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原油は反発。サウジなど産油国の政情懸念で

トウシル / 2017年11月10日 11時20分

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原油は反発。サウジなど産油国の政情懸念で

金は続伸するも、7~9月需要伸び悩む

 金相場は続伸。ドルの下落が押し上げ要因だった。

 米共和党の税制改革案に関する材料で、ドルが主要通貨に対して6日ぶりの安値をつけた。

 米上院財政委員会のメンバーであるキャシディー議員が、共和党の財政改革法案に法人税減税の実施を2019年に先送りすることが盛り込まれる一方、医療保険制度改革法の個人の保険

 加入義務付けの廃止は盛り込まれていないと発言したことが材料視されている。

 この材料は米国株の下落にも影響しているとみられ、安全資産としての買いも誘いやすい状況と言える。米国株安で債券買いが進むと利回りが低下し、これがドル安にもつながるという形であり、いずれにしても金相場にはポジティブな材料である。

 しかし、実需の伸び悩みが指摘できる。WGC(ワールド・ゴールド・カウンシル)によると、7~9月の世界の金需要が前年同期比9%減の915トン。GST(物品サービス税)を導入したインドで宝飾品や投資需要が大きく落ち込んだことが影響している。インドは今年7月にGSTを導入し、金にも3%の課税を始めた。GST導入前の駆け込み需要の反動もあり、7~9月の宝飾品需要は114.9トンと、前年同期比25%減少した。

 一方で、中国は前年同期比13%増加した。8月下旬の「七夕情人節」と呼ばれる中国版のバレンタインデーなどイベント需要が堅調だった。

 しかし、金需要全体の落ち込みを補うことはできなかった。また投資需要も241.2トンと前年同期比28%減少。株高で資金が株式市場に流入したことが影響した可能性が高い。

 インドの需要が同23%減となり、ETF(上場投資信託)需要も87%減と大きく落ち込んだ。
その一方で、中国では規制が強化される不動産投資に代わり、金地金や金貨への資金流入が堅調。投資需要は前年同期比57%増の64.3トンだった。

 

アルミが続落。高値から下放れ

 非鉄相場はまちまちの展開。LME(ロンドン金属取引所)在庫はニッケルが増加したが、それ以外は減少した。

 アルミは続落。高値から下放れており、目先は2,050ドル前後までの調整を念頭に入れておく必要がある。銅も続落。ただし、6,750ドルを維持していれば、反発のチャンスも出てくるだろう。ニッケルは大幅安。高値からの調整が続いている。まずは1万2,150ドルで下げ止まるかを確認したい。

 亜鉛は小幅続伸だが、3,200ドルが重いため、反落する可能性がある。鉛は続伸している。下値が切り上がっており、引き続き上値を試す動きにある。

 銘柄ごとに異なる展開だが、全般的には調整と高値更新を繰り返す動きで長期上昇基調を続けるだろう。

 

原油は反発。産油国の政情懸念で

 原油は反発。主要輸出国の供給削減や、サウジアラビアの政治情勢への懸念が引き続き支援材料となっている。

 サウジのエネルギー産業鉱物資源省の報道官は、12月の原油輸出量を前月比日量12万バレル削減する計画としている。また、サウジのサルマン国王がムハンマド皇太子に王位を譲るとの噂も相場を押し上げたもよう。ムハンマド皇太子が主導する汚職名目の摘発は、現在の相場上昇の要因となっている。

 また、OPEC(石油輸出国機構)やロシアの主導で産油各国が取り組んでいる減産も効いてきている。OPECは30日の総会で、減産合意の期限を現行の2018年3月から延長するかどうかを検討する方針だが、今回でなくてもいずれ決定される。そうなれば、原油相場は改めて一段高になるだろう。

 サウジの問題は、報道によると、ムハンマド皇太子が主導して進めている汚職を名目とした王族メンバーらの摘発により、拘束者から政府が没収する現金や資産が最大で、推定3兆リヤル(約90兆円)に達するという。サウジでは汚職対策委員会が設置された4日以降、大富豪として知られるアルワリード王子ら有力王族や現職閣僚が多数拘束された。拘束者は実業家らを合わせると60人以上に上り、現在も摘発は続いているとされている。

 サウジ政府はすでに国内の銀行口座1,700以上を凍結したとされており、6月に交代させられたムハンマド・ビン・ナエフ前皇太子やその親族の口座も凍結対象に含まれているようだ。また、国外にある剥奪資産は国庫に返納される見通しで、原油安で苦しい財政状況を改善させるために使用されるとみられている。

 一方、ベネズエラにも問題が起きている。同国政府は対外債務の再編を協議する方針を打ち出したが、これに関して米財務省は、債権者らに対して「ベネズエラ側の交渉責任者は米制裁の対象となっているため、交渉に応じれば厳しい罰則を科される可能性がある」と警告。

 ベネズエラのマドゥロ大統領は、総額600億ドル前後のベネズエラ国債の再編について、今月13日に債権者をカラカスに招いて協議を開始する方針を示している。協議の責任者にはエルアイサミ副大統領とシモン・セルパ経済相代行を指名した。

 しかし、米国はエルアイサミ氏が麻薬取引を首謀したことと、セルパ氏は汚職疑惑で、ともに制裁対象者に指定している。

 また、8月25日付の大統領令で発動した対ベネズエラ制裁では、債権者が債券に関する会合に参加することは禁じられていないが、制裁対象者リストに含まれる当局者らが会合に関与した場合は問題になるとしている。制裁はトランプ米大統領が非民主的と批判するマドゥロ政権の資金源を断つ目的があり、同国の新発国債や国営石油会社PDVSA債の取引を禁じる措置が盛り込まれている。

 このような産油国での問題は、その多くが原油安に起因している可能性がある。この意味でも、原油相場の水準訂正は産油国にとって最大の関心事であり、最も注力すべき政策である。サウジとロシアを中心に、結果が出るまで減産を続け、原油価格の引き上げを図るだろう。

(江守 哲)

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