インテル、ロジック底打ちで半導体世界首位に返り咲き?
LIMO / 2019年2月21日 20時30分
インテル、ロジック底打ちで半導体世界首位に返り咲き?
サムスンは3日天下で王座転落の危機
半導体市況全体が低迷する中にあって、インテルが好調に売り上げを伸ばしている。2018年通期のトータルセールスは年初計画の650億ドルを大幅に上回る712億ドル(前年比13%増)を見込み、MPUは作っても作っても足りない。
その要因はパソコン需要が復活してきたことと、サーバー向けCPUの引き合いが強いためである。2019年設備投資は155億ドルを計画しており、既存の14nm世代の追加投資に加え、最先端の10nmに向けた投資を急ピッチで進めている。メモリー分野もニューメキシコ州に3D-Xpoint メモリーの新たな拠点を設立する計画であり、軒並み投資減額を図る大手メモリーメーカーとは対照的な投資スタンスを取っている。
2019年末にはサムスンを逆転する可能性も
インテルの18年第4四半期売り上げは190億ドルであり、サムスンが20兆ウォンを下回ったことで業界トップの売り上げとなった。こうなれば、2019年末にはサムスンから世界王座を奪還する可能性も出てきたのだ。
2018年の半導体売上世界ランキングは1位がサムスンの8兆3439億円で前年比16%増となっているが、2位のインテルも同14%増と好調で7兆2448億円となっている。約1兆円の差があるわけだが、2019年の6月または9月ごろまでメモリー不調が長引けば、サムスンの売り上げは伸びない。インテルは堅調に伸びると見られ、サムスンを逆転する可能性を否定できなくなっている。
WSTS(世界半導体市場統計)の2019年の予想を見ても、メモリーは0.3%減ではあるがマイナス成長となっており、これに対してマイクロ3%増、ロジック3.8%増と、論理系半導体の方が伸びが良いと分析しているのだ。関係者によれば、「昨年10月にロジック半導体は底打ちし上昇に向かっている。だがメモリー低迷の出口はまだ見えていない」という。
インテルだけではなくAMDも絶好調であり、FPGA系も回復基調、しかしスマホ向けをメーンとするクアルコム、エヌビディアなどはまだまだダメという展開になっている。AMDは先ごろ、7nmプロセスの次世代Ryzenプロセッサーを発表しており、インテル製Core i9と比較し高速で消費電力30%減というその性能が評価され、株価がかなり上がっている。
データセンター投資が止まることはない
サムスンが2年ぶりの大幅減益にあえぎ、下手をすれば2年ぶりに王座転落の危機を迎えると噂されているなか、政治的には日韓関係は最悪の状況にはまりこんでしまった。元徴用工をめぐる異常判決やレーダー照射問題などでほとんど解決の糸口が見えない。自民党の外交部会・外交調査会が1月11日に開いた緊急合同会議では、韓国の半導体製造に打撃を与える「フッ化水素輸出禁止」まで提案されているのだ。まさかとは思うが、これが実行されればサムスン、SKなどの韓国半導体メーカーは全くモノが作れないことになる。
しかし認識を間違ってはいけないことがある。それはIoT革命が止まったわけではないということだ。世界のデータ生成量は9ゼタバイトくらいであるが、ここ数年のうちに5倍の45ゼタバイトまで上がるのは確実であり、データセンターも現状の5倍になる。データセンター投資は必ずや再開されるであろう。
グーグルはオハイオに600億円、デンマークに770億円のデータセンター投資を計画し、インドネシア、チリにも投資計画がある。アップルは米国に5年間で100億ドルを投入しデータセンターを作る。アリババは英国でのデータセンター展開を狙う。フェイスブックはオレゴン州に800億円、バージニアに1100億円のデータセンター投資を進める。アマゾンはインドネシアに1000億円のデータセンターを建設する。NTTもロンドンにデータセンターを建設する。
これらが実行されれば、再び3D NANDフラッシュメモリー、DRAMなどの需要は一気に急増、サムスンは再び息を吹き返すであろう。もっともデータセンター向けのCPUに強いインテルの売り上げもまた伸びていくのであり、2019年の半導体世界チャンピオンの争いはクビ差、鼻差の勝負になるかもしれない。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
2024年第1四半期のSamsung半導体部門業績、5四半期ぶりに黒字化を達成
マイナビニュース / 2024年5月1日 17時21分
-
サムスン電子、第1四半期営業利益10倍超 下期もAI需要堅調に
ロイター / 2024年4月30日 13時15分
-
次世代半導体の国産化実現へ 経産省がラピダスに追加支援
財界オンライン / 2024年4月25日 11時30分
-
米政府から「破格の支援」受けた韓国サムスン電子…半導体「好循環」構築なるか
KOREA WAVE / 2024年4月22日 12時30分
-
米国政府、Samsungの米国半導体工場向けに総額64億ドルの補助金支給を決定
マイナビニュース / 2024年4月16日 14時46分
ランキング
-
1日本の名目GDP、2025年にインドに抜かれ世界5位へ…円安でドル換算が目減り
読売新聞 / 2024年5月5日 18時59分
-
2相鉄線「屈指の閑散駅」ついに一新へ! 大幅イメチェン&新改札も 完成時期は?
乗りものニュース / 2024年5月4日 8時42分
-
3コスパの高さが異常…スズキの新型軽「スペーシア」が、「これで153万円は安すぎる」と絶賛されている理由
プレジデントオンライン / 2024年5月5日 11時15分
-
4「有料化」されたのはレジ袋だけではない? 有料化のレールにのったモノにはどんなものがある?
ファイナンシャルフィールド / 2024年5月4日 3時0分
-
5投資家・バフェット氏、AIによる詐欺「史上最高の成長産業になる」…皮肉を込め警鐘
読売新聞 / 2024年5月5日 19時57分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください