米金利上昇で「金」は反落。米石油リグ数増加で「原油」は売り優勢
トウシル / 2017年11月13日 15時10分
米金利上昇で「金」は反落。米石油リグ数増加で「原油」は売り優勢
米金利上昇、米株高基調受け、金は反落
金相場は下落。米長期国債の利回り上昇の影響を受けた格好だ。
一方、米国の税制改革の不透明感を背景にしたドルの下落や株安により、下げ幅は限定された。米国債利回りの上昇は、利子が付かない資産である金を圧迫するが、一方でドル安はドル建て金相場の割安感につながることになる。米国では短期債の利回りが上昇しており、これが目先の金を圧迫する可能性がある。
他方、ECB(欧州中央銀行)関係者の発言を背景にドイツ債が売られ、ユーロ圏の金利が上昇しており、これがユーロ/ドルの上昇につながっているもよう。この動きが続けば、ドル建て金相場には支援材料となる。
また、サウジアラビアに関する報道で地政学的リスクが台頭していることは金の支援材料になるだろう。サウジでは次期国王と目されるムハンマド皇太子が汚職粛清で王族、閣僚、さらには著名投資家のアルワリード王子らを拘束し、権力を強化したと報じられ続けている。
さらに、SPDRゴールドトラストの保有高は11月3日の845.75トンから10日には843.09トンに小幅減少となっている。米国株高の基調が続いていることもあり、金には資金が入りづらい状況にある。とはいえ、金相場は今後も底堅い推移が続くだろう。米国株高基調でも金相場は下げていない。ここに金相場の強さがあるといえる。
目先は1,265ドルを下回ると大きく調整する可能性が高いが、この前後では実需筋や中銀の買いが入りやすいと考えられる。
非鉄は軟調。下値を固める動き
非鉄相場は軟調な展開。LME(ロンドン金属取引所)在庫は銅と鉛が増加したが、それ以外は減少した。
アルミは反発。前日までの下げ基調に歯止めがかかった。とはいえ、目先は260ドル前後までの調整もあり得る。下げ止まるかをまず確認する必要がある。銅は続落。しかし、6,750ドルを維持しており、ここで下げ止まれるかを確認することになる。ニッケルは続落。1万2,100ドルまで下げており、ここを維持できるかはきわめて重要となる。割り込むと、1万1,550ドルまでの調整を想定する必要があり、まさに正念場といえる。
亜鉛は続伸し、3,185ドルのポイントを超えた。下げ止まりから上昇に向かう動きに移行しつつある。鉛は上値を試したが、その後に大きく下げており、結果的に小幅反落となっていて、今日の動きは重要だろう。
今は銘柄ごとに異なる展開であり、それぞれ下値を固める状況にある。
今週は14日に中国の鉱工業生産や小売売上高が発表される。その内容で、中国経済の方向性を確認することになるだろう。
一方、中国汽車工業協会が発表した10月の自動車販売台数は前年同月比2%増と、5カ月連続増加した。1〜10月の販売台数は前年比4.1%増の2,290万台。NEV(新エネルギー車)の10月の販売台数は106.7%増の9万1,000台だった。
中国政府は、従来のガソリンエンジン車からNEVへのシフトを長期的に目指しており、1〜10月は45.4%増の49万台、2016年の増加率は13.7%だった。NEVシフトが進めば、非鉄市場にはポジティブに作用することになり、その動向に注目だ。
米石油リグ稼動数増加で、原油は売りが優勢
原油は小幅反落。OPEC(石油輸出国機構)と非加盟産油国が減産合意の期限を延長するとの期待が高まっているが、米国内の石油掘削リグ(装置)稼働数が増加したことで売りが優勢となった。
米国内の石油掘削リグ稼働数は前週比9基増の738基となり、ここ3週のうち、2週は増加している。これは6月以降で最も大幅な増加であり、前年同期の452基を引き続き大幅に上回っている。リグ稼働数は一部の生産会社が夏場の原油価格の下落を受けて、支出計画を縮小し始めたことから8~10月で減少。それまでは14カ月にわたって増加していた。
EIA(米エネルギー情報局)は今年の米国内の原油生産量見通しを前年比日量37万バレル増と予想。前月予想の38万バレル増から小幅下方修正している。ただし、米国内の産油量は今年が920万バレルで、2018年は過去最高の1,000万バレルに増加すると予想している。2016年は890万バレルだった。過去のピークは1970年の960万バレルだ。
一方、OPECは2018年3月の減産期限を延長し、在庫削減を一段と進め、原油価格の押し上げを図る意向である。しかし、原油価格が上昇すれば、米国のシェールオイル生産量も増加する。非常に難しい状況だが、サウジとロシアは原油価格引き上げを完了するまで、減産を継続と見ている。
また、市場がサウジとイランの関係悪化などの地政学的リスクを意識するようだと、思わぬ高値が出る可能性もあるだろう。当面はテクニカル主導での調整が進む可能性が高いが、全体の地合いを変えるような動きにはならないものと考えている。
(江守 哲)
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