専業主夫の悩みと罪悪感。「えらいねー」と言われるけれど…
LIMO / 2019年2月1日 19時45分
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専業主夫の悩みと罪悪感。「えらいねー」と言われるけれど…
「最近のパパは、育児に協力的でうらやましい」。子育てを終えた世代からこんな言葉が聞かれることがあります。
育児期間中は「中心となって子どもの世話をする人」が必要となるため、多くの家庭では、母親が専業主婦となったり、育休を取得して子どもの世話を担っています。
一方で、仕事を辞めたり休んだりして、家事や育児を妻より多く担う生活スタイルを「専業主夫」とした場合、その道を選んだ男性はどのような悩みを抱えることになるのでしょう。
病院、定期検診、母子手帳。「お母さんは?」と言われる苦悩
川端裕人さんの小説『おとうさんといっしょ』に収録された『ふにゅう』は、経産婦の筆者が読んでも恐るべきリアリティで育児の葛藤が語られている「専業主夫小説」です。その中に、育児に追い詰められた主人公男性によるこんな一文があります。
「彼女には絶対にわからない。おっぱいを持っているから、持たない者の苦労も、切実な願いも全然わからない」
「子育ては半分」という夫婦の方針で、娘の保育園入園までの半年間、家事と育児を担当する道を選んだ主人公の男性。日によっては帰宅が夜中をまわる妻が帰ってくるまで、離乳食作りや家事に追われながら、静かな部屋で子どもとの濃密な時間を過ごします。
日中、どんなに一生懸命尽くしても、「おっぱい」を持っている妻が帰ってくると、妻にべったりとくっつく子ども。そして、日中何度も訪れる「煮詰まった状況」を知ろうとしない妻を恨めしく思い始め、子どものことを思って仕事復帰への意欲を失っていきます。
育児の喜びと辛さをたった1人で丸抱えすることで、徐々にパートナーへの不満がたまっていく過程や、自分のやりたいことを後回しにしてしまう経験は、子どもを産んだ多くの女性の経験と共通しているかもしれません。
本著にはさらに、定期検診で「父親だから」という理由で「えらいねー」と言われて過剰なアドバイスを受けて居心地の悪さを覚えたり、子どもの入院に夜は父親が付き添えなかったりといったシーンも描かれています。
「子育ては平等に」というのは、理想的な形ではありますが、実際の育児現場では「母親担当」とされている場面がいたるところに残っており、専業主夫の肩身を狭くさせることがあると考えられます。
夫は収入を過大申告の傾向。「働いて稼いでいないこと」への罪悪感
男性が平日にベビーカーで歩いているとき、「今日はお仕事お休みですか?」と聞かれるのは珍しいことではありません。とはいえ、シチュエーションによっては、働いていても、働いていなくても、答えるのに若干の気まずさを感じさせる質問です。それは、「ちゃんと仕事しているのが普通のパパ」という世間の目があるからではないでしょうか。
昨年7月、ニューヨークタイムズ紙で、「妻の方が稼ぐことを、夫も妻も認めたがらない」(筆者訳)という記事が配信されました。
記事によれば、夫より妻が多く稼いでいる家庭において、妻が国勢調査官に収入額を申告する際、実際の収入よりも平均して1.5%少なく申告したのに対し、夫は2.9%多く申告していたことが判明。他の家庭と比較して誤差が大きかったといいます。
また、アメリカの世論調査機関の調査では、7割の男女が「良い夫であるために、経済的に家族を支えることが重要」と感じており、「男性が稼ぐこと」へのプレッシャーが強いことがうかがえます。
日本においても、同様のプレッシャーがあることは否めません。専業主夫にとって、「パートナーの方が稼いでいること」の後ろめたさは、場合によっては専業主婦よりも大きいのかもしれません。
人生の選択肢は多い方がいいけれど…
現在、専業主夫の道を選ぶ男性は少数派です。「子育てや家事を夫婦のできる方がやる」というスタイルがなかなか叶わないのは、会社や社会で男女に期待される役割が異なることや、一度キャリアから離脱するとなかなか元のポジションに戻れない職場の風土も一因となっているのではないでしょうか。
主体的に子育てを担っている男性が、「えらいねー」「協力的ね」と言われずに当たり前とされる時がやってきたなら。キャリアに空白期間ができてもきちんと復帰できる職場があれば。長い人生において男性が仕事を休み、「専業主夫」という期間を設けることへの抵抗感が軽減されるのかもしれません。
【参考】
『おとうさんといっしょ』(川端裕人著、新潮社・2008年刊)
『When Wives Earn More Than Husbands, Neither Partner Likes to Admit It(https://www.nytimes.com/2018/07/17/upshot/when-wives-earn-more-than-husbands-neither-like-to-admit-it.html)』(The New York Times)
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