ローカリゼーションの時代、日本企業は知財で戦え
LIMO / 2019年2月15日 20時30分
ローカリゼーションの時代、日本企業は知財で戦え
IoTにはカスタマイズが必要不可欠
米中貿易戦争が話題に上がらない日はない。トランプ大統領の対中制裁の強硬に加え、中国経済がガタガタになり、ついには世界同時株安を招くトランプショックが懸念されるなど、メディアの言論はかしましいばかりだ。
しかしながら、グローバリゼーションに逆行するトランプ大統領の保護主義、一国主義の流れは今始まったわけではない。産業革命をかつて主導し、EU発足の旗頭であったイギリスがあろうことかEUを脱退し、一国主義になることをすでに打ち出している。そしてまた中国は百度(バイドゥ)、アリババを普及させ、ファーウェイなどのドメスティックスマホを推進することで、米国中心のITの世界を変えようとしている。
IoTでローカリゼーションの時代へ
5G高速通信が始まろうとしているが、通信方式としてのWi-Fiはあと数年間でなくなり、LPWAにとって代わられようとしている。長距離でつながることよりも、短距離であっても高速・低消費電力のLPWAの方が良いという方向性は、ローカリゼーションのひとつの始まりなのだ。そしてスマホなどの端末とサーバーなどのクラウドしかない状況、要するに完全集中制御は終わりを告げ、今後は自律分散制御がコンピューティングの主役になると言われている。ネットを使わないエッジデバイス(通信ネットワークを他の通信ネットワークと接続する機器)の時代がもうそこに見えてきている。
IoT革命がこれまでのIT革命と明らかに異なるのは、世界標準仕様と規格、そして大量生産モデルにより安いものが勝つという常識が必ずしも通用しないことだ。その国、そのエリアだけに通用するスタイルが確立され、何が何でも世界とつながることが重要視されるわけではない。
そうなれば電子デバイスの世界も大きく変わってくる。「とにかくいっぱい作ってひたすらコスト安」よりも、カスタマイズに合わせこみ多品種少量生産、多品種変量に強いことが生き残る条件の一つとなってくる。言うまでもなく日本企業は、高機能・高付加価値さらにはカスタマイズに滅法強いわけであるから、見方によっては日本に最大の追い風といえないこともない。
得意のカスタマイズと知財で勝つ戦略を
IoTの重要な機器のひとつであるロボット産業は日本が世界シェア60%を占有する分野であるが、これからのロボットはカスタマイズされ、それぞれの使い勝手を要求されるのだから、多品種少量生産にならざるを得ない。「コストは高くても要求される性能に優れる」カスタムロボットは、当然のことながらカスタマイズされた半導体、電子部品、実装基板を必要としてくるのだ。インテリジェント性を持たせたエッジデバイスが大活躍するわけであり、すり合わせ技術、きめの細かいものづくり、そして何よりも耐久性・長寿命が必須条件になってくる。スマホに搭載するデバイスであれば数年で壊れていい(もちろん暴論である)が、ロボット、次世代自動車さらには橋、道路につけられるエッジデバイスは10年~30年持つことが必須条件となってくる。
「ひたすら知財をコピーして、後は一気の大量かつ集中生産」が花形という時代ではなくなってくる。ましてやトランプ大統領が「知財」を盗むものは絶対に許さない!!と言っているのだ。IoTによるカスタマイズには多くの知財が必要になり、また新たな知財が数多く生まれてくるであろうが、この分野の競争は今まで以上に激しくなるだろう。そうなれば、自ら創造価値を生み出せない国は本当に苦しくなってくる。
ノーベル賞ラッシュの国、ニッポンは知財で勝つという戦略を今こそ固めなければならない。そして先進国の中で唯一、実質GDPの40%がものづくりという日本の存在価値が、今こそ光を放つ時が来たのだ。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
【生産管理とDXのテクノア】が『 第13回 次世代ものづくり基盤技術産業展―TECH Biz EXPO 2024― 』に出展します
PR TIMES / 2024年4月30日 12時15分
-
安川電機のAI機能を搭載し、自律性を備えた次世代産業用ロボットにWind River Linuxが採用
PR TIMES / 2024年4月18日 14時15分
-
出発点は何ごとも危機感【私の雑記帳】
財界オンライン / 2024年4月14日 15時0分
-
どれだけ自民党が嫌いでも、「無能な野党」しか選択肢がない…米政治学者が憂う「日本政治の機能不全」
プレジデントオンライン / 2024年4月13日 7時15分
-
プーチンを相手に「ヒトラー宥和政策」の失敗を繰り返すのか? 当時よりもひどいトランプ一派
ニューズウィーク日本版 / 2024年4月11日 21時26分
ランキング
-
1日本郵便と西濃が共同輸送 長距離対象、24年問題に対応
共同通信 / 2024年5月6日 17時34分
-
2GWが明けたら次の祝日は7月の海の日…産業医が教える「年間幸福度」を最大に引き上げる有給の賢い取り方
プレジデントオンライン / 2024年5月7日 7時15分
-
3ドンキの“固すぎる”Tシャツがじわじわ売れている 開発者が生地の厚みにこだわったワケ
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年5月6日 8時0分
-
4思わずクリック「フィッシング詐欺」メールの巧妙 専門家も見極め困難、2要素認証と「意識」が大切
東洋経済オンライン / 2024年5月7日 9時0分
-
5「ようやく再出発」ダイハツ本社工場で生産再開 国内の全工場が稼働に 停止から約4か月半…従業員「やっぱり長かった」
MBSニュース / 2024年5月7日 9時20分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください