米景況指数発表でドル高、金下落。原油在庫減少で2015年7月以来の高値
トウシル / 2017年11月6日 14時0分
米景況指数発表でドル高、金下落。原油在庫減少で2015年7月以来の高値
金下落も買い多く堅調か
金相場は下落し、1週間ぶりの安値をつけた。10月のISM非製造業景況指数がドルを押し上げた。
米雇用統計の内容は低調だったが、最終的な金利や為替市場への影響は限定的に。トランプ米大統領が次期FRB(米連邦準備制度理事会)議長にパウエル理事を指名したことで、来年も利上げ緩やかとの見通しは、総じて変わらないだろう。
世界最大の金ETF(上場投資信託)であるSPDRゴールドトラストの保有高は10月27日の850.77トンから11月3日には845.75に減少。米国株の上昇基調の継続を背景に、安全資産である金からの資金流出が続いているものと思われる。
COMEX (ニューヨーク商品取引所)金先物市場での大口投機筋のポジションは、10月31日時点で19万3,095枚の買い越しとなり、前週から1,710枚増加。買いポジションが6,811枚減少したが、売りポジションが8,521枚減少した。
金相場の下落が続く中、買い方が損失覚悟の売りを出す一方、売り方も利益確定の売りを入れたが、買い戻しが多く、結果的にネットのポジションは買いが増えている。そのため、金相場は今後も底堅い推移が続くだろう。
米国のインフレ指標が、上がってこない。利上げはかなりゆっくりとしたペースにならざるを得ないだろう。
今後は税制改革法案の動向に注意が必要だ。現行35%の連邦法人税率を恒久的に20%に引き下げることが柱だが、実現すれば、レーガン政権下の1986年以来、約30年ぶりとなる大型の法人税減税だ。審議の動向次第では、ドル相場や金利動向に影響が出ることになる。
金相場は1,270ドル前後の水準をサポートできれば、上記の背景などを織り込みながら、年末に向けて再び上昇に向かう見込みだ。
短期金利の上昇はやや気になるが、急激なものでなければ、金相場への影響は軽微だろう。また、原油価格が上昇しており、インフレ圧力が高まる可能性があることは、金相場にはポジティブ要因と言える。
EVシフトの追い風受け、ニッケルは高値圏維持
非鉄相場はおおむね堅調。LME (ロンドン金属取引所)在庫はニッケルが増加したが、それ以外は減少。
アルミは上昇し、2,200ドルが視野に入っている。銅は反落したが、崩れていない。6,700ドルを維持していれば、トレンドに大きな影響はないだろう。ニッケルは反発し、高値圏を維持。1万2,000ドルを維持できていれば、さらに上値を追うことが想定される。ニッケルが底堅いのは、EV(電気自動車)のバッテリー向け需要の強さにある。
亜鉛は反落したが、3,200ドルのサポートを維持、鉛も2,440ドルのサポートを維持した。地合いは強いままである。実需が支えている相場はやはり強い。
米アルミ大手ノベリス社は、世界アルミ圧延品需要は2018年も堅調を維持するとの見通しを示している。自動車部門の需要増加が背景。
原油在庫減少で2015年7月以来の高値
原油は上昇し、WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油は55ドル台をつけ、2015年7月以来の高値まで上昇。米国内の石油掘削リグ(装置)稼働数が前週比8基減の729基と、5月以来の低水準となり、減少幅が2016年5月以来の大きさとなったことが材料視されている。
また、OPEC(石油輸出国機構)と非加盟産油国による協調減産合意の期限延長に対する期待感も背景にある。さらに、ベネズエラの財政危機や、同国国営石油会社PDVSAの資金繰りに関するリスクへの関心も高まっている。
米国の9月の原油輸出量は日量147万3,000バレルと、8月の77万2,000バレルを上回った。これも米国内の原油在庫の減少につながることになり、強材料と言える。安いWTI原油を買い、高いブレント原油連動の海外市場で売却すれば、収益が上がることが輸出増の背景にあるとみられている。
一方、サウジアラビアのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相は、「世界的な原油在庫の削減に向け、一段の取り組みが必要」との見解を示した。
ファリハ氏はロシアやウズベキスタン、カザフスタンの各国石油相らと会談し、「協調減産に合意した各国の戦略には、全般的な達成感がある」と指摘。そのうえで、「決して仕事をやり終えていないと皆が認識している。在庫減には、なおも多くのするべきことがある。使命はまだ達成されておらず、一層実行する必要がある」と強調した。さらに、「カザフのナザルバエフ大統領からも同様の見解を伺った。アジアのエネルギー相会合で、産油国すべてから聞いた見解も同様だった」とし、マレーシアやエクアドル、ナイジェリア、リビアの当局者らも似たような見方を示したとしている。原油価格の押し上げに向けた産油国の思惑はかなり明確である。これらの動きを市場が素直に取れば、原油相場が上向くのも当然かもしれない。
(江守 哲)
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