運用益が出たとき、受け取るときの3段階で節税効果の恩恵を受けられます。
たとえば、iDeCo公式サイトのかんたん税制優遇シミュレーションを使って年収500万円の30歳の人が毎月3万円、60歳になるまで積み立て続けるとどれくらいの節税効果があるのか確認してみましょう。そうすると、30年間で216万円も節税できることになります。
また、iDeCoの運用では、元本割れのリスクが怖いという方にも、元本確保型商品として預金や保険という選択肢もあります。iDeCoの場合は上述のように運用益にかかる税金はかかりません。通常の預金でも利息には20.315%の税金を引かれることを考えると嬉しい特徴ですよね。
さらに、iDeCoの場合は60歳になるまで原則お金を引き出すことができないので、老後資金専用の資産形成ができるというわけです。こうした制度も上手く利用することを考えてみてはいかがでしょうか。
世帯収入を増やす
元々の収入が少なければいくら頑張っても資産を増やすことはできません。日本の平均年収は現状400万円ほどで、手取りは約330万円と言われています。単純に12カ月で割ると月に使える額は27万5千円。その中から生活費にプラスして老後資金を捻出するのはかなり厳しいと言えるのではないでしょうか。
今のままでは収入増が見込めないというのであれば、転職をして収入アップを狙ったり、副業を始めて収入の口を増やしたりということを考える必要があるでしょう。国の政策に文句を言っていても誰も助けてくれません。日本で暮らすと決めた以上、なにより自分や家族のために収入面も真剣に考える必要があると言えます。
また、妻が専業主婦の場合、働いて厚生年金に加入することにより老後の年金も増えますし、収入から貯金に回すこともできるようになります。家族で協力して世帯収入を増やすことにより、余裕のある老後につながるでしょう。
まとめ
老後資金として必要になる金額は大きく、若いうちから計画的に増やしていく工夫が必要です。年金や退職金も現在の水準でもらえるかは分からないので、余裕を持った金額を用意した方が良いと言えます。まずはどのくらいの老後資金が必要になるかを試算して、貯金・投資・収入アップなど、ご自身に合う方法で資産を増やしていきましょう。
参考:
平均寿命、男女とも過去最高 2017年厚労省(https://www.nikkei.com/article/DGXMZO33208190Q8A720C1EA2000/)(日本経済新聞 2018年7月20日)
かんたん税制優遇シミュレーション(https://www.ideco-koushiki.jp/simulation/)(iDeCo公式サイト)
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