なぜ専業主夫に? 元銀行員が考える「将来のこと」と家計事情
LIMO / 2019年3月2日 20時20分
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なぜ専業主夫に? 元銀行員が考える「将来のこと」と家計事情
最近目にする機会が増えてきた「専業主夫」という言葉。意味はわかるけれど、周りにそんな人はいないという人も多いのではないでしょうか。また、専業主夫としてやっていきたいと思っている男性も中にはいると思います。今回は、銀行員から専業主夫に転身した人に話を聞くことができましたので、専業主夫になったきっかけや将来のことについてご紹介します。
なぜ専業主夫になろうと思ったのか
現在、2児のパパとして、そして家族を支える専業主夫として毎日をあわただしく過ごす彼は(ここではAさんとします)、なぜ専業主夫となる決意をしたのでしょうか。「自分のほうが家事が得意で、奥さんは働くのが好きだった。向き不向きもあるし、お互いに得意なことを活かそうという考え方だったから、自然とこうなった」とAさん。
話を聞いたところ、奥さんはもともと実家暮らし。学生のときも社会人になってからも実家で暮らしていたため、あまり家事が得意ではなかったのだそう。それに対してAさんは、学生のときからずっと一人暮らしで生活してきて、家事も苦手ではなく、性格的にもマメなので洗濯や掃除をこまめにやっていたのだと言います。
「料理も、レストランの厨房でアルバイトをしていたこともあり特に抵抗がなかったですし、自分が思った通りのものが作れるとうれしい。奥さんがそれを食べて喜んでくれるともっとうれしかった」と話してくれました。
世間の目については、「あまり気にならなかった。昔からそういうところがあるが、ちょっと鈍感なのかもしれません。誰がどう思っても、自分の人生だからと割り切る性格。誰かに何かを言われて行動を変えたとしても、そう言った人がその先の結果に責任を取ってくれるわけではないですし、責任は自分で取るしかないので」と笑います。
奥さんは「私は仕事をやめる気もないし、子どもが生まれたからといって何かをあきらめるような生活はしたくない。日本では、母親は常に子ども最優先でなければいけないみたいな空気があるけれど、それは納得はできない」という考えだと言います。
その主張に、Aさんも共感。「日本では女性は、いつの間にか『子ども最優先であること』を期待されているということに初めて気がついた。そして、自分もなんとなくそうあるべきだと無意識のうちに女性に期待していた部分もあったと気づいたんです」と話します。
さらに、「彼女は母親として、背中で見せるというのを実行してくれている。子どもは2人とも彼女が大好きです。自分は子ども最優先で、自分の時間がなくても平気だと思ったし、仕事が嫌いだったわけじゃないけどなんとなく仕事よりも家事のほうが自分に合っている気がしていた。だから今は自分が専業主夫として日中家事や育児をしています」とのこと。夫婦の考え方は合致していて、お互いに納得して毎日を過ごしているのだと言います。
専業主夫になるにあたって「悩んだこと」
そんなAさんも専業主夫になるにあたって、悩んだことがあると言っていました。
「自分は銀行員だったので、正直完全に男性社会の会社でした。彼女は外資系の証券会社で、職場はシビア。外資系といえども、やっぱり働いている人は日本人なので男社会的なところが多かったんです。自分は男性ばかりが上級職に就いて、いい給料をもらっているところしか見ていないから、彼女だけが働く場合、女性がどこまで昇給昇格できるのか見えずに不安でした」と打ち明けてくれました。
正直、収入面では奥さんの今のままの収入でも十分暮らしていけるのだと言います。不安なのは収入の話というよりも、奥さんが熱意をもって働いているのに評価されないでいることだったと言います。「そういうものが積み重なってふと仕事が嫌になってしまうんじゃないかと思っていたことはあります」とのこと。しかし、今のところそういった様子は見られず、頑張って働いているのだそう。
「それと、女性が65歳の定年まで働いているのをあまり見たことがなかったので、彼女も65歳まで働けるのか不安だった」と言います。
「でも、それは男女が逆でも同じことで、男性でも65歳まで働けないリスクはある。今は専業主夫をやっているけれど、子どもの手が離れたら仕事を再開してもいいと思います」と語る一方で、「専業主婦が仕事を始めるときは結構、専業主婦の潜在能力みたいなものを評価してもらえるイメージがあるのですが、男性が専業主夫として生活していた期間は評価してもらえないのではないかと不安」とも語ってくれました。
今は、子どもの成長や進学についてなど、みんなと同じような悩みがいくつもあるというAさん。順風満帆に見えても悩みは尽きないと言います。
気になる家計事情について
気になる家計についてですが、彼はあっけらかんと「彼女に専業主婦をしてもらうよりも、自分が専業主夫をやったほうが収入的には良かったと思う」と答えてくれました。
奥さんの収入は、子ども2人を養っても十分に暮らしていける年収です。それでも、「毎月食費を抑えようと、朝から子どもたちとの散歩ついでにスーパーへ行って安いものを探したり、節約料理レシピを見たりしてコンスタントにお金が貯められるように頑張っています。最近は電気代とガス代をまとめました」と笑顔のAさん。
「自分の場合、奥さんはかなり高収入の部類だと思いますが、それにあぐらをかくわけではなくて、稼いでくれている分しっかり貯める。何かあったときのために備えることを心がけています」と話してくれました。月収で言えば45万円は下らないようですが、住宅ローンを早く終わらせたいという奥さんの要望でガッツリ返済しているようで、普段の生活は節約しているとのこと。このあたりは、よく聞く主婦の方の話とあまり変わりありませんでした。
将来のこと、どう考える?
専業主夫として、将来のことをどう考えているか聞いてみました。Aさんは、将来的に子どもの手が離れたらまた正規雇用として働くよりは、フリーランスとして仕事をしていきたいと考えているようです。「小さい頃から翻訳の仕事をするのが夢で、留学もしていたので一応英語に不自由はない。あとは翻訳の仕事をする技術を身につけたいと思っています。子どもが小さいうちは難しいのですが、小学校に入って手が離れる時間が長くなってきたら、きちんと勉強しようと思っている」と話してくれました。
フリーランスという働き方は後ろ盾がなく難しいものではありますが、奥さんも賛成してくれているようです。「奥さんには『あなたの好きなことを仕事にしたらいい。私もそうしている』と言われて、なんだかプレッシャーのようなものがふっと消えたような気がした。ありがたいです」と笑顔を見せてくれました。
まだ子どもが4歳と1歳ということもあって、翻訳の勉強を始められるのはもう少し先になるようですが、それまでは家事をしっかりやって、奥さんを支えたいと言っていました。
まとめ
いかがでしたか。今回話を聞くことができたAさんは、専業主夫としてはかなり恵まれた環境にいたのではないかと思います。奥さんの収入も性格も彼とつり合っていましたし、奥さんの自立した姿勢を感じ取れる話が多かったのが印象的です。もちろん休日は奥さんも、大好きな子どもたちとたくさん触れ合う時間を作っていて、子どもたちも全く寂しがっていないと言います。こんな風にバランスよくお互いが暮らしていけたらいいですよね。
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