超人気商品? 上場投資信託(ETF)が存在感を増す裏で起きていること
LIMO / 2019年2月19日 21時15分
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超人気商品? 上場投資信託(ETF)が存在感を増す裏で起きていること
資産運用に詳しい方なら、ETF(上場投資信託)はご存じだと思います。ETFとはExchange Traded Fundの略で、株式と同じように証券取引所(東京証券取引所)に上場されている投資信託です。投資信託とはいっても上場されていますから、取引所が開いている時間内であれば、いつでも売買できるのが特徴です。
さてそのETFですが、投資信託全体の中で存在感を高めてきています。
2018年12月末における追加型株式投資信託(公募投信)の残高は約93兆円なのですが、うちETFは34兆円となっています。一方、5年前の2013年12月末では、前者が約81兆円、後者が14兆円となっています。すなわち、この5年間で投信全体の残高は約15%増えた一方で、ETFの残高は約142%も増加(2.4倍増)しています。
数字だけ見ると、一般の公募投信の残高はほとんど増えず、ETFだけが超人気商品になったかのような印象ですね。
図表1:日本のETFトップ20(純資産総額順)
(/mwimgs/d/d/-/img_ddc92b3465be4aef51132c569a473f54332507.jpg)拡大する(/mwimgs/d/d/-/img_ddc92b3465be4aef51132c569a473f54332507.jpg)
各種データより筆者作成(2019年1月末時点)
確かに、ETF以外の公募投資信託があまり増えてないのは事実として、みなさんの周りでETFをバンバン購入されている方はいらっしゃいますでしょうか。それも、5年間で20兆円も買い続けているお大尽が。ま、常識的に考えていらっしゃらないでしょうね。
種明かしをしますと、ETFを買い続けているのは日本銀行です。
ETFの買い入れが始まったのは2010年12月15日で、日経平均株価連動型とTOPIX連動型を対象に、買い入れ残高の上限は当初4,500億円でした。
それ以降、買入限度額は毎年増加し、2016年以降は年6兆円のペースでETFを買い続けています。つまり、ETFの残高はこれからも増えていくということです。
相場の地合いが悪いときや、株価下落局面では、一般の投資信託の売れ行きはすこぶる悪くなるのですが、ETFに関してはしばらく絶好調が続きそうです。
となると、「日銀がETFを買う時を狙って同時に買えば、多少儲けられるのでは」と考える目ざとい投資家もいらっしゃるかもしれません。確かに、TOPIX(東証株価指数)は日銀がETFの買い入れを始めた時からの年平均リターンはプラス7.5%程度で推移しています。しかし、2018年のリターンはマイナス17%超です。
日銀が買うからETFは必ず上がる、といったものではないところが何とも皮肉です。むしろ問題は、足元の日本株市場は日銀頼みで、日銀以外の買い手がほとんどいないことなのです。
ただし、相場の不調も運用会社にとっては悪い話ではありません。図表1の中で純資産総額トップの「TOPIX連動型上場投資信託」の残高は8.3兆円になります。このETFの信託報酬率は年間0.11%(税抜)ですから、年間平残が8.3兆円だったとすると信託報酬額は約62億円になります。
トップ20のETF全体の信託報酬額は、現在の純資産総額が平均残高(平残)として残った場合、概算で年間600億円程度となります。ETFの運用会社にとってはとてもありがたい話ではあります。
さて毎年62億円の信託報酬を稼ぐ一般の公募投資信託があるとしましょう。運用会社の信託報酬取り分を年0.7%とすると、その投資信託は年間平残で9000億円程度の残高となります。実は直近で、ETF以外の一般の公募投資信託で、純資産総額が9000億円を超えるものはないのです。
ことほどさように、日銀のETF購入がマクロ経済に与える効果は未知数であるものの、大手のETF運用会社にとってはじっと黙って我が春を謳歌できる今日この頃です。
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