世界という風船は膨らみ続ける
トウシル / 2008年12月15日 0時0分
世界という風船は膨らみ続ける
人はイメージできるものは何でもできると言われます。アスリートが試合前にひたすら勝つイメージを繰り返すのも、イメージのもつ力を信じているからです。
これは運用の場合も全く同じです。まずはイメージを頭の中で作り上げることが大切です。今回は世界分散投資のイメージを作っていただきます。
よく“世界分散投資をしよう!”と言われますが、世界にあなたの資産を分散投資して、それが増えていく姿をイメージできなければ、みなさんの資産は増えていきません。
この棒グラフは世界主要国の時価総額の推移を表したものです。その国の時価総額とは、上場企業の株式価値を全部足したものであり、それが右肩上がりに推移しているのがよく分かると思います。
もう一つは、MSCIワールドインデックスの1970年からの推移です。MSCIワールドインデックスとは先進23カ国を対象とした指数で、1969年を100として算出しています。2008年11月末時点でのこの指数は890です。1年前の2007年10月末時点では最高値の1680までいきましたが、今年の下げで50%も下落しました。しかし、1年で50%下落したとしても、1970年からのリターンでいうと、約6%となり、1970年にこの指数に100万円投資した人は現在900万円にまで増えております。
日本に住んでいるとどうしても日経平均だけが耳に入ってくるので、あまり株式投資は儲からないと思っている人が多いかと思いますが、世界に目を向けると必ずどこかに成長している国があり、世界経済全体のパイはずっと拡大してきているのが上のチャートからも分かると思います。
そして、これをもう一段落として、みなさんにイメージしてもらいたいのが世界を風船に例える「世界風船」のイメージです。世界というのは過去の歴史を振り返ると年率6~9%で成長しており、株価も同じくそのスピードで成長しております。つまり成長率とは「世界風船」に空気を入れて、その膨らむスピードのことです。しかし、普通の風船は空気をいれるとまんべんなく膨らみますが、「世界風船」は違って少しいびつに膨らみます。80年代後半の日本のように、一国だけ急に大きくなって、その結果バブルが弾け、急に萎んでしまったり、2000年にはITバブルが弾けたりしています。しかし、90年代にはアメリカ、ヨーロッパが拡大していくことで、日本の失速を補い、ITバブル後には中国の成長によって世界風船は大きくなってきました。そして今回の金融危機も、世界風船のなかで一番大きな面積を占めるアメリカとヨーロッパが失速しているので、今までのそれとは影響力が違いますが、これを助けるのが年率10%近い成長力を持つ中国やインドになることでしょう。
さらに別の例えを使うと、世界全体を会社と考え、それぞれの国を事業部と考えてもいいかもしれません。大きな会社になりますと、何十という部署を持ち、それぞれが毎年の売り上げ増を目指して頑張っています。ただ、景気やトレンドなどもあるので、すべての部署が絶好調というわけにはいかず、業績がいい部署もあれば、低迷している部署もあります。ただ会社全体で見れば、新入社員も毎年入り、その会社の売り上げは成長をしている、それが世界です。
このように、どうして世界に分散投資をしなければいけないかというと、中長期的にみれば、世界全体はずっと成長しているので、そこに分散投資をしてその年率6~9%のリターンを享受しようということです。1国だけに投資をしてしまうと、日本のように長期低迷することもありますが、世界に分散投資をしておけば、そのリスクを回避できます。
毎日のように暗いニュースで埋め尽くされている昨今ですが、こんなときこそ、もう一度世界が進んできた足跡を確認し、各地でバブルとその崩壊を繰り返しながら成長してきた過程を知ることで、世界分散投資の有効性を認識していただければと思います。
“それでも世界は成長する”
(中桐 啓貴)
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