「出遅れ銘柄は割安」のワナ。低PERならいい?上昇相場の銘柄探し
トウシル / 2018年7月30日 10時49分
「出遅れ銘柄は割安」のワナ。低PERならいい?上昇相場の銘柄探し
株価上昇に乗り遅れた!と思ったとき真っ先に思いつくのは「出遅れ銘柄」への投資。でも出遅れ銘柄は、本当にリスクの低い割安な投資先なのでしょうか?
なぜ株価が出遅れているのかをまずは考えてみよう
「出遅れ銘柄」に投資する大きな理由、それはすでに株価が大きく上昇している銘柄に今から投資するのは危険だ、という考えによるものです。
では、株価が出遅れている銘柄であれば、本当にリスクが低く割安なのでしょうか? 出遅れ銘柄を勧める専門家・評論家の方々は、この点に積極的に触れていない気がします。
ここをはっきりしておかなければ、そもそも「出遅れ銘柄」へ投資することが正しいことなのかどうかがわかりません。
「出遅れ銘柄=株価がまだあまり上昇していない銘柄」という定義づけはよいでしょう。
その上で、出遅れ銘柄の株価があまり上昇していない理由を確認する必要があります。
大きく分けると2つの理由が考えられます。
(1)PER(株価収益率)などの各種指標から見れば確かに株価は割安に見えるが、不人気で投資資金があまり入ってこないため株価が上昇していない
(2)業績があまりよくないので、株価が上昇していない
つまり、株価がまだあまり大きく上昇していなければ何でもよい、というわけではなく、出遅れ銘柄の業績は最低限確認し、(2)に該当する銘柄は除外していく必要があります。
株価が割安に見えるなら積極的に買えるのか?
では(1)に該当する株価が割安に見える銘柄であれば、積極的に買ってもよいのでしょうか?
筆者はそうは思いません。その理由は以下のとおりです。
(ア)業績から見て株価が割安「に見える」だけであり、本当に割安かどうかはわからない
(イ)業績からみて本当に株価が割安であっても、積極的に買われなければ株価は上昇しない
まずは(ア)についてです。出遅れ銘柄が割安かどうかの基準としては、PERやPBR(株価純資産倍率)、配当利回りなどの各種指標を用いて判定します。
しかし、PER1つとっても、PERが低ければ無条件に株価が割安、というわけではありません。たとえば今後の業績が現時点よりさらに悪化すると市場参加者が予測しているなら、PER10倍割れでも株価は割高、という可能性も少なくありません。
「PERが10倍割れなら割安」というのはあくまでも一般論に過ぎないのです。そして(イ)については、自分の力ではどうしようもないため、株価が上昇するのを待つほかありません。
割安に見える銘柄が本当に「割安」なのか、正確に見極められますか?
そして悩ましいのが、出遅れ銘柄の株価が上昇しないのが(ア)の理由によるものか、(イ)の理由によるものか、個人投資家が分析・判断することは非常に困難であるということ。
もし自分自身が(イ)の理由により株価が出遅れていると思っても、本当の理由が(ア)であれば、株価は出遅れではなく逆にさらに値下がりする可能性もあるわけです。
最近、多くの銘柄の株価が上昇していく中ほとんど横ばいで推移している銘柄が、決算発表などを機に大きく下落してしまうという光景をよく見かけます。
この横ばいで推移している間のPERや配当利回りなどをみると、割安といわれている水準に株価が放置されていることも多いです。でもそれは、割安に「見える」だけであり、本当は割安ではなかったのです。
結局は株価のトレンドに従って行動するのが安全
多くの銘柄の株価が上昇しているにもかかわらず横ばいに近い状態で推移している銘柄は、割安なのではなく業績面で不安があるから買われていない、という可能性が高いです。
そして株価が上昇していない銘柄は、当然ながら株価のトレンドも上昇トレンドになっていません。
個人投資家は、プロと比べると企業のファンダメンタル分析にはどうしても限界があります。この会社は割安だ!と思って投資しても、ふたを開けたら決算発表で悪い数字が出て株価急落、ということもあります。
そこで株価のトレンドを重視することが、リスク軽減につながると筆者は思っています。株価が上昇トレンドにあればプロをはじめ他の投資家も買っている可能性が高いと考え、自分も買っていきます。逆に株価が下降トレンドとなれば、他の投資家が売っている可能性が高いので自分も売る、というようにです。
もちろんこの方法で必ずうまく行くとは限りませんが、精度の低い個人投資家のファンダメンタル分析を過信した結果失敗してしまうことを減らすことができます。
株価が出遅れているから安心、というのではなく、株価が出遅れているのには何か原因があるはずだ、と懐疑的に思っていれば、「出遅れ銘柄」のワナにはまることもありません。
そのうえで、そうした銘柄が買われて上昇トレンドになれば、プロをはじめ他の投資家からの資金が入り始めたことを意味しますから、その時点で買いはじめればよいと思います。
(足立 武志)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
「この株を買っておけば間違いない!」は本当?投資情報を見るときの注意点
トウシル / 2024年9月19日 11時0分
-
円安で苦しんだ100円ショップ、円高で勝つのは? 上場している企業3社【セリア】【キャンドゥ】【ワッツ】の有望株を探る
MONEYPLUS / 2024年9月19日 7時30分
-
大暴落が起きると「2番底」を伴うが…今回は「回避できる」といえる理由【ストラテジストが解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年9月18日 8時15分
-
「日銀の利上げ」を評価する30代の本音は「ズルい」 金融緩和で資産価格が上昇、「運用氷河期」の不満
東洋経済オンライン / 2024年9月18日 8時0分
-
成長株投資のここに注意!必ず知っておきたい三つのポイント
トウシル / 2024年9月12日 11時0分
ランキング
-
1《ぼったくりと批判殺到》京都・嵐山の人気カフェから「転売シャトレーゼ」が消えた 店員は「品薄で入ってこない」と説明
NEWSポストセブン / 2024年9月24日 7時15分
-
2「きのこの山」模倣品流通受け、明治が知的財産権の保護を強化へ…製造差し止めなどでブランド保護
読売新聞 / 2024年9月24日 16時59分
-
3昭和に大ヒット「青春という名のラーメン」令和に復活! 熱湯1分、タイパ志向に応える 明星食品
食品新聞 / 2024年9月24日 9時2分
-
4「うまい棒」12円→15円に値上げ 「許容できる範囲をさらに超え……」
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月24日 13時9分
-
5《1個買うと1個もらえる》新作「チョコパイ」が無料ってお得すぎ...。セブン・ミニストップ・ファミマお得企画まとめ(9月24日開始)
東京バーゲンマニア / 2024年9月24日 12時37分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください